著者
高橋 英之 岡田 浩之
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.450-463, 2010-08-15 (Released:2010-11-15)
参考文献数
30
被引用文献数
3 3

コミュニケーションは人間の社会性の基盤となるものである.コミュニケーションは情報交換であり,一般的にはそこに曖昧さは必要が無いと考えられる.本論文では,人間のコミュニケーションに含まれる曖昧さが,特に大きな規模の社会集団では非常に重要な機能を持つという仮説を提起し,それを検討するためのシミュレーションと二つの顔表情を題材とした心理実験を行った.本論文ではそれらの研究の詳細を述べるとともに,それらの結果を受け,社会性やコミュニケーションの背後には曖昧さを処理する脳機能が大きな働きをしているのではないかという議論を行った.
著者
今井 むつみ 岡田 浩之
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

ヒトの非論理的だが効率のよい思考の背景に、本来一方向でしか成り立たないA→Bの関係の学習から逆方向のB→Aを同時に推論してしまう「対称性バイアス」があると言われている。このバイアスは私たちの言語学習と深い関連をもつと考えられてきたが、その詳細や発達的・進化的起源は不明である。本研究ではヒト乳児とチンパンジーの種間比較から、対称性バイアスがヒトで言語獲得以前に現れること、チンパンジーに比べヒトではこのバイアスが強く現れることを明らかにした。以上の結果をふまえ、対称性バイアスの発達や言語機能との関係等について考察した。
著者
宮崎 美智子 高橋 英之 岡田 浩之 開 一夫
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.9-28, 2011 (Released:2011-09-07)
参考文献数
56

The emergence of “Sense of agency” contributes to self-recognition. However there are few useful experimental paradigms for evaluating the development process of the sense of agency in young infants because the sense of agency is a subjective sense and young infants cannot verbally describe their internal experience. In this article, we propose a new experimental paradigm for examining the sense of agency using on-line eye tracking which we named “eye-scratch task”. This task enables us to evaluate the emergence processes of the sense of agency by a trajectory of voluntary eye movement. Besides, this task enables direct comparison of eye movement trajectories between infants and adults in common criteria. Hence, we can discriminate whether an infant feels the sense of agency or not by comparison with adults. Further, we analyzed participants' behavior in the task by the concept of feed-forward model that are the most famous computational frameworks for motor control and sense of agency. And we claim that our new infant's model based measurement give fruitful suggestions to the computational modeling for the development process of the sense of agency and self-recognition.
著者
野村 郁也 鮫島 和行 植田 一博 鷲田 祐一 岡田 浩之 大森 隆司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第10回大会
巻号頁・発行日
pp.64, 2012 (Released:2012-07-20)

新商品が次々と発売される消費社会において,既知の商品と未知の商品との間の選択は日常的に行われており,いずれを選択するかは消費者行動の重要な一面となっているが,このような選択に関する実験的研究はまだ少ない.本研究では,ミネラルウォーターを用いて,実験参加者にとって既知の商品と未知の商品との間の選択を繰り返し行い,その選択に関わる個人特性について検討した.さらに,商品選択を行っているときの脳活動をfMRI計測によって調べた.その結果,情報探索的な実験参加者ほど未知の商品を選択する割合が高くなる傾向が見られ,また,未知の商品の選択時には右前頭極に活動が見られた.これらの結果はともに未知の商品を選択することが情報を得るための行動であることを示唆するとともに,損得勘定に基づく判断であるとする従来のマーケティング現場の通念を変えうるものである.
著者
岡田 浩之 鮫島 和行
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.241-247, 2020-09-01 (Released:2020-09-15)
参考文献数
108
著者
稲邑 哲也 タン ジェフリートゥ チュアン 萩原 良信 杉浦 孔明 長井 隆行 岡田 浩之
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.698-709, 2014-06-15 (Released:2014-07-17)
参考文献数
19

ロボカップ@ホームはHuman-Robot Interaction (HRI) 研究の発展のために,今後重要な位置づけを持ったコンペティションである.HRIにおける研究開発では,膨大な量の対話実験による経験データベースが必要となる場合が多いが,実機のロボットでは実験実施のコストが高く,また,シミュレーションでは人間とロボットとの身体的インタラクションに制約が生じる.そこで,没入型のユーザインタフェースと,複数のクライアントが同時に同一の仮想世界にログイン可能な機能の双方をロボットシミュレータに搭載し,HRI研究を促進させることの可能なロボカップ@ホームシミュレーションの枠組みを提案する.また具体的なシステム実装に必要となる基盤技術の設計指針を示す.
著者
宮崎 美智子 高橋 英之 岡田 浩之 開 一夫
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 = Cognitive studies : bulletin of the Japanese Cognitive Science Society (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.9-28, 2011-03-01
参考文献数
56
被引用文献数
1

The emergence of “Sense of agency” contributes to self-recognition. However there are few useful experimental paradigms for evaluating the development process of the sense of agency in young infants because the sense of agency is a subjective sense and young infants cannot verbally describe their internal experience. In this article, we propose a new experimental paradigm for examining the sense of agency using on-line eye tracking which we named “eye-scratch task”. This task enables us to evaluate the emergence processes of the sense of agency by a trajectory of voluntary eye movement. Besides, this task enables direct comparison of eye movement trajectories between infants and adults in common criteria. Hence, we can discriminate whether an infant feels the sense of agency or not by comparison with adults. Further, we analyzed participants' behavior in the task by the concept of feed-forward model that are the most famous computational frameworks for motor control and sense of agency. And we claim that our new infant's model based measurement give fruitful suggestions to the computational modeling for the development process of the sense of agency and self-recognition.
著者
谷口 忠大 岩橋 直人 新田 恒雄 岡田 浩之 長井 隆行
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第25回 (2011)
巻号頁・発行日
pp.2B2OS22a1, 2011 (Released:2018-07-30)

ロボティクス,音声言語,画像研究を含むマルチモーダルインタラクション研究の発展に伴い,自律ロボットが人間と共生することを目標としつつ,記号過程を内包した人間知能構成論的理解を進める研究が始まっている.ロボットが人間や環境との相互作用を通して,コミュニケーションに必要な知識を発見・理解・学習・運用する過程の研究を計算論的に統合することは重要である.本発表では当該研究領域について概説する.
著者
岡田 浩之 山川 宏 大森 隆司
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.244-251, 2001-03-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

The trade-off of exploration and exploitation is present for a learnig method based on the trial and error such as reinforcement learning. We have proposed a reinforcement learning algorism using reward and punishment as repulsive evaluation (2D-RL) . In the algorithm, an appropriate balance between exploration and exploitation can be attained by using interest and utility. In this paper, we applied the 2D-RL to a navigation learning task of mobile robot, and the robot found a better path in real world by 2D-RL than by traditional actor-critic model.
著者
大山 英明 床井 浩平 城間 直司 中村 壮亮 米村 朋子 鈴木 夏夫 大森 隆司 岡田 浩之
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

現実に様々な経験を体験している人(実体験者)の感覚情報を記録・送信し,それを体験者が体験した状態(体勢)で,再生することによって,実体験者の経験を仮想的に追体験できる.これを我々は体験共有と呼んでいる.全ての感覚を伝えることが理想であるが,当面,視覚・聴覚による体験共有を目指し,実体験者用のヘッドマウンテッドカメラと姿勢センサ,追体験者用のヘッドマウンテッドディスプレイから構成される,体験共有システム試作機を開発中である.本発表では,体験共有技術について紹介し,追体験者の手と実体験者の手や追体験者の手のCG表示との間の投射・異投射について述べる.さらに,体験共有における投射・異投射について本格的実験を行うための,体験共有システム試作機を用いた準備的な評価実験の結果を報告する.
著者
稲邑 哲也 タン ジェフリートゥ チュアン 萩原 良信 杉浦 孔明 長井 隆行 岡田 浩之
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.698-709, 2014

ロボカップ@ホームはHuman-Robot Interaction (HRI) 研究の発展のために,今後重要な位置づけを持ったコンペティションである.HRIにおける研究開発では,膨大な量の対話実験による経験データベースが必要となる場合が多いが,実機のロボットでは実験実施のコストが高く,また,シミュレーションでは人間とロボットとの身体的インタラクションに制約が生じる.そこで,没入型のユーザインタフェースと,複数のクライアントが同時に同一の仮想世界にログイン可能な機能の双方をロボットシミュレータに搭載し,HRI研究を促進させることの可能なロボカップ@ホームシミュレーションの枠組みを提案する.また具体的なシステム実装に必要となる基盤技術の設計指針を示す.
著者
横山 裕樹 岡田 浩之
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

Actor-critic法や方策勾配法は行動や制御値として連続値を生成する方策の獲得を得意とするが, その方策空間は正規分布などに限定されることが多い. 本研究では,確率分布をパラメトリックに表現する代わりに,既知のノイズ分布からの変数変換によって間接的に表現し,ノンパラメトリックな確率的方策を獲得する強化学習手法を提案する.
著者
塚田 稔 小島 比呂志 大森 隆司 岡田 浩之 酒井 裕 奥田 次郎 小島 比呂志 岡田 浩之 酒井 裕 奥田 次郎
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

脳の記憶は外界(環境)からの感覚情報(ボトムアップ)と注意や予測など(トップダウン)の情報の相互作用によって創られている。高次の記憶に関連したニューロンにおいて、感覚からのボトムアップの記憶情報の書き込みでは時空間学習則(nonHEBB)が、注意などのトップダウン情報の書き込みではHEBB則が有効に働くことを理論と実験によって明らかにした。この実験結果に基づいて工学モデルによって実効性が確かめられた。
著者
阿部 香澄 岩崎 安希子 中村 友昭 長井 隆行 横山 絢美 下斗米 貴之 岡田 浩之 大森 隆司
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.263-274, 2013 (Released:2013-05-15)
参考文献数
29
被引用文献数
4

There has been many problems in situations surrounding children such as child neglect, deterioration in the quality of play, etc. We believe that robotic playmates would greatly help to solve these problems. In this paper we propose a playmate robot system that can play with a child. Unlike many therapeutic service robots, our proposed playmate system is implemented as a functionality of the domestic service robot with a high degree-of-freedom. This means that the robot can play with children at a high level, i.e., beyond a therapeutic effect, using its physical features. To sustain the player's interest in the system, we also propose an action selection strategy based on a transition model of the child's mental state. The robot can estimate the child's state and select an appropriate action in the course of play. Part of the proposed algorithms was implemented on a real robot platform, and experiments were carried out to design and evaluate the proposed system.