著者
酒井 美里
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.569-577, 2007 (Released:2007-12-01)
参考文献数
7
被引用文献数
4 3

従来よりサーチャーの間では,「特許検索には,経験とノウハウがものをいう」「技術は人に属するもの」とされることが多かった。また「マニュアル化できない部分が本当のノウハウ」であるとも言われてきた。ところが近年,エンドユーザー検索の普及を契機に,検索ノウハウは「サーチャー間で“わざ”として伝達されるもの」から「多くのエンドユーザーに,“型”として伝達するもの」への変革期にさしかかっているものと思われる。本稿では,サーチャーのノウハウを伝達可能な形に変換する試み,ならびに,実際にエンドユーザー教育を行う際のコミュニケーションのとり方について報告する。
著者
酒井 美里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.166-170, 2019-04-01 (Released:2019-04-01)

ICT(情報通信技術)の発展や,IoT,AI(人工知能),機械学習等の実用化が急速に進む中,「インフォプロの生き残りは?」「技術の進歩に追随し,サポートしていくには?」等の話題も多く聞かれる。時代の流れが確実に速くなる中,陳腐化せず第一線で活躍を続けるためには,どのようなスキルアップを図れば良いのであろうか。本稿では筆者自身の心がけている点や具体的な情報収集の方法,勉強内容を紹介する。
著者
酒井 美里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.274-280, 2023-07-01 (Released:2023-07-01)

特許情報データベースにおいては,2000年代の概念検索ブームから沈静化の時代を経て,近年は再びAI技術応用の検討が盛んになっている。現在は特に特許分類や化合物インデックスの自動付与といった分類付与の領域で実用化が進み,各国特許庁での導入例も増えている。また,データベース検索における類似文書検索や,検索結果表示における可視化・クラスタリング等も一般的なものとなりつつある。その一方,公報査読を効率化する技術は模索されているとみられるものの,分類付与や類似文書検索と比べると,実用化は端緒についたばかり,と言えよう。本項では,特許調査業務における「調査の目的と公報の読み方の関係」や「現在表面化している公報査読上の問題点」に着目した。また,公報査読上の問題点はAI技術を応用する事で改善される可能性があるのか,といった点について考察を行った。
著者
酒井 美里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.355-359, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)

本稿では,海外代理人の意見やテストコレクション評価の現状,また特許管理業務への導入例などを通して「AI(人工知能)系調査ツールとの付き合い方」を考察する。海外特許庁では,審査引例調査へのAI導入が積極的に検討され始めている。一方,無効資料調査などの場面では「どんな手段で調査をするかは依頼者の責任」という考え方もあり,AIは補助手段に留まる傾向が強い。今後,私たちサーチャーはAI系調査ツールとどのように付き合っていくべきなのだろうか。本稿では導入に対する費用対効果や,海外でのAI系調査ツール評価に関する話題,音楽配信サービス用のレコメンドAIなどの例を通して,AI系調査ツールについて考える「視点」を提案する。
著者
酒井 美里
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.154-159, 2011-04-01
被引用文献数
2

どうしたら情報検索の専門家「インフォプロ」として活躍できるのであろうか。パソコンに向かい検索技術を磨いていけば,いつかはプロフェッショナルになれるのか。筆者の考えは違っている。依頼者と適切なコミュニケーションをとり,要望を汲み取って検索条件に反映できる。そして,依頼者から親しまれ,何かにつけ相談を寄せられる,そのような人物像が「インフォプロ」ではないか,と考えている。本稿では,これから情報検索の専門家となる「インフォプロいちねんせい」に向けて,親しまれるプロフェッショナルになる道筋として,7つの習慣を提案する。
著者
白石 雅紀 酒井 美里 戸田 有一
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.79-92, 2021-03-31 (Released:2021-05-26)
参考文献数
38

This study examines issues and challenges confronting multiple minorities. The term “multiple minorities” refers to individuals who have more than two aspects of minority identities. In particular, it focuses on the situations surrounding those who are with minority statuses of Muslims/Muslimas in non-Islamic societies and SOGI. We tried to apply Identity Politics and Connolly’s Pluralism as frameworks for our discussion. With insufficiencies in the labor force, Japan is expected to receive many more foreigners including Muslims/Muslimas in coming years. Not only foreigners but also SOGI minorities have been increasingly recognized as new minority groups. These groups need support for their integration into Japanese society because their vulnerability and experiences of discrimination are too often disregarded. When we consider how best to support them due to their historical backgrounds, we should consider that those two groups are situated in tensions with each other, and most importantly, some belong to both minority groups. Identity Politics provides a framework to empower and visibility of multiple minority identities. However, it is necessary to overcome tensions among identity groups for inclusion. Concerning the identity of multiple minority groups and the position of minorities, this study has only provided some clues for locating them. For further research, a framework that goes beyond the significance and limitations of Identity Politics and Connolly’s Pluralism is necessary to consider multiple minorities.
著者
酒井 美里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.325-330, 2016-07-01 (Released:2016-07-01)

スマートフォン知財訴訟や体重計の意匠,腕時計の商標など,身近な製品に関する知財訴訟を目にする機会が多くなっている。また,平成27年より特許異議申立制度の運用が開始されるなど,審判制度にも新たな動きが発生している。しかし日本だけを例にとってみても,審判や訴訟に関する情報としての審決公報や審判記録情報,判決文などは,その管轄が特許庁審判部,知財高裁,高等裁判所と多岐にわたり「ここさえ見ればすべての情報を簡単に入手可能」とはいかないのが現状である。したがって一般の特許情報利用者には,その入手や利用方法の把握が難しく,ましてや審判や訴訟の情報整理など,より敷居が高く感じられる,といった状況にもある。本稿では日本及び米国を中心に,知財審判・訴訟に関する情報の種類ならびに情報入手方法を概説する。
著者
酒井 美里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.325-330, 2016

スマートフォン知財訴訟や体重計の意匠,腕時計の商標など,身近な製品に関する知財訴訟を目にする機会が多くなっている。また,平成27年より特許異議申立制度の運用が開始されるなど,審判制度にも新たな動きが発生している。しかし日本だけを例にとってみても,審判や訴訟に関する情報としての審決公報や審判記録情報,判決文などは,その管轄が特許庁審判部,知財高裁,高等裁判所と多岐にわたり「ここさえ見ればすべての情報を簡単に入手可能」とはいかないのが現状である。したがって一般の特許情報利用者には,その入手や利用方法の把握が難しく,ましてや審判や訴訟の情報整理など,より敷居が高く感じられる,といった状況にもある。本稿では日本及び米国を中心に,知財審判・訴訟に関する情報の種類ならびに情報入手方法を概説する。
著者
谷川 英和 鶴原 稔也 東 明洋 鈴木 芳文 中村 由紀子 酒井 美里 渡辺 俊規 増満 光
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2012-EIP-56, no.11, pp.1-7, 2012-05-09

本稿では,特許調査実施工程を「検索式策定工程」と「選別工程」に大別し,これまで暗黙知であったものを知識ルールとして形式知化したことについて述べる.具体的には検索式策定工程では,「検索対象」「検索対象期間」「検索フィールド」「用語」「分類」について知識ルール化して利用した.また,選別工程において漏れている関連特許候補を提示したり,選別されているが非関連の特許候補を提示することができるようになる.
著者
酒井 美里
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.292-297, 2013-07-01

2013年1月より,欧州と米国との共通特許分類,CPC(Cooperative Patent Classification)が発足している。従来,米国特許庁は独自性の高い米国特許分類(USPC)を長く利用してきた。今回,共通特許分類の発足に伴い,米国特許庁は国際特許分類(IPC)の流れを汲む分類体系に歩み寄った,と捉えることもできよう。欧州/米国の二庁間では重複作業の排除と情報共有が期待されている,といわれる。また一般ユーザーにとっては分類体系の理解,調査分類の決定などの面で,負担軽減のメリットがあると考えられる。本稿ではCPC分類に至る流れや,分類体系の概要を概説した上で,Espacenet,USPTOにおける検索方法と留意点について概説する。