著者
尾形 学 輿水 馨 康 炳奎 跡部 ヒサエ 山本 孝史 木野 津南夫 池田 讃哉
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.185-199, 1970-08-25

Etiological studies were carried out on infectious atrophic rhinitis of swine (AR)now prevailing in Japan. A total of 654 swab samples of swine nasal discharge wereexamined to establish any relationship between the bacterial flora of the nasal cavityand the occurrence of this disease.Of these samples, 413 had been obtained from 6 swine farms in Nagasaki, Ibaraki,Saitama, Hiroshima, Kanagawa, and Yamanashi Prefectures. Other 214 samples hadbeen collected from clinically AR-suspected hogs which had been shipped from 26prefectures scattered nearly all over Japan to the Shibaura Abattoir, Tokyo, and sub-jected to the post-mortem examination for pathological change of the turbinate bones.The results obtained are summarized as follows.l. Turbinate atrophy was seen in 173 pigs (7l.3%) which had been shipped from25 prefectures all over Japan and slaughtered at the Shibaura Abattoir, Tokyo. Theseresults clearly indicate that AR has been spread among swine in Japan to a considerablylarge extent.2. Bordetella bronchiseptica was detected in relation to the clinical symptomsand turbinate atrophy. So that it was considered to be the most important pathogenicagent of infectious atrophic rhinitis of swine now prevailing in Japan.Pasteurella multocida was partially suspected as a pathogenic factor on only onepig farm. Haemophilus suis was not recognized as the primary pathogen of thisdisease. Micrococcaceae, Streptococus, Escherichia, and Mycoplasma were i nd i catedas species forming the normal bacterial flora of the nasal cavity of pigs.3. The bacterial flora of the nasal cavity of infected pigs correlated to the riseand fall of the disease. B. bronchiseptica was generally detected in the early ormiddle stage of the disease. On the other hand, Klebsiella-Enterobacter showed atendency to be isolated as a dominant species in a later stage of the disease.4. B. bronchiseptica was detected abundantly in the ethmoid turbinate evenwhen it could not be isolated in the nasal turbinate in a later stage of the disease.From this fact, it
著者
曲渕 輝夫 輿水 馨 藤原 公策
出版者
公益社団法人 日本実験動物学会
雑誌
実験動物 (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.123-129, 1977-04-25 (Released:2010-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 4

1975年の2月から4月にかけて, 都内某研究所で集団発生したゴールデンハムスターの多数の死亡をともなうwet tailの原因を究明するため, 病因・病理学的検索, 伝達試験を行った。剖検された11匹中10匹に出血性腸炎が, 5匹の肝には, 針頭大の淡黄色または乳白色の壊死病変が認められ, 腸および肝の塗抹標本に, Tyzzer菌と思われる桿菌が多数認められた。発症ハムスターの腸管乳剤を健康ハムスターに経口投与すると, 10~14日で自然例と同様の症状を発現死亡し, 腎および肝の塗抹標本に多数のTyzzer菌が認められた。汚染床敷を入れたケージを54日間室温に放置した後, 健康ハムスターを入れると, 5~19日目までの間にwet tailを発現死亡し, 腸および肝の壊死病変部には, 多数のTyzzer菌が認められた。この事実からwet tailの集団発生に, Tyzzer菌の芽胞が重要な役割を演じていることが示唆された。
著者
播 英仁 輿水 馨 原澤 亮
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.203-205, 1987-02-15
被引用文献数
3

日本各地におけるニワトリ由来ウレアプラズマの分布を調べる目的で, 1都13県82鶏群の計456羽のニワトリの口腔を検査したところ, 1都8県, 31鶏群の110羽 (22.6%) がウレアプラズマ陽性であった。ウレアプラズマの分離率は農家, 個人宅, 幼稚園, 小学校で飼育されているニワトリの方が, 専業養鶏場のニワトリより高率であった。1都8県に散在している11鶏群から分離された11株は代謝阻止試験によりすべて血清学的に均一な性状を示し, ヒト由来Ureaplasma urealyticum T960株およびウシ由来U. diversum A417株とは区別された。
著者
康 炳奎 輿水 馨 尾形 学
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.295-305, 1970-12-25

豚の伝染性萎縮性鼻炎(AR)の主体をなすと考えられるBordetellabronchisePtica感染豚の血清学的診断として,凝集反応が応用されうる可能性について,基礎的な検討を行なった.まず,AR由来および実験動物由来のB.bronchisePtica20株につき,抗原用菌株の選択と本菌の相変異の関連性をみるため,血液寒天上の集落形態と生物学的諸性状につき検討した.ついで本菌の家兎免疫血清,AR自然感染豚血清およびspr豚血清を用い,反応用抗原作成培地の種類,抗原の処理法,反応感作温度の影響,反応の特異性につき検討した.さらに,隔離飼育した自然感染豚を対象に,抗体価の推移と菌の分離状況を追究した.得られた成績を要約すると,次のとおりである.1. B.bronchisePtica菌株の相変異と生物学的諸性状の関連性は,血液寒天上の集落形態および溶血性と,従来本菌属の相変異判定の指標とされている酸凝集性,あるいは血球凝集性などについて,菌株間の相互関係に必ずしも一定した関係が認められず,また初代分離株からも明らかにIII相菌と判定された菌株が検出されたことから,凝集反応における抗原用菌株の選択には,慎重な検討が必要であることが明らかにされた.2. B.bronchisePticaI相菌のトリプトソイブイヨン24時間培養生菌液を用い,直接,可検血清を希釈し,56°02時間感作,4°C24時間後に判定する゛′Boui110n法"が,反応の特異性および鋭敏度において,比較的すぐれた結果を示した.さらに自然感染豚血清とB.bronchisePticaを用いての吸収試験の結果,本反応の特異性が確認された.3・ 隔離飼育されたAR自然感染豚2群19頭の豚につき,凝集抗体価の経時的推移と菌分離の関係を,約3カ月にわたって追究した.本反応による凝集抗体(1:10以上)は,生後約20週(約4カ月)ごろより検出される傾向があり,と殺時に病変(甲介萎縮)および凝集価(40~10240倍)が認められたが,実験期間中B.bronchisePticaが検出されなかった2頭の豚では,凝集抗体価の上昇は全く認められず,また病変も陰性であった.このことから,野外例におけるB.baonchisePtica感染保菌豚の摘発に,本反応が応用されうる可能性が示唆された.
著者
山本 孝史 輿水 馨 尾形 学
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-5, 1986-02-15
被引用文献数
5

わが国において, 1970〜1981年の間に豚流行性肺炎病巣部から分離されたMycoplasma hyopneumoniae 54株および新基準株Jの各種抗生物質に対する感受性につき検討を加え, 以下の成績を得た。1)最も高い活性を示したのはチアムリンであり, 供試した55株の全てに対し, 0:02〜0.04μg/mlの最小発育阻止濃度(MIC)を示した。2)タイロシン, ジョサマイシン, スピラマイシン, キタサマイシンのマクロライド系薬剤もこの順に高い活性を示したが(0.02〜1.25μg/ml), エリンロマイシンのMICは2.5〜20μg/mlであった。3)リンコマイシンはタイロシンとジョサマイシンの中間的なMIC (0.04〜0.16μg/ml)を示したが, アミノグリコシッド系薬剤のネオマイシン, カナマイシンは比較的高いMICを示した(0.16〜10μg/ml)。4)テトラサイクリン系薬剤のうちクロールテトラサイクリン(CTC)のMICは, 2.5〜40μg/mlに分布していたが, テトラサイクリン, オキシテトラサイクリン, ドキシサイクリンのそれは, 0.04〜2.5μg/mlであった。5)1970年度分離株では大部分の株がCTCに対し5μg/ml以下で, また他のテトラサイクリン系薬剤に対しては0.16μg/ml以下で感受性を示したが, 1979〜1981年度の分離株では, これらの濃度で感受性を示したのは半数以下であった。6)CTCのMIC値と他のテトラサイクリン系薬剤のそれとの間には相関が認められた。