著者
近藤 理恵 黒木 保博 朴 志先 桐野 匡史
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.87-94, 2015-03-12

本研究は、2013 年12 月に韓国において行った面接調査をもとに、近年の韓国の養子縁組政策の動向について明らかにすることを目的とした。面接対象は、「中央養子縁組センター」、「ホルト児童福祉会」、「東方社会福祉会」、「未婚母子家族福祉施設」であった。韓国では、民間団体による養子斡旋が活発であるが、2011年の養子縁組特例法の全面改正以降、①裁判所が養子縁組に関与したり、②子どもが自らの出自を知ることができるシステムがより一層整備されたり、③養子縁組に関わるケース・マネジメントが確立されたことにより、以前よりも養子縁組をされる子どもの権利が擁護されるようになったことが明らかとなった。また、韓国では、非婚の母親と子どもへの差別が強いため、彼女たちが生きにくい状況があるが、今後、養子縁組政策と並行して、非婚の母親と子どもが安心して暮らせるシステムづくりを推進していく必要があることが明らかとなった。
著者
朴 志先 金 潔 近藤 理恵 桐野 匡史 尹 靖水 中嶋 和夫
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.160-169, 2011
参考文献数
39

本研究の目的は,未就学児の父親の育児参加と本人の心理的ウェルビーイングの関係を明らかにすることであった。調査対象はK県C市とO県K市内の保育所を利用している1000世帯とした。調査項目は父親の年齢,収入,就業形態,育児参加,家族・家庭に対する貢献感の認知,夫婦関係満足感,精神的健康,健康関連QOL,母親の年齢,児の数,末子の年齢,就業形態で構成した。本研究では実証すべき因果関係を,父親の育児参加と本人の心理的ウェルビーイングの関係において,父親の育児参加は,本人の家族・家庭への貢献感の認知を通して夫婦関係満足感と精神的健康に影響を与え,また夫婦関係満足感は直接的または精神的健康を通して間接的に健康関連QOLに影響すると仮定した。前記因果関係モデルのデータへの適合性と変数間の関係は回収された412世帯のうち,319世帯のデータを用いて,構造方程式モデリングで解析した。その結果,1)父親の育児参加は家族・家庭への貢献感から健康関連QOLに直接的に影響すること,また2)夫婦関係満足感ならびに精神的健康を通して健康関連QOLに間接的に影響することを明らかにした。以上の結果は,父親の育児参加を促進することの重要性を示唆している。
著者
松浦 弘幸 神谷 直樹 石川 耕介 近藤 理恵 松崎 照美 行正 徹 中野 正博 玉川 雅章
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.97-106, 2013-10-12

生活支援機器では,機械中心の安全概念と供に人間中心的安全が重要である.これは,人間の解剖生理学的特性に基づいて機械に各種の機構・機能的クライテリアを要請するものである.リスクは相対的で他者との比較で議論される生存率や死亡率として出力される.リスク選択は、便益と不利益を考慮して死亡リスクを10^<-5>〜10^<-6>に制御するが,最終的判断(許容レベル)は,社会の成員に委ねられる.TRISSから,ISS3の受傷者の死亡リスクは0.0035となり,これは,機器を毎日4時間程度使用し,人の寿命90年を想定すると,生涯死亡率5.8%,平均余命損失2.7年,年間死亡率0.0007と計算される.この数値は,産業別死亡率や自動車事故や不慮の事故死亡率よりも遥かに小さく,自然災害による死亡と同比率である.TRISSは,同一部位に存在する多発性外傷と高齢者の年齢の影響を考慮していない.しかし,単一外傷による軽傷や重症のリスクアジャスターとしては,ACSOTと類似の結果を与える.