著者
近藤 公夫
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 = BULLETIN OF THE KYOTO UNIVERSITY FORESTS (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.219-248, 1965-11-15

この研究は Immediate recreational spaceと見なされ, 都市生活者の休養生活に最も関係が深い都市小緑地, 特に児童公園, の利用実態を考察するものである。この調査は京都市内の児童公園約20に対し, '53年 (昭和28年) から断続して '64年 (昭和39年) まで行ない, この報告迄に次ぎの結果を得た。利用者の年齢構成は学齢前が35乃至40%, 小中学生を45乃至50%, 青年を5%, 壮年を10%程度と認められ, 利用者数では都市部の住居地区がha当り在園者として150人以上, 都市周辺の緑住混合地区が公園面積のやや大きいものを含んで同50人以下, と云う例が見られ, 普遍的な数値としては公園の利用密度をha当り最大100人程度と結論し得る。利用実態自体については上記年齢層別及び季節別に観察した結果, 学齢前では男女間に差がなく冬季・夏季に施設利用の遊びを中心とする利用減があり, 学齢層男子は夏季にのみ自由運動の減少があり, 同女子は冬季に施設利用の遊びの, 夏季に自由運動の減少があることを認め, その在園時間は学齢前で10乃至40分, 学齢層で20乃至60分と云う結果を得, 児童公園利用の平均人を想定すれば揺動施設利用が25%, 野球が15%, 静養その他が35%程度, また登攀施設・砂場・球技などが各5%, その他の遊戯が10%として, 5%括約値が得られる。なお, 知見の1部として利用者の日誘致傾向を見ると, 100m圏から学齢前の2人に1人, 学齢層の3人に1人であり, 200m帯から共に5人に1人と云う結果となっている。
著者
近藤 公夫 王 敏 日色 真帆 三上 晴久 廣川 美子 川村 政美
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

日本の文化史に1000年前の金色堂に見られる黄金よりも、500年前の銀閣に銀をもって蔽った漆のたたずまいを好ましいかに思う今日の心象、その心象が形成された風景の源流を三内丸山以来の伝統に考えるのは是か非か。あえて日本の赤をめぐる景観の源流として三内丸山の風景をとりあげ、そこに出土した赤漆の色に「日本の赤と中国の赤」に関する調査研究の拡大と深化に係わる発展的な端緒を求めたいと考える。おそらく今日の科学をもってすれば什器に見られる彩文の赤漆について、あるいは同様に出土している黒漆などに関しても、その原色を解明して三内丸山の文化に迫る可能性は考えられよう。そこから四季の自然に恵まれ秋季の紅葉があざやかな東北日本にあって、今も日本民族の心象に伝わる縄文文化に投影された赤の風景を、その植生に見られる景観の変化から考え得るとも思われる。さらには重ねて司馬遼太郎氏がこの地を北のまほろばと記した秋色を思えば、日本の赤についての源流を縄文時代の赤漆と山野の紅葉から妄想した次第について、ひとつの心象的な風景へと思いを致さざる得ない。4000年前以上もの太古に三内丸山社会が見せた情景、遠近の人々を集めた祭祀のにわに赤が演じた風景とは何であったのか。それは後世の神前に舞う乙女達の白衣紅裳とは果たして連なるものか、あるいは東アジア文化に如何なる位置を占め、それは如何なる変遷を経て今日の伝統文化と結ばれ得るのか。それは自然科学から考古学そして歴史学から文化人類学、それぞれの検討を総合した上に新しい展開を今後に期待させる課題に連なるであろう。
著者
近藤 公夫
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.22-25, 1961-08-31
被引用文献数
1

京都御苑の利用最盛期について利用実態を調査し次の結果を得た。1.京都御苑の休養入苑者は快晴晴平日で1万名程度、同じく休日で1.5万名程度であり、運動遊戯をするものは平日でその25%、休日で40%程度である。2.休養入苑者の平均在苑時間は平日で40分、休日で75分程度である。3.休養入苑者の生活地分布については、平日で80%が御苑各門から1km以内に、休日には同じく1.5km以内に分布する。特に小児は平日で90%が0.6km以内に、休日には同じく1km以内に分布する。