著者
野口 晃菜 米田 宏樹
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.95-105, 2012-03-30

米国では、障害のある児童生徒に対する通常教育カリキュラムの適用がIDEA・NCLB法において義務付けられている。その方法として、通常教育カリキュラムの修正が挙げられる。本稿では、カリキュラム修正範囲の用語を整理し、類型化した。筆者によって使用する用語及びその定義が異なることから、修正範囲によって整理をした結果、(1)教育方法の変更、(2)教育内容の変更、(3)個別のカリキュラムの作成の3種類に類型化をすることができた。通常教育カリキュラムを基盤とした上で、(1)から(3)は連続体を成し、障害種や教育の場ではなく、個々のニーズに応じてカリキュラム修正がなされていることが明らかとなった。我が国のインクルーシブ教育システムにおけるカリキュラムに関しては、障害特性に応じた独自の教育内容・方法を含む形で、通常教育と特別支援教育を連続体として捉え、その上で個のニーズに応じた教育内容・方法を選択する方法を考える必要がある。
著者
野口 晃菜 米田 宏樹
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.413-422, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
41

米国では、連邦法により、障害のある児童生徒も通常教育カリキュラムへアクセス可能とすることが各州に義務付けられている。本稿では、障害児教育が場の議論からカリキュラムの議論へ移行した背景を整理し、通常教育カリキュラムへのアクセス方法および知的障害カリキュラムの研究動向と成果を整理した。通常教育カリキュラムへのアクセスは、スタンダード・ベース改革とインクルーシブ教育の実践レベルでの課題の両方への対策として講じられた。アクセス方法に関しては、RTI導入や「カリキュラム修正」が挙げられた。知的障害のある児童生徒については、教科の機能的内容が科学的根拠に基づき指導され始めている。スタンダードに基づいた教育内容の指導および試験への参加が、障害のある児童生徒の教育成果を測る方法として適切であるのか、通常教育カリキュラムへのアクセスが、多様なニーズに対応するインクルーシブ教育として評価され得るのか、検討されなければならない。
著者
野口 晃菜 米田 宏樹
出版者
The Japanese Association of Special Education
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.413-422, 2012

米国では、連邦法により、障害のある児童生徒も通常教育カリキュラムへアクセス可能とすることが各州に義務付けられている。本稿では、障害児教育が場の議論からカリキュラムの議論へ移行した背景を整理し、通常教育カリキュラムへのアクセス方法および知的障害カリキュラムの研究動向と成果を整理した。通常教育カリキュラムへのアクセスは、スタンダード・ベース改革とインクルーシブ教育の実践レベルでの課題の両方への対策として講じられた。アクセス方法に関しては、RTI導入や「カリキュラム修正」が挙げられた。知的障害のある児童生徒については、教科の機能的内容が科学的根拠に基づき指導され始めている。スタンダードに基づいた教育内容の指導および試験への参加が、障害のある児童生徒の教育成果を測る方法として適切であるのか、通常教育カリキュラムへのアクセスが、多様なニーズに対応するインクルーシブ教育として評価され得るのか、検討されなければならない。
著者
野口 晃菜 米田 宏樹
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.99-112, 2010-03-25

日本では特別支援教育支援員の活用が始まっている。一方、米国は1950年代からParaeducatorと呼ばれる教育補助員を活用しているが、連邦法上に位置付けられたのは、1997年障害者教育法と2001年初等中等教育改正法からである。本稿では1950年代から現在までのParaeducatorの数、役割、養成制度の変遷を概観した。Paraeducatorの活用は、社会的要請の変化にともない、教員不足への対応として、マイノリティーへの公教育保障・雇用機会の提供として、さらには、障害のある児童生徒への適切な教育の提供のためなどへと拡大し、人数も増加してきた。また、当初Paraeducatorは、児童生徒に直に接することのない事務を担当したが、その役割は徐々に変化し、指導業務が中心となった。Paraeducatorの養成にあたっては、その役割を明確にし、それに見合った研修を実施する必要がある。
著者
野口 晃菜 米田 宏樹
出版者
The Japanese Association of Special Education
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.445-455, 2012

米国では、学力向上と格差の縮小を目的とした「スタンダード・ベース改革」が行われている。連邦法において、障害のある児童生徒に対しても、スタンダード・ベース・カリキュラムの適用と試験への参加が義務づけられた。その一方で、知的障害のある児童生徒については、障害特性に応じた機能的生活カリキュラムが適用されてきた。本稿では、スタンダード・ベース改革の法的枠組みを明らかにし、知的障害のある児童生徒へのスタンダード・ベース・カリキュラムの適用に関する議論を整理した。その結果、(1)教育改革の一環として、障害のある児童生徒が試験へ参加することにより学校の指導・支援状況が評価されること、(2)知的障害のある児童生徒については、教育内容・方法に大幅に変更が加えられるが、代替スタンダードに基づいて評価をしなければならないこと、が明らかになった。今後、代替スタンダードの内容設定と、評価方法の実践的検討を進める必要がある。