- 著者
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野村 みどり
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
- 雑誌
- 日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.3, pp.137-141, 2003-06-30 (Released:2011-03-09)
- 参考文献数
- 5
1950年代以降, 西欧諸国では, 病院におけるこどものためのあそび支援プログラムの発展と, その担当専門家の活躍によって, 家族中心ケアやプリパレーション (あそび・まなびを導入した診療準備) 等の支援も推進されてきた.1988年「病院のこども憲章」EACH Charterが作成され, 2002年, その現代的注釈が刊行された.本憲章の履行は, 国連こどもの権利条約の履行である.すなわち, 病院において親は, いつでも (夜間, 治療・検査時, 局所麻酔・鎮静中, 麻酔導入時・覚醒時, 昏睡状態, 蘇生処置中) こどもに付き添う権利を有し, 親は全面的にサポートされねばならない.こどもと親が処置すべてを事前に知っていることが意思決定に積極的に関わるための前提条件である.こどもを医療者の対等のパートナーに据えるとともに, 家族中心ケアの実現がもとめられており, わが国におけるその効果的推進のためには, 家族が付き添える病院環境の整備とホスピタルプレイスペシャリストなど, 専門家の養成・導入は緊急課題といえる.