著者
原野かおり 桐野 匡史 藤井 保人 谷口 敏代
出版者
日本介護福祉学会
雑誌
介護福祉学 (ISSN:13408178)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.163-168, 2009
被引用文献数
1

介護福祉の仕事は多種多様で多忙であるにもかかわらず報酬も低いこと等から,離職率が全労働者の平均を上回っている.本研究では,介護福祉職員が介護福祉の仕事を継続している動機と離職意向が生じたときに離職を踏みとどまった理由を明確にすることを目的として7人の介護福祉職員に半構造化面接を行った.その結果,仕事を続けられる理由には,「労働条件」「職場のよい人間関係」「利用者からの信頼」「やりがい」「理想とする介護との出会い」「介護への自信」「仕事に対する価値」「人が好き」の8カテゴリーが抽出された.踏みとどまった理由は,「労働条件」「職場のよい人間関係」「やりがい」「介護への自信」「仕事に対する価値」「負けたくない」「損得勘定」の7カテゴリーが抽出された.これらの結果から介護福祉職が仕事を継続する肯定的要因の概要が明らかになった.
著者
桐野 匡史 出井 涼介 松本 啓子
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.65-73, 2015

本研究は、家族介護者支援に向けた基礎資料を得ることをねらいに、在宅で高齢者を介護する家族のソーシャル・ネットワークを類型化し、その特徴について明らかにすることを目的とした。A 県内の居宅介護支援事業所(53 事業所)を利用する家族介護者287 名に対し、無記名自記式の調査を実施した。調査内容は、家族介護者および要介護者等の基本属性等およびソーシャル・ネットワークで構成した。クラスター分析の結果、家族介護者のソーシャル・ネットワークのタイプは「平均型」、「孤立型」、「充足型」の3 つに類型化された。とりわけ、「孤立型」は「充足型」と比較して、男性介護者の占める比率が高く、社会参加活動が低く、現在の暮らし向きが不良であった。今後は、社会的に孤立しやすい家族介護者への支援の拡充が求められる。
著者
原野 かおり 出井 涼介 桐野 匡史 谷口 敏代 中嶋 和夫
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.101-107, 2015

本研究は介護技術に関する測定尺度を開発し、その妥当性と信頼性を検討することを目的とした。 X 県内の介護保険施設に従事する主任および管理者を対象にインタビューを行い尺度の原案を作成した。その後X県内すべての特別養護老人ホームおよび老人保健施設に勤務する介護福祉士を対象に郵送法による自記式質問紙調査を行った。統計解析では「介護技術評価尺度」を構成する10 領域を第一次因子、介護技術を第二次因子とする10 因子二次因子モデルを仮定し、因子構造の側面から見た構成概念妥当性を確認的因子分析により検討した。分析には各項目に欠損値を有さない750 人分のデータを使用した。「介護技術評価尺度」の10 因子二次因子モデルのデータに対する適合性及びCronbach のα信頼性係数は統計学的に支持された。「介護技術評価尺度」は、介護関連施設等に従事する介護労働者の介護技術を測定可能な尺度であることが示唆された。We aimed to develop a care technique scale and assess its reliability and validity. [Method] We conducted interviews with chiefs and administrators who have been engaged in long-term care insurance facilities in X prefecture to create a draft of our scale. Subsequently, we conducted self-administered surveys through mails for care workers in special nursing homes and healthcare facilities for elderly people in X prefecture. In the statistical analysis, we created a model with 10 second-order factors, where 10 regions comprising the care technique scale were set as the first-order factor and the care technique as the secondorder factor. We also examined the validity of the constructive concepts observed from the viewpoint of the factor structure that was based on the confirmatory factor analysis. We used data from 750 subjects with no missing values in each item comprising the analysis. [Results] The adequateness of the data for our 10 factor second-order factor model and Cronbach's coefficient alpha of our care technique scale had a statistically acceptable level.[Discussion] We showed that our scale could measure the care techniques of care facility staff members.
著者
近藤 理恵 黒木 保博 朴 志先 桐野 匡史
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.87-94, 2015-03-12

本研究は、2013 年12 月に韓国において行った面接調査をもとに、近年の韓国の養子縁組政策の動向について明らかにすることを目的とした。面接対象は、「中央養子縁組センター」、「ホルト児童福祉会」、「東方社会福祉会」、「未婚母子家族福祉施設」であった。韓国では、民間団体による養子斡旋が活発であるが、2011年の養子縁組特例法の全面改正以降、①裁判所が養子縁組に関与したり、②子どもが自らの出自を知ることができるシステムがより一層整備されたり、③養子縁組に関わるケース・マネジメントが確立されたことにより、以前よりも養子縁組をされる子どもの権利が擁護されるようになったことが明らかとなった。また、韓国では、非婚の母親と子どもへの差別が強いため、彼女たちが生きにくい状況があるが、今後、養子縁組政策と並行して、非婚の母親と子どもが安心して暮らせるシステムづくりを推進していく必要があることが明らかとなった。
著者
松本 啓子 森戸 雅子 名越 恵美 中嶋 和夫 桐野 匡史 高井 研一
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

在宅認知症高齢者に絞り、突発事故や症状及び容態の急変しやすい疾病等について、実態調査をしたうえで、急変から緊急介入を含めた一連のリスク管理モデルの開発を目的とした。その結果、実質調査を行うことで、現場ならではの疾患と症状の関連等が明らかとなった。また、家族側に起こっている現象を明らかにするためにインタビューを重ね、質的因子探索的分析を進めることで、家族の思いが明らかとなってきた。
著者
朴 志先 金 潔 近藤 理恵 桐野 匡史 尹 靖水 中嶋 和夫
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.160-169, 2011
参考文献数
39

本研究の目的は,未就学児の父親の育児参加と本人の心理的ウェルビーイングの関係を明らかにすることであった。調査対象はK県C市とO県K市内の保育所を利用している1000世帯とした。調査項目は父親の年齢,収入,就業形態,育児参加,家族・家庭に対する貢献感の認知,夫婦関係満足感,精神的健康,健康関連QOL,母親の年齢,児の数,末子の年齢,就業形態で構成した。本研究では実証すべき因果関係を,父親の育児参加と本人の心理的ウェルビーイングの関係において,父親の育児参加は,本人の家族・家庭への貢献感の認知を通して夫婦関係満足感と精神的健康に影響を与え,また夫婦関係満足感は直接的または精神的健康を通して間接的に健康関連QOLに影響すると仮定した。前記因果関係モデルのデータへの適合性と変数間の関係は回収された412世帯のうち,319世帯のデータを用いて,構造方程式モデリングで解析した。その結果,1)父親の育児参加は家族・家庭への貢献感から健康関連QOLに直接的に影響すること,また2)夫婦関係満足感ならびに精神的健康を通して健康関連QOLに間接的に影響することを明らかにした。以上の結果は,父親の育児参加を促進することの重要性を示唆している。
著者
原野 かおり 出井 涼介 桐野 匡史 谷口 敏代 中嶋 和夫
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.101-107, 2016-03-12

本研究は介護技術に関する測定尺度を開発し、その妥当性と信頼性を検討することを目的とした。 X 県内の介護保険施設に従事する主任および管理者を対象にインタビューを行い尺度の原案を作成した。その後X県内すべての特別養護老人ホームおよび老人保健施設に勤務する介護福祉士を対象に郵送法による自記式質問紙調査を行った。統計解析では「介護技術評価尺度」を構成する10 領域を第一次因子、介護技術を第二次因子とする10 因子二次因子モデルを仮定し、因子構造の側面から見た構成概念妥当性を確認的因子分析により検討した。分析には各項目に欠損値を有さない750 人分のデータを使用した。「介護技術評価尺度」の10 因子二次因子モデルのデータに対する適合性及びCronbach のα信頼性係数は統計学的に支持された。「介護技術評価尺度」は、介護関連施設等に従事する介護労働者の介護技術を測定可能な尺度であることが示唆された。