著者
緒方 秀教 平山 弘
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.33-43, 2016 (Released:2016-08-19)
参考文献数
6

概要. 本論文では,平山が提案した有限区間積分に対する数値積分法 —本論文では「超函数法」と呼ぶ —について解析を行う.超函数法では,問題とする積分を閉積分路上の複素積分に変換して,周期関数に対して性能の良い台形公式で近似計算する.数値実験により,超函数法は積分区間端点の特異性が強い積分に対して有効であることがわかる.また,超函数法と佐藤超函数論との関係についても触れる.
著者
平山 弘
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.26(1991-HPC-040), pp.1-8, 1992-03-21

多倍長数の数の乗算には、高速フーリエ変換 () を使えば原理的には高速に計算できることはよく知られたことである。この計算は倍精度浮動小数点演算で行うのが高速で有効な方法である。この場合、計算途中で誤差が生じる。この計算法を使うには、この誤差がどの程度の大きさであるか知る必要がある。本論文では、解析的方法、半解析的方法、数値方法によってその誤差がどの程度大きさであるかを調べた。FFTを使った計算は、計算機の僅かな計算精度の違いによって、計算できる桁数が大きく変化することがわかる。1語に5桁の数値を入れた多倍長数の場合、仮数部が53ビットのIEEE方式の場合約5万桁、56ビットのIBM方式のとき、16万桁の計算が可能である。
著者
平山 弘 加藤 一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.22, pp.173-178, 2002-03-07

べき級数の四則演算や関数計算は、C++言語を使うと容易に定義できる。四則演算や組込関数や条件文を使って定義される関数はべき級数に展開できる。これを利用すると常微分方程式の解をべき級数展開することができる。解は任意次数まで計算できるので、Runge-Kutta に代わる任意次数の公式として使うことができる。べき級数を使えば、誤差評価も容易に行え、許容誤差内の適切なステップサイズを容易に求められる。さらに、べき級数を有理関数展開(Pade展開)に変換し、それを利用すると任意次数でA安定な常微分方程式を解く数値計算法を与える。これらの方法を使えば、いろいろな関数およびその逆関数のべき級数を容易に得られる。この級数を使うと、任意次数の非線形方程式の解法を得る。The arithmetic operations and functions of power series can be defined by C++ language. The functions which consist of arithmetic operations, pre-defined functions and conditional statements can be expanded in power series. Using this, the solution of an ordinary differential equation can be expanded in power series. The solution can be expanded up to arbitrary order, so the calculation formula of arbitrary order can be used instead of Runge-Kutta formula. Power series can be used for the evaluations of the errors and the optimal step size within given error allowance easily. In addition, we can transform power series into Pade series, which give arbitrary order, high precision and A-stable formula for solving ordinary differential equation numerically. The power series with many functions and its inverse functions can be easily gotten when using this way. It gives arbitrary order formula for solving non-linearequations numerically.
著者
森島 保 早原 悦朗 松井 信行 平山 弘三
出版者
Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子通信学会論文誌. C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J65-C, no.4, pp.257-262, 1982-04-20

DC-DCコンバータやDC-ACインバータに広く用いられているロイヤー回路は,回路構造が簡単にもかかわらず回路解析が面倒なため,従来,スイッチング時間や電力損失の評価はほとんどなされていなかった.本論文は比較的低負荷時のロイヤー回路の動作解析を行ったものである.回路素子のモデルは磁心のB-H特性は平行四辺形の折線で近似し,トランジスタは電荷蓄積効果を考慮した Ebers-Mollのモデルを用いた.又,計算方法は状態推移法を使用した.計算機によるシミュレーションの結果は実用上十分な精度であることを実験によっても確めた.
著者
平山 弘 ひらやま ひろし
雑誌
阪南論集. 社会科学編
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.55-66, 2013-10
著者
小林 敏男 金井 一頼 淺田 孝幸 高尾 裕二 関口 倫紀 椎葉 淳 伊佐田 文彦 栗本 博行 松村 政樹 平山 弘 朴 泰勲 寺川 眞穂 古田 武 前中 将之 中田 有吾
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

グローバルニッチ戦略とは,自社の開発技術を評価する特定顧客に対して,そのニーズに叶った製品を開発・供給していく過程で,事業として存続しうる売上規模を獲得でき,その状態を持続可能にすることによって,当該製品が属する市場において参入障壁が高い小市場を形成でき,グローバルな多地域への展開が可能となる戦略のことである。ニッチ市場は,既存市場のセグメント分析から存在論的に発見できるものではなく,特定顧客との密接な協働から形成しうる過程論的な市場である。
著者
平山 弘
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2014-HPC-143, no.22, pp.1-7, 2014-02-24

倍精度浮動小数点数を 2 個で表現できる 4 倍精度数用の演算ルーチンを作成した。これらの数値の入出力にために C++ 言語で作成した多倍長演算ルーチンを利用した。このプログラムを使うことによって、通常 4 倍精度を持たない C++ 言語に 4 倍精度の演算機能を持たせることができる。この演算ルーチンでは、四則演算だけでなく、絶対値、整数部、指数対数関数、三角関数およびその逆関数、双曲関数およびその逆関数を準備した。このライブラリを利用することによって、既存の C++ 言語のプログラムを容易に 4 倍精度プログラムに変換することができる。多くのプログラムを高精度で計算出来る。
著者
平山 弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

<b>1.はじめに </b>近年マーケティングの世界において、ブランド構築およびブランド価値を高めるために、モノよりもコト、経験、価値共創をつくりだすために必要な手法として、ストーリー・テリングが注目されている。田中(2012)によれば、これは古くは1980年代の記号論の世界に登場した経緯があり、近年ではマーケティング・コミュニケーションのために有効なコンテンツづくりとして重視されている<sup><sup>[1]</sup></sup>。本研究ではこれまでストーリーを重視したブランドづくりを展開してきた沖縄瑞泉酒造<sup><sup>[2]</sup></sup>を取り上げることで、地域ブランドとしてのブランド化への秀逸性だけでなく、企業の所在地域やその業界の地位向上に貢献する企業スピリットを明らかにする.<br><b>2.瑞泉の歴史 </b>泡盛は琉球王朝の歴史とともに発展してきた500年以上の歴史をもつものであり、瑞泉酒造は1888年に創業されたのであるが、その始祖は琉球王朝における焼酎職から始まっている。その後、太平洋戦争において戦局が悪化する過程で、1944年には製造休業状態となり、末期には首里城周辺がアメリカ軍の爆撃を受け、同地は壊滅的な被害を受け、泡盛の製造所が破壊され、保管されていた古酒が消失するに至ったのである。戦後は直営工場となり、1949年に民営化され、1951年にようやく同社の酒造が再開され、1971年に現在の株式会社組織となり、全国での酒類調味食品品評会での受賞、イギリス国際ワイン&スピリッツコンペティションで初受賞をしている。<br><b>3.転機 </b>こうした泡盛づくりにおいて県内を中心にその供給がなされてきたのであるが、同社にとって1998年6月にある転機となる出来事が判明したのである。それが東京大学分子細胞生物学研究所のコレクションに、戦前に東京大学坂口謹一郎博士が沖縄で採取した麹菌が奇跡的に残されていたである。これにより、東京大学の協力、沖縄国税事務所須藤博士の尽力と同社の職人たちの寝る間を惜しんでの泡盛づくりが功を奏して、ここでも2度目の奇跡である、戦前の黒麹菌によるお酒が復活したのである。この泡盛は「御酒(うさき)」と命名され、そのストーリー性から数多くのマスコミに取り上げられることで、県外への需要も増加することで、現在の売上の県内の55%に対して県外45%の数字を呼び起こした。<br><b>4.ブランド化 </b>日本国内においては2003年から2007年へ続く「第2次焼酎ブーム」の到来により、焼酎乙類の需要が拡大し、特にいもを原料とした焼酎がその牽引力となって同ブームを支えたこともあり、より品質のよいアルコール度数の高い香りのよい沖縄の泡盛に対する需要も東京や大阪の市場を中心に増大することで、また沖縄サミットでの泡盛の登場や沖縄を題材にしたNHKテレビ「ちゅらさん」の全国放送などの影響もあり、その存在価値を高めてきた。低価格路線の焼酎甲類とは異なり、焼酎乙類業界にとっては本格派のものが売れ筋となっていることもあり、瑞泉酒造のそのストーリー性あふれる「御酒」や歌手のbeginとのコラボでつくられた「びぎんのしまー」、東京大学コミュニケーションセンターで販売されている「熟成古酒御酒」など、知名度の高さとともに、指名買いを生むブランド化された商品も数多い。<br><b>5.課題-マーケティング戦略の再構築- </b>沖縄における泡盛製造会社は47社からなっており、沖縄県酒造組合として組織化されていることから、今後のマーケティング戦略として組合として最優先すべき課題は(1)焼酎のカテゴリーからの脱却(2)新たな泡盛(スピリッツ)カテゴリーの構築である。焼酎甲類と焼酎乙類という二大焼酎カテゴリーの中でのポジショニングはプラスにはならないこと、また地酒という切り口で成功を収めてきた純米酒と同様に、泡盛業界も新たな価値提案をすべき時期に来ている。加えて、ヨーロッパにおける新たな泡盛スピリッツというカテゴリーでの提案はその度数の高さとともに、たとえばイタリアのお酒「グラッパ」や食前酒としてのスパークリング泡盛の開発など、今後その流通・マーケティング戦略の適切な話題作りとその構築が非常に重要になってくる。<br>注 [1] http://macs.mainichi.co.jp/space/web/041/marke.html(田中洋(2012)「#41 ストーリーテリング Story Telling」『WEB版スペース』毎日新聞広告局)。[2] 本研究はJSPS科研費 JP16K03966の助成を受けたものである。日本学術振興会 2016年度科学研究費補助金(基盤研究(C)課題番号:16K03966「中小・零細企業に必要とされるプラットフォーム化とブランド価値創造戦略の重要性」)。また、前研究課題<br>(24243048)の際に瑞泉酒造株式会社を訪ね、佐久本学常務取締役へのインタビュー調査を実施したものがベースとなっている。記して謝意としたい。<br>
著者
平山 弘
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2015-HPC-151, no.14, pp.1-6, 2015-09-23

Taylor 級数の四則演算および関数は C++ 言語によって容易にできる.四則演算,関数,条件文等で記述された C++ 言語で定義された関数は容易に Taylor 展開できる.解は任意次数まで計算できるので,Runge-Kutta に代わる任意次数の公式として使うことができる.Taylor 級数を使えば,誤差評価も容易に行え,許容誤差内の適切なステップサイズを容易に求められる.さらに,べき級数を Pade 展開に変換し,それを利用すると任意次数で A 安定な常微分方程式を解く数値計算法を与える.偏微分方程式を空間的に差分化し,得られる連立常微分方程式を時間方向にべき級数法を適用して解くことを提案する.この方法を使うと安定で精度の高い計算ができる.本文では,空間方向に精度の高いコンパクト差分近似法を使って,偏微分方程式を連立常微分方程式で高精度で近似し,それを A 安定な Taylor 展開法で解き,精度の高い計算が出来た.例題の拡散方程式では,絶対誤差が 10-10 程度以下の計算が出来た.
著者
平山 弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.21, pp.27-32, 1997-03-06

二つの高精度数の乗算には、FFTを使うと効率的に計算できることが知られている。この計算には、通常の倍精度実数を使う。そのため、打ち切り誤差の影響を受ける。本論文では、この打ち切り誤差を調べ、この方法が使える範囲を解析的、数値的方法で求めた。この領域は、僅かな浮動小数点の形式の違いで、すなわち、計算機の違いで、大きく変化することがわかる。It is well known that the multiplication of two high precision numbers can be very effectively by using FFT. This method can be carried on double precision floating-point numbers. In this methods, the calculation can not avoid truncation errors. We must investigate this errors for using of the FFT algorithm. In this paper, this errors are considered by analytical and numerical methods and gives applicable range of the FFT algorithm. These range change very much whtn slightly difference of floating-point number format.
著者
平山 弘 小宮 聖司 佐藤 創太郎
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-8, 2002-03-15
被引用文献数
11

The arithmetic operations and functions of Taylor series can be defined by C++ language. The functions which consist of arithmetic operations, pre-defined functions and conditional statements can be expanded in Taylor series. Using this, the solution of an ordinary differential equation can be expanded in Taylor series. The solution can be expanded up to arbitrary order, so the calculation formula of arbitrary order can be used instead of Runge-Kutta formula. Taylor series can be used for the evaluations of the errors and the optimal step size within given error allowance easily. In addition, we can transform Taylor series into Pade series, which give arbitrary order, high precision and A-stable formula for solving ordinary differential equation numerically.