著者
小林 敏男 金井 一頼 淺田 孝幸 高尾 裕二 関口 倫紀 椎葉 淳 伊佐田 文彦 栗本 博行 松村 政樹 平山 弘 朴 泰勲 寺川 眞穂 古田 武 前中 将之 中田 有吾
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

グローバルニッチ戦略とは,自社の開発技術を評価する特定顧客に対して,そのニーズに叶った製品を開発・供給していく過程で,事業として存続しうる売上規模を獲得でき,その状態を持続可能にすることによって,当該製品が属する市場において参入障壁が高い小市場を形成でき,グローバルな多地域への展開が可能となる戦略のことである。ニッチ市場は,既存市場のセグメント分析から存在論的に発見できるものではなく,特定顧客との密接な協働から形成しうる過程論的な市場である。
著者
小島 廣光 寺本 義也 平本 健太 金井 一頼 工藤 剛治 梅本 勝博
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

『地域におけるNPOの知識ネットワーキング-経営学的実証研究』は,平成11年度に開始され,平成13年度に終了した。研究は,当初の実施計画にほぼそって遂行され,次のような4章からなる非常に有意義な内容の報告書を作成することができた。第1章NPOを取り巻く現状と課題我が国のNPOが直面している4つの危機((1)資金不足の危機,(2)市場競争の危機,(3)有効性の危機,(4)正当性の危機)と2つの明るい兆候が説明されるとともに,自己革新による危機の克服方法について考察された。第2章知識ネットワーキングに関する先行研究の検討組織学習,社会的学習,知識創造等の知識ネットワーキングに関する広範な先行研究が検討された。検討に際しては,未来志向のダイナミックな視点が採用された。第3章NPOの知識ネットワーキングの分析枠組NPOの知識ネットキングを分析するための枠組が提示された。この分析枠組は,(1)SECIモデル,(2)場,(3)知識資産,(4)ナレッジ・リーダーの4つの概念から成り立っており,NPO・政策形成過程・営利企業を含む広範な組織現象が分析可能な非常に有効な枠組である。第4章NPOの知識ネットワーキングに関する事例研究-NPO法立法過程の分析事例研究は,我が国のNPO法の立法過程を詳細に分析することにより,(1)本法律の特徴である市民に広く開かれた立法過程のあり方の提示,および(2)本法律の見直すべき問題点と有効な活用方法の解明を目指したものである。事例研究に際しては,全立法過程が6期に区分され,(1)政府,(2)議員・国会,(3)市民団体の3つの参加者の孑于動が詳述されるとともに,上述の枠組にもとづき詳細な分析が試みられ,次のような多くの興味ある事実が発見された。(1)NPO法立法過程は,知識ネットワーキングのプロセスであった。(2)NPO法立法過程の参加者は,見える参加者と隠れた参加者の各クラスターから成り立っている。(3)NPO法立法過程において,政策アクティビストである加藤紘一,坂本導聡,松原明が果たした役割は極めて大きい。(4)6つの政策の窓が開き,問題・政策・政治の3つの流れが合流することにより,NPO法は成立した。
著者
小林 敏男 金井 一頼 淺田 孝幸 高尾 裕二 竹内 惠行 椎葉 淳
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.定量的類型化作業「組織資本の測定」の観点から定量的類型化の基本仮説を構築した。本来この作業は,最終年度で実証に移るはずではあったが,基礎理論構築に手間取り,仮説構築にようやくこぎつけることできた。Lev and Radhakrishman(2003),蜂谷(2005)などの知見を参照しつつ,金融・保健を除く,日経225のサンプル企業のうち,条件に合致する企業数として86社,8年間のデータをもとに,仮説のフィットネスを確認しており,より頑健な理論にまで仕立てなければならない。(目標達成率60%)2.技術・知財戦略技術・知財戦略を聞き取り調査等から調べていけばいくほど,オープンさとクローズドさのバランス問題に横着することが確認される。ITの雄インテルにしても,PCIバスイニシアチブを充実させていた頃は,オープン路線で突き進み,バスやメディア等でデファクトの地位を取ると,今度はクローズドに振れ,それが結局,係争を引き起こし,会社としの業績に暗雲を漂わせ始めている。このバランスを決定づける要因分析の一般化を試みたが,個別ケース記述に留まった。(目標達成率70%)3.提携戦略次の「4」との兼ね合いから,ベンチャー企業における提携戦略について,聞き取り調査を中心に仮説を改良した。成長ステージ管理の重要性を認識するとともに,それぞれのステージにおける管理項目を洗い出した。具体的には,製品開発ステージにおいても,商流ステージであるB2BおよびB2Cを意識した開発管理とマーケティング管理が必要となり,ステージが進むに従い,パートナーシップの重要性が高まる。ただ闇雲なパートナーシップではなく,ビジネスモデルすなわち成長戦略に応じた提携が求められ,その機軸をなすのが,「時間切迫」と「資源の希少性」に他ならない。(目標達成率85%)4.地域産業集積「産業プラットフォームとしての大学」という観点から調査報告をまとめた。大学が有する国・地域としての研究所機能に加え,新産業の担い手としての大学発ベンチャービジネス創出の「場」,という観点を持つことによって,大学を観察することが,産業集積の実際を知る手がかりになる,ということが明らかになった。すなわち,日常的産学連携が活発でない地域では,大学発ベンチャービジネスも起こりにくく,また成功もしづらく,その「場」的取り組みが盛んな地域・大学が産業集積(新規事業創造)においてもリーダーシップを発揮している,ということである。理論的には「場」の概念の援用である。(目標達成率75%)