- 著者
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赤澤 堅造
奥野 竜平
- 出版者
- 公益社団法人 日本生体医工学会
- 雑誌
- 生体医工学 (ISSN:1347443X)
- 巻号頁・発行日
- vol.Annual56, no.Abstract, pp.S240, 2018 (Released:2018-09-14)
認知症予防には,正常集団から軽度認知障害(mild cognitive impairment MCI) への移行予防, MCIから認知症への移行の予防,認知症の増悪予防,である.米国のnun研究に見られるように,認知症予防の非薬物的な効果は認められている.認知症に対する音楽療法は,3編のコクランレビューがある.「被験者数が少なく,研究の方法論的な品質が低いため,メタ解析を実施できなく,有益な結論を導出できなかった」,との結論である. しかし成果を示す研究報告は多くあり,現状を把握する必要があると考えた.まずメタ解析の研究報告を参考にし,そして最近の文献のレビューを実施した後,効果量を用いてエビデンスを比較し,音楽療法によって得られる認知症予防の効果の現状および課題をまとめた.なお, 結果は次の通りである.認知症に関しては,音楽療法は不安の改善に効果量が中程度である,という結果が得られている.MCIに関しては,楽器演奏により認知機能改善が見られ,正常集団については,楽器演奏が認知症の危険度を低下させる,ことが示されている.