著者
伊藤 拓 宮崎 清乃 野口 益枝 大淵 友子 野口 和美 山出 新一 可児 一孝
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.175-180, 2003-07-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

片眼の詐病が疑われる症例を経験した。初回検査時、受傷眼の矯正視力は0.05であった。しかし、詐病を疑い視力検査法を工夫したことにより、再検時には0.5まで確認することができた。この方法は、受傷眼にピンホールを装用し、非受傷眼に凸レンズによる不完全遮閉を行うもので、両眼開放視力検査の応用である。この視力検査を行うにあたっては、不完全遮閉の目的で装用する凸レンズの度数が非常に重要である。そのため今回は、どのような度数で遮閉するのが適当かを検討する目的で、正常者7名(14眼)を対象に、各眼の完全矯正値に-1.0Dから+5.0Dを加えた状態で、負荷度数による視力の変化を測定した。視力測定はノートパソコンを利用したランドルト環単独視標を用い、恒常法で行った。得られた視力値は各負荷度数とも個人差が見られ、+1.0D付近で最も個人差が大きかった。負荷度数の増加に伴い、視力の低下は緩やかになった。+3.0Dの負荷では、0.15以上の視力を得られたものはいなかった。十分かつ安定した遮閉効果がある凸レンズをもって健眼の遮閉を行うには、+3.0D以上を用いるのが適当である事が示唆された。
著者
槙山 和秀 藤浪 潔 鈴木 康太郎 杉浦 晋平 寺西 淳一 佐野 太 斎藤 和男 野口 和美 窪田 吉信
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.669-674, 2004-05-20
参考文献数
12
被引用文献数
2

(目的) 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター泌尿器科では後腹膜鏡下根治的腎摘除術を2002年5月から開始した. 当院で採用した術式により3名の術者が安全に後腹膜鏡手術を施行可能であったので, その手術成績を検討した.<br>(対象と方法) 2002年5月から2003年6月までに当院で腎細胞癌の診断で後腹膜鏡下根治的腎摘除術を施行した14例を対象とした. 術式は側臥位で, 6cmの腰部斜切開で後腹膜腔にアプローチ. 円錐外側筋膜を腎下極レベルまで切開, 尿管を確保し, Gerota 筋膜と腹膜, Gerota 筋膜と腸腰筋の間を鏡視下でメルクマールになるように剥離したうえで, 小切開に hand port device を装着し12mmトロッカーを3本留置し, 気腹して後腹膜鏡下に根治的腎摘除術を施行. 先の6cmの切開創から腎を摘出する. 本術式の手術成績を検討した.<br>(結果) 平均手術時間は244.4分, 平均出血量は, 217.9mlだった. 1例は出血のため, 1例は小動脈の処理が不十分と思われたために開放手術に移行したが, 輸血を施行した症例はなかった. 大きな合併症も認めなかった.<br>(結論) 本術式で3名の術者が安全に後腹膜鏡下根治的腎摘除術を施行し得た.
著者
野口 和美 穂坂 正彦 木下 裕三
出版者
横浜市立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

幼若ラットのセルトリ細胞培養液(SCCM)中に、成熟マウスのライディッヒ細胞を刺激してテストステロン(T)分泌を促進する因子があることを確認し、その生化学的性質の一部を明らかにした。セルトリ細胞は3週齢の幼若ラット精巣よりトリプシンとコラゲナーゼ処理により得、無血清培地で培養した。分子量1万をカットオフ値とする限外濾過にてSCCMを15倍に濃縮した。ライディッヒ細胞は10週齢の成熟マウス精巣より酵素によらず分離した。濃縮したSCCMをライディッヒ細胞浮遊液(最終密度10^6cells/ml)に加えたところ、37℃3時間のインクベーションにてSCCMの濃度依存性にTの基礎分泌は促進された。上清中のcAMPをRIAにて測定した。その結果、cAMPもTと同様に、添加したSCCMの濃度依存性に上昇した。5×10^7個のライディッヒ細胞をSCCMあるいはLHと34℃3時間インクベーションし、ライディッヒ細胞を分離した。これをホモジナイズして酵素液とした。14C-pregnenolone,14C-progesterone,14C-17α-hydroxyprogesterone,14C-androstenedioneを基質としてそれぞれ3β-HSD,17α-hydroxylase,C17-20 lyase,17β-HSDの酵素活性を測定した。コントロールと比較し、SCCM処理にてはLH処理と同様にこれら酵素活性に変化を認めなかった。すなわちSCCMの作用点はLHと同様にテストステロン生合成の初期段階、すなわちcholesterol→pregnenoloneの過程(ミトコンドリアでのT合成経路)に作用している可能性が考えられた。LHの過剰刺激下ではT分泌がそれ以上に亢進しないこともこれを裏付けるデータと思われる。各種濃度のFSHを4、72、96時間、培養セルトリ細胞に作用させた後新鮮な培養液に交換し、これに分泌された同因子の生理活性を測定して比較検討した。その結果、FSH100mIU/mlを4時間作用させたセルトリ細胞培養液中に有意にライディッヒ細胞刺激因子の生理活性が高かった。その他の条件下ではコントロールと比較していずれも生理活性は高かったが、有意差は認められなかった。