- 著者
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三重野 卓
- 出版者
- 北海道社会学会
- 雑誌
- 現代社会学研究 (ISSN:09151214)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.81-102, 1991-05-01 (Released:2009-11-16)
- 被引用文献数
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現在、「生活の質」の在り方が問われているが、そのための生活様式は、断片化されている。ここでは、「生活」を総体として把握するために、その生活空間を「日常性空間」、「非日常性空間」として把握し、その相互浸透の状態を論理的に定式化することにしたい。もちろん、日常性空間とは、「生活の場」、「労働の場」をいみし、個人の生活経験、生活史の集積した「場」である。それに対して、非日常性空間は、様々に考えられるが、「遊びの場」とすると、自由、解放の機能を担うものである。そして、両空間を明らかにするためには、人びとの演技、リズム、表現、さらには、共感、共振、共生、共鳴などの「共」現象、想像力の在り方が問題になる。確かに、近代社会は、非日常性を軽視することによって成り立っているとしても、実際には、日常性と非日常性の交差するところに、個人の復活の可能性があろう。労働も遊戯も、リズム性、社会的欲求、それによる共同性という点では、共通している。また、日常性空間に氾濫する情報は、日常性をパッケージしているが、それととともに、その意味作用は、われわれを非日常性へと誘う。このように「共」現象というとき、情報と人間の共生、情報の意味との共振も必要になる。さらに、個々人、日常性空間の深層―表層という視点も望まれ、その間の循環、深層と非日常性の関係の把握は、「生活の質」のために不可欠になろう。