著者
北條 優 重信 秀治
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

キノコを栽培するシロアリであるキノコシロアリ(タイワンシロアリ)について、主に西表島、沖縄島、台湾島におけるフィールド調査およびDNA解析から、その栽培菌であるオオシロアリタケ属菌の地理的分布パターンを明らかにした。また日本ではこれまで知られていなかったオオシロアリタケ属菌の子実体を発見した。タイワンシロアリの行動解析では、大小2型のワーカー間に菌園管理における分業が見られることが明らかになった。タイワンシロアリの全カーストを用いた遺伝子の網羅的発現比較解析では、セルロース類の消化や菌園管理に関わる可能性のある遺伝子を特定した。
著者
小林 裕樹 重信 秀治
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.17-21, 2022-05-01 (Released:2022-07-07)
参考文献数
14

愛知県の林内地上より,有彩色の色彩を欠き,傘と柄の全体が黒い鱗片で覆われ,全体に強い黒変性を持つアカヤマタケ属菌を見出した.形態観察およびrDNA領域内のITSおよび26S rRNAの2箇所の配列を用いた系統解析の結果,2020年に中国より新種報告されたH. griseonigricansと同定した.本邦からの本種の報告は初となる.
著者
三村 真紀子 山口 勝司 重信 秀治
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.125, 2014

日本国内に広く生育するモミジイチゴ(<i>Rubus palmatus</i>)のゲノム配列決定を行った。この種のゲノムサイズは230-250Mbp程度と推定されている。屋久島から採集したヤクシマキイチゴ1系統Pal03を解析対象系統とした。これまでの研究から、屋久島に生育するモミジイチゴの亜種ヤクシマキイチゴは、ホモ接合度が比較的高いことが分かっている。180bpのペアエンドライブラリと、インサート領域が3kbpのメイトペアライブラリを作成し、イルミナ社HiSeq2000を用いて対象種のゲノムサイズの86x coverage(推定)にあたる2.9億リード(100bp/リード)を取得した。新規ゲノムアセンブルには、ALLPATHS-LGを用いた。結果、ゲノムサイズは253Mbpと推定され、N50 contigが23kbp, N50 scaffoldが212kbpであった。Contigの総長は、232Mbpであり(ゲノムサイズの92%)であり、またScaffoldの総長は253Mbp(ゲノムサイズの100%)であった。今後RNAseqによるアノテーションを行い、キイチゴゲノム情報の基盤とする。
著者
重信 秀治
出版者
大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

生殖細胞の形成機構の普遍性と多様性-すなわちその進化-を理解するために,モデル生物ショウジョウバエでこの過程に働く遺伝子をゲノムワイドに同定し,他の生物種との比較を行った.まず,マイクロアレイを利用してショウジョウバエ生殖細胞の詳細な遺伝子発現プロファイルを得た.次に生殖細胞形成に関わる遺伝子群を他の昆虫と比較したところ,その多くは昆虫の間で保存されているが,ショウジョウバエ特異的な遺伝子(oskarなど)やnanos, vasaの種特異的な遺伝子重複(アブラムシ,カイコ)が明らかになった.