著者
柳原 直人 鈴木 夏夫 菅沢 深
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

この車椅子は先端に4個の車輪が付いた十字アームを用いる。この4個の車輪はスプロケットが取り付いており、これらはループ状のチェーンとスプロケットを取り付けたモータによって同時に駆動される。この車輪付き十字アーム機構は平地では車輪の回転によって走行し、車輪が前方には小型の車輪付き十字アームを先端に持った姿勢保持アームを取り付け、これにはキャスターが取り付けられている。この車椅子は車輪付き十字アーム機構の4個の車輪のうち接地している車輪が駆動輪となる。平地走行では駆動輪が取り付けられている十字アームを回転させ、左右各一輪を駆動輪として走行する。階段昇降時には姿勢保持アームに加わる荷重を減少させるために座席を駆動モータによって移動させ、車体の重心の位置を駆動輪に近づける。また、階段昇降では段差による高さの変動よって座席の角度が変化しないようにするため、姿勢保持アームの高さを調整する。車椅子の操作用のジョイスティックは、どのような利用者でも容易に操作できることを目標とし、複雑な操作を必要とせずに、平地走行モードと階段昇降モードの切り替えのみで運転できるシステムとした。この車椅子の走行実験の結果、けあげ高さ165mm、踏み面高さ320mmの階段を体重70kgの人が昇降した実験においては、一段あたりの上昇時間約3秒、降下時間約6秒で安定した昇降が可能であることが確かめられた。また、平地走行モードと階段昇降モードの切り替えが数秒で可能となり、この車椅子の技術は実用レベルまで到達したと判断している。
著者
大山 英明 床井 浩平 城間 直司 中村 壮亮 米村 朋子 鈴木 夏夫 大森 隆司 岡田 浩之
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

現実に様々な経験を体験している人(実体験者)の感覚情報を記録・送信し,それを体験者が体験した状態(体勢)で,再生することによって,実体験者の経験を仮想的に追体験できる.これを我々は体験共有と呼んでいる.全ての感覚を伝えることが理想であるが,当面,視覚・聴覚による体験共有を目指し,実体験者用のヘッドマウンテッドカメラと姿勢センサ,追体験者用のヘッドマウンテッドディスプレイから構成される,体験共有システム試作機を開発中である.本発表では,体験共有技術について紹介し,追体験者の手と実体験者の手や追体験者の手のCG表示との間の投射・異投射について述べる.さらに,体験共有における投射・異投射について本格的実験を行うための,体験共有システム試作機を用いた準備的な評価実験の結果を報告する.
著者
金子 真 横井 一仁 鈴木 夏夫 谷江 和雄
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.62-70, 1989-02-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

プーリ・ワイヤ駆動系におけるトルクセンシングはこれまでプーリ両端のワイヤにそれぞれ張力センサを押し付けることにより行なわれていた.この万法では対応するトルクは2つの張力信号をアナログ演算回路に入れ両者の差をとることにより得られるため, 原理的に1軸あおり2個の張力センサを必要としていた.さらにこの方法はたとえ駆動トルクがプーリに作用していなくてもワイヤ張力に比例したバイアス力がセンサ部に作用するため, 残留応力やダイナミックレンジが広くとれないなどの欠点を有していた.本論文では駆動軸回りに発生するトルクがプーリ両端の張力差に比例することに着目して張力差動形のトルクセンサを提案している.次にトルクサーボ系を設計する上で重要な指標となるセンサの等価回転剛性を導入し, センサの幾何学的パラメータや外界の剛性がサーボ系のループゲインに及ぼす影響について, アームの慣性モーメントが無視できるという仮定のもとで考察している.