著者
村﨑 聡 鈴木 一典
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.431-437, 2019 (Released:2019-12-31)
参考文献数
16

本研究では,露地夏秋小ギクにおける電照栽培での,これまで以上に花芽分化の抑制効果が高い電照技術の開発を目的とし,暗期中断電照の時間帯が花芽分化の抑制および開花に及ぼす影響を調査した.実験では,小ギクの高需要期である8月盆出荷作型において,複数の夏秋小ギク品種と輪ギク品種を供試し,光源として白熱灯および蛍光灯を用い,前夜半(20~0時),慣行(22~2時),後夜半(0~4時)の時間帯に暗期中断電照を行ったところ,後夜半で高い花成の抑制効果を示した.後夜半区では長日下花芽分化節位が高まり,消灯後の発蕾日数と到花日数が長くなり,節数が増加した.また,現地農家圃場において生産規模で電照時間帯が開花に及ぼす効果を検証したところ,後夜半区で花芽分化を強く抑制し,発蕾日数と到花日数が長くなり,節数が増加した.これらのことから,これまで以上に花芽分化の抑制効果が高い電照技術として,後夜半電照の有効性が現地実証された.
著者
大久保 直美 鈴木 一典 近藤 雅俊 谷川 奈津 中山 真義 柴田 道夫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.183-187, 2007 (Released:2007-04-23)
参考文献数
15

沖縄産ヒメサザンカ野生種13系統,芳香性ツバキの花粉親の一つであるヒメサザンカの系統1118(海外経由系統),芳香性ツバキ4品種の香気成分の比較を行った.ヒメサザンカの香気成分について,新たにリモネンおよび6種の芳香族化合物,安息香酸ベンジル,オイゲノール,サリチル酸メチル,o-アニス酸メチル,フェニルアセトアルデヒド,ベンズアルデヒドを同定した.沖縄産野生種13系統の香気成分量は,ほとんどのものが海外経由系統より多く,特に系統3と36が多かった.この二つを比較すると,花様の香調の2-フェニルエタノールやフェニルアセトアルデヒドの割合が多い系統36の香りの方が強く感じられた.ヒメサザンカを花粉親とする芳香性ツバキ‘姫の香’,‘港の曙’,‘春風’,‘フレグラントピンク’の香気成分の組成もヒメサザンカとほぼ同じであったが,組成比は品種ごとに大きく異なり,花様の香調を持つ成分の割合の多い‘姫の香’,‘港の曙’で香りが強く感じられた.
著者
霞 正一 鈴木 一典 郷内 武 野木 光子 山田 哲也 高津 康正
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.284-286, 2006-05-15
被引用文献数
1 1

キキョウ'五月雨紫'等の開花2〜5日前の花蕾子房を縦に8分割した子房片を外植体として,NAAとBAPの両方を添加したMS培地で培養すると不定芽が形成された.1mg・L^<-1>NAAと5mg・L^<-1>BAP添加区で最も不定芽形成率が高かった.この不定芽をMS培地に継代培養することで植物体が再生した.この植物体をポットで栽培した結果,再生個体の茎葉の形態,開花様相は親植物と同一であった.また,子房片からの不定芽形成率には品種間差異が認められた.