著者
辻本 哲郎 Marie THOMAS
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.529-534, 2012 (Released:2023-03-31)
参考文献数
8

On a heavy rainfall in September 2011, Nagoya city issued evacuation recommendation to more than a million citizens and resultantly only around 4800 citizens followed. When we have to prepare for coming serious disaster due to climate change to overcome remained vulnerability, it is necessary to study how to manage risk against severe heavy rainfall and subsequent flood disasters. Then it is important to compare this time event with Tokai heavy rainfall disaster in 2000 when we discussed how to overcome urban flood disaster due to a torrential downpour and continued improvement of preparedness against it. This study aim to compare two events in 2000 and 2011 each other, to clarify how we have advanced our preparedness against heavy rainfall disasters, and how to overcome remaining difficulties, from the conceptual discussion of risk management composed of the concepts of hazard, exposure and vulnerability (or resilience).
著者
戸田 祐嗣 溝口 裕太 野尻 晃平 山下 貴正 辻本 哲郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_1687-I_1692, 2013 (Released:2014-03-31)
参考文献数
20

A numerical simulation model was presented to describe the material cycling along a river with floodplain, in which river continuum concept and flood pulse concept were modelled to be taken into account for considering the energy flow in river ecosystem. Using the discharge and the river channel conditions observed in Yahagi River, the dynamics of organic matter was illustrated. The organic matter entering into the river from terrestrial area is transported under the effects of physical and biochemical processes in each longitudinal segment of the channel. The results of the simulation show that the amount of organic matter transported during floods is about 28% in Segment.2.
著者
北 真人 銭 潮潮 此島 健男子 中安 正晃 辻本 哲郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.189-201, 2020
被引用文献数
1

<p> 令和元年東日本台風は東日本を中心に多量の降雨をもたらした.その中で,首都圏に位置する荒川下流域では氾濫危険水位付近にまで水位が上昇した.さらに大規模な降雨が発生した場合,下流での氾濫発生も懸念され,避難行動の基礎資料としてより雨量を増加させたデータが必要となる.本研究では,WRFを用いた海面水温操作による降水量の変化とその影響分析の結果と併せて,再現性の結果について報告する.その結果,ピーク時刻や雨量に差異があるものの全体的な降雨波形については再現していた.そして,海面水温の増減に対応して降水量も増減することを確認した.この理由として,気圧場の変化に伴う台風経路の変化や水蒸気フラックスの増減に加え,荒川流域上流域の地形効果が要因であることが分かった.</p>
著者
辻本 哲郎
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

近年,河川整備は治水・利水・環境のいずれの機能も等しく向上させるという理念で行なわれるようになりつつある.すなわち多機能水路が目指されるが,それぞれの機能が充分発揮できるように水流を的確に制御する技術の開発・確立が望まれている.本研究ではとくに斜め桟粗度によるら旋流制御と植生帯を利用した横断混合促進を中心に多機能水路設計に必要な現象理解と記述・予測をめざし,室内実験,野外計測,数値解析の3つのアプローチを採用した.斜め桟は底面あるいは側岸に設置されるが,適当な間隔で設置された場合,流下方向に均質な乱流が形成される.桟が斜めに配置されることにより,抗力に横断方向あるいは鉛直方向成分が出現し,これが2次流を駆動する.抵力とそれによるエネルギー損失を局所的に平均化した力と乱れエネルギー生成として取り込んだ数値解析で現象を記述できることを計測結果と比較して示し,桟の配置と流れの関係を予測できるようにした.底面・側岸の斜め桟はストリーム型魚道の阻流板に相当し,魚道の設計への応用も示した.魚道はストリーム型にかかわらず典型的な機能型水路で,従来のその設計は経験式や模型実験に頼っていた.ここでは各種ストリーム型魚道,バ-ティカルスロット魚道について数値解析法を提案し,これによって標準型でない魚道も容易に工夫・設計できるようにした.一方,植生帯は横断混合を促進し,主流部の濁質を植生帯に引き込んで,主流の清浄化に役立つ.こうした効果を利用するため水路に植生帯を配置することを考えると,植生帯流入部から従来よく知られた植生帯を伴う平衡流れ場までの遷移距離の推定やその過程での流れの変化や浮遊砂の挙動を知る必要があり,室内実験・野外実験・数値解析を行なってそれらを調べた.
著者
小堀 爲雄 宮島 昌克 高山 純一 辻本 哲郎 北浦 勝 飯田 恭敬
出版者
金沢大学
雑誌
自然災害特別研究
巻号頁・発行日
1986

1.初積雪日から数日間の平均気温,積雪量の変動から,ひと冬の積雪量を推定する方法を開発した。すなわち、過去の記録において、初積雪日から25日間の平均気温,積雪量のフーリエスペクトルの形状の変化に注目することにより、ひと冬の累積積雪量が3000cm以上である大雪と、1000cm以下の小雪,その中間の平年という3つのパターンに分類することができた。今後は、初積雪日以前のデータも利用するなどして、さらに短期間でひと冬の積雪量を予測できるように改善する必要がある。2.不完全剛結節点を木造家屋の仕口部に適用して屋根雪荷重作用時の木造家屋のたわみ解析を実施した。その結果、軒先部の巻き出れなどが軒先部に及ぼす影響を定量的に評価することができた。また、このことが最適屋根雪下ろし時期を決定する際に非常に重要なポイントであることもわかった。3.家庭からの排熱の利用という観点から、台所の換気扇から排出される温風を利用して、軒先部の屋根雪を融かす装置を作成し、実験を行った。しかし、今冬は暖冬で積雪量が非常に少なかったので、その効果を十分に検討するまでには至らなかった。しかし、2.で得られた成果を考慮すると、この装置は屋根雪下ろしの軽減に大きく貢献するものと期待される。4.生活道路の除排雪を効率的に行うための一手段として、住民参加による生活道路の除排雪順位決定システムを提案し、実際の道路網への適用を試みた。その結果、本システムを用いることにより、行政側と住民,あるいは住民同士の除排雪順位に対する合意形成が得られることが明らかになった。しかし、本システムにより、得られる順位が必ずしも物理的に最適な除排雪順位と一致しているとはいえないので、今後は、システムの最適化も考慮した方法に改善する必要がある。5.以上の成果を踏まえて、路上積雪と屋根雪の合理的除排雪システムについて考察し、今後さらに究明すべき課題を提示した。