著者
鈴木 信貴
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.3-17, 2021 (Released:2022-12-16)
参考文献数
41

This study examines the management strategy of assembly manufacturer in the presence of highly competitive core module component manufacturer in modular industry. In recent years, modularization of products, division of labor in industrial structure and cost competition can be observed in various industries. Prior studies have argued that in such industries, assembly manufacturers seek to differentiate their products through the strategies: pursuing economies of scale, specializing in a niche, presenting a new concept or value to customers. However, if highly competitive core module component manufacturer is in such industries, the strategy and management of assembly manufacturers are severely constrained. Even if other component manufacturers exist, many assembly manufacturers are forced to procure components from a specific component manufacturer for the performance and function of their end products. Since core module component has a significant impact on the final products, assembly manufacturers are no longer able to differentiate their products. This study proposes coordination strategy among core module components as one of the possible management options for assembler. The coordination strategy is one in which assembler reduces its dependence on a specific component manufacturer by adjusting the differences in performance and function among core module components. In order to verify the validity of this strategy, this paper selects Mori Seiki, a machine tool manufacturer, as a case study and analyzes the approach for NC (Numerical Control). Mori Seiki tried to change its business relationship with Fanuc, the largest NC manufacturer, by increasing the number of suppliers of NC from the 1970s to the 1990s. But these efforts were not successful. In the 2000s, Mori Seiki changed the relationship with Fanuc by adjusting the differences between NCs through the development of MAPPS. From the case study, this study shows that when core module component manufacture is highly competitive in modular industry, it is difficult for the assembler to implement the strategies discussed by previous studies and the coordination strategy can be effective.
著者
鈴木 信貴
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 第89集 日本的経営の現在─日本的経営の何を残し,何を変えるか─ (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
pp.F32-1-F32-7, 2019 (Released:2019-09-26)

企業,産業の海外シフトが進む中,地域の産業集積はどのようなプロセスのもとで再生が可能になるか。この問いに対し故天野倫文東大准教授は新潟県中越地域を事例として一連の研究を行った。先行研究は,成長している企業は地元業者との分業関係のもとに,自らは開発に特化しニッチ分野で高い競争力を持つ製品を開発し販売を東アジアに広げ受注を伸ばしていることを明らかにし,これらの企業の成長とともに産業集積が再生へ向かっていると論じた。 本研究は,先行研究から10年以上が過ぎた今,先行研究どおりに産業集積は再生したのかという問題意識のもとに,その検証を試みた。先行研究の調査後も一連の企業,産業集積はおおむね先行研究の方向で成長していた。しかし,リーマンショックにより,どの企業も壊滅的な打撃を受け,特に東アジア,ニッチ分野に力を入れていた企業は,その影響が大きかった。リーマンショック後,各社はそれぞれ経営体制を大きく変えることにより業績を戻し,そのことにより産業集積が新たな形で再び再生へと向かっていることが明らかになった。
著者
岸 保行 鈴木 信貴
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3-4, pp.31-44, 2016-01-01 (Released:2022-02-25)
参考文献数
25

本稿は,現場の存続と深層の競争力,能力構築の関係について,富士ゼロックスマニュファクチュアリング(株)新潟事業所の事例を基に分析した.事例調査では,事業所を訪問し,工場調査と関係者へのヒアリングをおこなうとともに,工場の関連資料の収集をおこなった.本稿の分析結果からは,売却,合併によって,親会社が変わったとしても,現場の能力構築によって培かわれてきた高い深層の競争力や組織能力,さらには蓄積された知識,技術が継承されることで,その後も,扱う製品が変化したとしても高いパフォーマンスを発揮し,生産現場の存続につながるとともに,新会社の他の生産現場に影響を与えることが明らかになった.
著者
鈴木 信貴
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.F32-1-F32-7, 2019

<p>企業,産業の海外シフトが進む中,地域の産業集積はどのようなプロセスのもとで再生が可能になるか。この問いに対し故天野倫文東大准教授は新潟県中越地域を事例として一連の研究を行った。先行研究は,成長している企業は地元業者との分業関係のもとに,自らは開発に特化しニッチ分野で高い競争力を持つ製品を開発し販売を東アジアに広げ受注を伸ばしていることを明らかにし,これらの企業の成長とともに産業集積が再生へ向かっていると論じた。</p><p> 本研究は,先行研究から10年以上が過ぎた今,先行研究どおりに産業集積は再生したのかという問題意識のもとに,その検証を試みた。先行研究の調査後も一連の企業,産業集積はおおむね先行研究の方向で成長していた。しかし,リーマンショックにより,どの企業も壊滅的な打撃を受け,特に東アジア,ニッチ分野に力を入れていた企業は,その影響が大きかった。リーマンショック後,各社はそれぞれ経営体制を大きく変えることにより業績を戻し,そのことにより産業集積が新たな形で再び再生へと向かっていることが明らかになった。</p>
著者
鈴木 信貴
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.9, no.9, pp.635-662, 2010-09-25 (Released:2018-02-25)
参考文献数
32

モジュール型産業では、部品メーカーが競争優位を持ち、組立メーカーはなかなか競争優位を獲得することが難しいといわれている。戦後、日本の工作機械産業は、モジュール化によって世界市場を席巻したが、やはり、部品メーカーが競争優位を持ち、工作機械メーカーは競争力を失っていった。本稿では、モジュール化が進展した日本の工作機械産業において、複合加工機の開発に成功したヤマザキマザックの事例から、日本とアメリカという特性が異なる市場を活用し、探索的な技術融合と組織内外の幅広い提携活動によって、段階的に製品のインテグリティーを高め、競争優位を獲得したケースを分析する。