著者
野本 晃史 岩佐 武彦
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:0287251X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.129-142, 1985-12-25
被引用文献数
1

イギリスと日本の地理教育を正確に比較することは,いろいろと困難がともなう。授業形態・テキスト及びその内容,教科の位置づけなどが,それぞれに異なっているからである。しかしながら,間違いなくいえることは,日本と比較して市販されている教材の豊富なことであろう。 決まった教科書などなく,指導する教員が適当と思う教材を選択して使用している。しかしながら,その大半がG・C・EやC・S・Eの受験を意図した内容であることは,多くのテキストの序文などから推察することができる。これらの資料を参照すれぱ,イギリスではどのような観点から地理教育がなされているか理解できよう。 わが国と違う点は,「地理」が「社会科」としての位置づけが無く,「地理学」として独立して存在しており,特に,自然環境(地形・地質・気象・気侯など)と人間生活(都市・農村・土地利用)との関係が実に詳細かつ実証的に述べられている。 本稿は,特に地形図の読図を中心に,筆者両人のブリテン島現地視察調査の経験を活かして,いくつかの資料を具体的に紹介しながら,イギリスの地理教育の一端を考えてみたい。
著者
野本 晃史
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.300-311, 1960
被引用文献数
1

日本には現在パルプ用材供給地域として北海道北東部,奥羽南部,中部地方西部,中国山地,四国南西部,九州南西部がある.なかでも北海道と中国山地は主要供給地域となつている.北海道がエゾ松,トド松供給地域であるに対し,中国山地は赤松供給地域である.赤松利用は昭和25年頃を契機として盛んとなり,広葉樹利用の始まる昭和35年まで赤松は主要用材となつてきた.パルプ工業立地の南下現象は世界的傾向であるが,日本の場合,旧領土喪失による資源不足が南下を促進している.戦後の工場立地は,赤松資源林周辺の工場適地に誘致された.中国山地地域は約15の工場に用材を供給している.他の供給地域が1工場の独占的供給構造をなすに対し,争奪的であり,分配的である.各工場の用材仕入圏の形態と仕入量をみれば,工場立地と生産能力を知りうる.中部地方各工場の仕入圏は北日本に伸展せず,赤松を求めて西南日本に拡大している.北睦,東海道の各工場は中国山地に用材を求めている点注目すべきである.中国山地でも広島県山地地域が問題であり,用材争奪の結果は,資源涸渇と水害問題,坑木および一般用材コストの高値をよび,地域経済に波及するところ大である.
著者
野本 晃史
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, 2000-07-28