著者
小林 加奈理 長戸 有希子 青井 暢之 L.R. ジュネジャ 金 武祚 山本 武彦 杉本 助男
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.153-157, 1998-02-01 (Released:2009-02-18)
参考文献数
24
被引用文献数
80 87 3

L-テアニンは緑茶の葉中および抽出液中に含まれているアミノ酸の一種で,カフェインによる興奮を抑制することが知られている.また,ラットへのL-テアニンの経口投与により,脳内のセロトニンが減少し,カテコールアミンの増加ずることが知られている. L-テアニンは動物実験で安全なことがすでに確認されている. 筆者らはL-テアニン服用による脳波への影響について検討した結果,リラックスをもたらすことを確認した. L-テアニンの影響を不安程度の異なる精神状態で調べるため, MAS法に従って段階I(高不安域群)の4名と段階V(低不安域群)の4名の計8名の女子学生を被験者に選定した. その結果, L-テアニン200mgを含む水100ml服用によって後頭部・頭頂部にα波の出現が認められた.α波出現は服用後40分後に観測され,少なくとも2時間は持続すると考えられる.α波の出現によるリラックス作用は,段階Vの低不安域群より段階Iの高不安域群の方が優れていた. L-テアニン服用後,被験者は眠気を感じず,十分なリラックスを感じた.また,指先が暖かくなったとの体感を感じた被験者もいた. 今回の研究により, L-テアニンは新しいタイプの添加物として食品や飲料に応用される可能性が示唆された.今後はさまざまなL-テアニン含有食品についての効果を検討するつもりである.
著者
伊藤 敞敏 金 武祚 菅原 弘 戸羽 隆宏
出版者
東北大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1991

シアル酸は生化学試薬として、また医薬品製造のための出発原料として、近年需要が急増しているが、その製造のための原料は、ツバメの巣などのごく限られたものとなっており、安価で大量の製造が困難な状況にあった。卵処理工場において卵成分の濾過の際に得られるカラザや卵黄膜の中には、多くのシアル酸が含まれていることに気付いたので、これを原料として工業的規模でシアル酸を製造することを試みた。これらの成分中には、シアル酸として代表的なN-アセチルノイラミン酸が高濃度で含まれているので、これを取り出すことを実験室的規模で検討した。原料を硫酸酸性下で加熱してシアル酸を遊離させ、陰イオン交換樹脂に吸着させたのち、ギ酸で溶出させ、減圧乾固、活性炭処理を行なった結果、湿カラザ試料100gより約50mg,湿卵黄膜試料100gより約175mgのシアル酸を得ることができた。これらの検討をもとに、つぎに大規模工業的製造のための製造テストを行なった。原料としては、カラザおよび卵黄膜部の混合試料800Kgを使用して、実験室的検討で得られた工程に従って処理を行なうことにより精製N-アセチルノイラミン酸を約300g得ることができた。現在試薬として市販されているN-アセチルノイラミン酸の価格は、1g約3万円と非常に高価であるが、卵は世界的に広く分布した食品であり、しかも卵の加工工場で得られるカラザや卵黄膜部は、従来は利用されず廃棄されていた部分である。従って原料は非常に安価であり、シアル酸の含量はかなり高く、かつ分離のための処理工程も比較的簡単であることから、本法によって今後はシアル酸の大量かつ安価な製造が可能となり、シアル酸を用いての研究や医薬品製造が容易になるものと期待される。
著者
金 武祚 小崎 丈太郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経バイオビジネス (ISSN:13464426)
巻号頁・発行日
no.39, pp.66-69, 2004-08

金 カテキンやGABAも売り上げを伸ばしていますから鶏卵抗体だけというわけではありません。しかし、飛躍的な伸びの原因というとやはり鶏卵抗体でしょうね。 動物に抗原を注射すると血液中に抗原特異的な抗体が生産されるが、雌のニワトリに抗原を注射すると、産んだ卵の白身や黄身に抗原特異的な抗体が生産される。