著者
塚田 久恵 石垣 和子 辻村 真由子 都筑 千景 金川 克子
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa Journal of Nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.77-88, 2013-03

韓国における保健所の機能と公衆衛生における看護職の役割について現地調査及び文献検討をした.韓国の公衆衛生は,日本と同様,保健所を中核施設として始まり,発展してきた.日本の保健所が主な対人支援機能を市町村に移管し,企画調整や指導研修機能に転換したのに対し,韓国では今日でも保健所が診療機能の保有,保健支所の配置,農漁村では看護職が保健診療員として一次医療を担っている.一方,韓国は,急激な高齢化と,生活習慣病の増加により国民医療費が急増している.そこで,国民健康増進法,地域保健法を制定し,保健所機能の拡大,地域保健を担う看護職の専門化に取り組んできた.さらに,2010年から保健教育を担う保健教育師の養成を開始し,2012年8月には地域保健法改正案を立法予告して保健所の機能を再編強化する方針を打ち出している.今後,韓国の保健所において,企画調整,情報管理などが法的に付加されることにより,益々機能が強化されると考える.(著者抄録)
著者
藤田 淳子 福井 小紀子 池崎 澄江 辻村 真由子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.819-827, 2020-11-15 (Released:2020-12-23)
参考文献数
26
被引用文献数
1

目的 在宅チームケアにおいて重要な役割を担う介護関連職の認識する医療職との連携困難感を測定する尺度を開発することである。方法 緩和ケアの多職種研修会に関連した研究結果から介護関連職からみた医療職との連携困難感に関する内容を抽出し,専門家パネルにて10項目の設問からなる尺度原案を作成した。1都市の在宅ケアに従事する介護関連職を対象に,自記式質問紙調査を実施し,尺度の信頼性・妥当性について検討した。結果 220人を分析対象とした探索的および確証的因子分析の結果,2因子構造6項目を採択した。因子は,「尊重されない感覚」「コミュニケーションの壁」と命名した。Cronbach α係数は,尺度全体で0.80,各因子は,0.77-0.81であり内的整合性が確認された。基準関連妥当性について,他の2尺度との相関係数を算出したところ,尺度全体でr=−0.36~−0.42の負の相関が有意に認められた。下位尺度は,第Ⅰ因子と他の2尺度とはr=−0.17~−0.27,第Ⅱ因子と他の2尺度とは,r=−0.41~−0.42の負の相関が有意に認められた。結論 開発した尺度は,在宅の介護関連職の連携困難感を測定する尺度として一定の信頼性・妥当性を有すると考えられた。
著者
三輪 真理 辻村 真由子 鈴木 育子 石垣 和子 山本 則子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.84-92, 2009-04-10 (Released:2016-08-25)
参考文献数
10

摘便終了後の便失禁は在宅療養者と家族の大きな負担である. 本研究は, 摘便後の便失禁を防ぐ方法として実践家が用いる技術を明文化し, その有効性を実証的に検討した. 便失禁を予防する技術を看護師 4名 ・ 家族介護者 1名から聞き取ってまとめ, 訪問看護師 8名にこのまとめに基づいて摘便を実施してもらい, 実践からデータ収集して検討した. 12名の療養者への計 68摘便のデータを得た. ①まとめに基づいた摘便の実施により便失禁は減少しなかった. ② 「粘液が出る」 という摘便終了の目安がみられた摘便では, みられなかったときよりも便失禁が有意に少なかった. ③ 「粘液が出る」 は浣腸を実施した場合にのみ発生した. ④ 「腸がおりる ・ とじる」 という目安がみられた摘便では, 便失禁が少ない傾向がみられた. 浣腸をする場合, 粘液が出るまで摘便を実施することが, 便失禁予防に役立つ可能性がある. 「腸がおりる ・ とじる」 という目安はさらに検討する必要がある.
著者
辻村 真由子 石垣 和子
出版者
文化看護学会
雑誌
文化看護学会誌 (ISSN:18838774)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1_51-1_60, 2018-05-31 (Released:2020-06-26)
参考文献数
20

本研究の目的は,訪問看護師が行う排便ケアに影響を与える在宅高齢者と家族介護者の価値観を明らかにすることである。3年以上の訪問看護経験を有する訪問看護師14名を対象として,個別の半構造化インタビューを実施した。インタビュー内容は,排便ケアを必要とする在宅高齢者(以下,高齢者とする)と家族介護者への支援過程とし,22の高齢者と家族介護者の事例への支援過程が述べられた。得られたデータについて,質的帰納的に分析した。その結果,排便ケアに影響を与える高齢者の価値観として,【便が出ないと大変なことになるので便が出ることは重要だ】【排便という生理的な現象は個人的な営みなので家族であっても手を借りるものではない】【自分や家族の生活を脅かされたくないので,訪問看護師には排便をコントロールしてほしい】などの8のカテゴリーが明らかとなった。また,家族介護者の価値観として,〔便が出ないと腸が詰まって大変なことになる〕〔排便の世話は嫌ではあるが高齢者との関係性があるので断れない〕〔排便の世話は特別に大変であるので訪問看護師に任せたい〕などの8のカテゴリーが明らかとなった。以上より,排便が高齢者の生活の充足感において大きな意味をもつことや,高齢者と家族介護者との関係性に基づいて排便の意思決定がなされていることを踏まえた看護支援の重要性が示唆された。
著者
塚田 久恵 石垣 和子 辻村 真由子 都筑 千景 金川 克子
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa journal of nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.77-88, 2013

韓国における保健所の機能と公衆衛生における看護職の役割について現地調査及び文献検討をした.韓国の公衆衛生は,日本と同様,保健所を中核施設として始まり,発展してきた.日本の保健所が主な対人支援機能を市町村に移管し,企画調整や指導研修機能に転換したのに対し,韓国では今日でも保健所が診療機能の保有,保健支所の配置,農漁村では看護職が保健診療員として一次医療を担っている.一方,韓国は,急激な高齢化と,生活習慣病の増加により国民医療費が急増している.そこで,国民健康増進法,地域保健法を制定し,保健所機能の拡大,地域保健を担う看護職の専門化に取り組んできた.さらに,2010年から保健教育を担う保健教育師の養成を開始し,2012年8月には地域保健法改正案を立法予告して保健所の機能を再編強化する方針を打ち出している.今後,韓国の保健所において,企画調整,情報管理などが法的に付加されることにより,益々機能が強化されると考える.(著者抄録)
著者
福井 小紀子 乙黒 千鶴 藤田 淳子 池崎 澄江 辻村 真由子
出版者
医学書院
雑誌
訪問看護と介護 (ISSN:13417045)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.1021-1027, 2015-12-15

3つのツールを使って連携の強み・弱みを調査 連載第2回となる本稿では、第1回(2015年11月号p.936〜)にて紹介した3つのツールを用いて、段階的に多職種連携の状況をとらえた結果を報告する。