著者
小林 敏男 金井 一頼 淺田 孝幸 高尾 裕二 関口 倫紀 椎葉 淳 伊佐田 文彦 栗本 博行 松村 政樹 平山 弘 朴 泰勲 寺川 眞穂 古田 武 前中 将之 中田 有吾
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

グローバルニッチ戦略とは,自社の開発技術を評価する特定顧客に対して,そのニーズに叶った製品を開発・供給していく過程で,事業として存続しうる売上規模を獲得でき,その状態を持続可能にすることによって,当該製品が属する市場において参入障壁が高い小市場を形成でき,グローバルな多地域への展開が可能となる戦略のことである。ニッチ市場は,既存市場のセグメント分析から存在論的に発見できるものではなく,特定顧客との密接な協働から形成しうる過程論的な市場である。
著者
頼 誠 塘 誠 淺田 孝幸
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.63-74, 2016 (Released:2016-12-08)
参考文献数
18

今日の総合商社は単にトレードだけではなく,さまざまな機能を総合的に組み合わせ,バリューチェーンを創り出している。本稿では,事業計画の立案,コミットメント方法,事業のポートフォリオ・マネジメントについて明らかになった知見を紹介している。特に,主に三菱商事の事例をとりあげ,事業案件のスクリーニング,事業案件の評価の仕組み,リスクマネジメントといった戦略的マネジメント・コントロール・システムの概要を明らかにしている。
著者
頼 誠 淺田 孝幸 塘 誠
出版者
公益財団法人 メルコ学術振興財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-30, 2012

純粋持株会社(以下HDと略す)制をとったものの業績の上がらない企業がある。その原因は,本社の統治のための経営力としてのパワーが弱く事業会社が本社の意図しない行動をとることに起因する可能性がある。本稿のテーマは,事例研究を通じて得られた結果をもとに,各事業会社がその事業内容に応じて自主的にかつ事業最適をねらって行う事業力としての遠心力に対抗できるグループ全体を統治する力としての求心力をどのように強化すればよいかを提案することである。HD制を採用している企業グループを観察すると,事業間での関連性が少なく事業毎に別々の意思決定をする方が合理的な多角化企業,M&Aなど組織再編を行う必要性の高い企業,さらにはグローバル企業で各地域や国を単位に事業構造を切り分けている企業において採用している場合が多いように思われる。しかし,それらのグループ全体を統括するHDは,一方では,人,モノ,カネ,情報などの経営資源を,必要に応じてHDの支配下に置けるようなマネジメント・コントロールの仕組み(戦略に対応した方針設定・業績モニター・業績評価・目標整合的動機づけ)が必要である。 <BR>本稿では,小売業のHDであるイオンとセブン&アイHDの事例から,なぜHD化の必要があったのかを明らかにすると共に,分権化の行きすぎが企業の業績に負の影響を与える危険性のあることを説明したい。そして,その弊害を緩和するために,事業会社間に横串を刺す仕組みや,管理機能の重複を共通化する仕組み等について検討する。さらに,「選択と集中」のためには本社が統治能力をもつことや,人の異動と資金調達力をHDが握ることが重要であること等,いくつかの事例から得られた知見をまとめることにしたい。
著者
福重 八恵 前田 利之 岡本 直之 淺田 孝幸
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.2_17-2_26, 2009 (Released:2009-07-01)
参考文献数
10

著者らの研究グループは,平成16年度以降約5年にわたり,教育支援システムに関する産学共同研究開発を実施してきた.また,産学の連携体制を整え,産学協同による大学発ベンチャーを設立した.本稿では,まず,この産学協同ベンチャーにより開発されたモバイルシステムの実用化事例について紹介する.その上で,大学,民間,産学のそれぞれが研究開発を行った類似の教育支援システムの比較・分析を通し,産学共同研究開発の有効性と実用化の成功要因を明らかにする.さらに,産学連携の本質を「場」の概念を用いて説明する.
著者
小林 敏男 金井 一頼 淺田 孝幸 高尾 裕二 竹内 惠行 椎葉 淳
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.定量的類型化作業「組織資本の測定」の観点から定量的類型化の基本仮説を構築した。本来この作業は,最終年度で実証に移るはずではあったが,基礎理論構築に手間取り,仮説構築にようやくこぎつけることできた。Lev and Radhakrishman(2003),蜂谷(2005)などの知見を参照しつつ,金融・保健を除く,日経225のサンプル企業のうち,条件に合致する企業数として86社,8年間のデータをもとに,仮説のフィットネスを確認しており,より頑健な理論にまで仕立てなければならない。(目標達成率60%)2.技術・知財戦略技術・知財戦略を聞き取り調査等から調べていけばいくほど,オープンさとクローズドさのバランス問題に横着することが確認される。ITの雄インテルにしても,PCIバスイニシアチブを充実させていた頃は,オープン路線で突き進み,バスやメディア等でデファクトの地位を取ると,今度はクローズドに振れ,それが結局,係争を引き起こし,会社としの業績に暗雲を漂わせ始めている。このバランスを決定づける要因分析の一般化を試みたが,個別ケース記述に留まった。(目標達成率70%)3.提携戦略次の「4」との兼ね合いから,ベンチャー企業における提携戦略について,聞き取り調査を中心に仮説を改良した。成長ステージ管理の重要性を認識するとともに,それぞれのステージにおける管理項目を洗い出した。具体的には,製品開発ステージにおいても,商流ステージであるB2BおよびB2Cを意識した開発管理とマーケティング管理が必要となり,ステージが進むに従い,パートナーシップの重要性が高まる。ただ闇雲なパートナーシップではなく,ビジネスモデルすなわち成長戦略に応じた提携が求められ,その機軸をなすのが,「時間切迫」と「資源の希少性」に他ならない。(目標達成率85%)4.地域産業集積「産業プラットフォームとしての大学」という観点から調査報告をまとめた。大学が有する国・地域としての研究所機能に加え,新産業の担い手としての大学発ベンチャービジネス創出の「場」,という観点を持つことによって,大学を観察することが,産業集積の実際を知る手がかりになる,ということが明らかになった。すなわち,日常的産学連携が活発でない地域では,大学発ベンチャービジネスも起こりにくく,また成功もしづらく,その「場」的取り組みが盛んな地域・大学が産業集積(新規事業創造)においてもリーダーシップを発揮している,ということである。理論的には「場」の概念の援用である。(目標達成率75%)