著者
鈴木 康宏 菅谷 しづ子 高橋 方子
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Insitute of Science (ISSN:24362565)
巻号頁・発行日
no.15, pp.15-22, 2022-03-28

【目的】看護観に対する看護理論の影響に関する看護師の認識とその理由について明らかにすることである。【方 法】病院で働く看護師を対象とし2019年2月~3月にMicrosoft formsを用いたWeb調査を実施したアールアンドディの病院年鑑2018年版の東日本版で一般病床数200床以上の施設から無作為に200施設選び依頼し承諾があり配布可能数が確認できた9施設計970名に配布した質問項目は年代,経験年数,性別,資格,看護師養成課程,学習した看護理論,看護観に対する看護理論の影響に関する看護師の認識(「看護理論はあなたの看護観に影響を与えたと思いますか?」)その回答理由(自由記述),看護理論以外に看護観に影響を与えたもの(自由記述), 看護 観(自由記述),単純集計およびχ2検定を行い自由記述の分析はKH Coderを用いて分析した倫理的配慮として研究者所属機関で倫理審査を受け回答により研究同意とみなすことを書面にて説明した。【結果】131名分のデータを用いて分析した「看護理論はあなたの看護観に影響を与えたと思いますか?」という設問に対して「思う」,「思わない」,「わからない」と答えた3群を背景によりχ 2検定した結果統計的な違いは認められなかった看護理論以外に影響している特徴語は〈患者〉,〈経験〉,〈先輩〉,〈関わり〉,〈体 験〉,〈臨床〉,〈家族〉,〈自分〉,〈実習〉であった。【考察】対象の背景により看護観に対する看護理論の影響に関する看護師の認識に統計的な違いは認められなかったが、理由について特徴的な語が明らかとなった それぞれの回答の理由より看護師本人の解釈が回答に影響していたと考えられる。【結論】看護観に対する看護理論の影響に対する看護師の回答の割合と対象の背景には統計的な違いは認められなかった。看護理論が看護観に影響を与えた理由についての特徴的な語が明らかとなった.
著者
鈴木 康宏
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織学会大会論文集 (ISSN:21868530)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.33-38, 2020 (Released:2020-08-27)
参考文献数
8

This is the age of the Fourth Industrial Revolution, and rapid digitization is bringing about tremendous changes in our society and business. In particular, new technologies such as IoT (Internet of Things), Big Data, and AI (Artificial Intelligence) are evolving with tremendous momentum, and companies are required to drastically transform their businesses themselves by utilizing digital technologies. This is called "Digital Transformation (DX)", and it is essential to transform corporate management through the reform of corporate IT departments. DX is progressing overseas like this, but, is Japanese companies able to cope with this change? And if not, what kind of change should we make in the future? In this research, in the global management environment where digital transformation is progressing, we focused on the corporate IT department, and surveyed on problem recognition and organizational reform of each company, and analyzed the tendency. In Japan, Ambidexterity's theory is too biased toward "exploitaion", and has not been able to shift to "exploration". Especially, Japanese don’t like change and have slow organizational decisions. Therefore, IT department and the digitalization department should be separated first. And, cluster analysis proved that the involvement of top management to DX departments contributed to the progress of DX.
著者
高橋 方子 菅谷 しづ子 鈴木 康宏 石津 みゑ子 布施 淳子 高橋 和子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.5_771-5_782, 2017-12-20 (Released:2017-12-27)
参考文献数
31

目的:本研究はわが国の事情に即したバリューズヒストリーの開発を目的とした。バリューズヒストリーは終末期医療の意思決定の根拠となる価値観を示す価値観歴である。方法:訪問看護師に対する面接調査および米国のバリューズヒストリーから作成した項目について,デルファイ法による質問紙調査を実施した。対象は訪問看護認定看護師397人・在宅看護専門看護師21人の合計418人とした。結果:「健康上の問題と向き合う姿勢」「健康上の問題に対する医師からの説明内容」「余命についてどう思っているかとその理由」「自分の意思決定の特徴」「自分のコミュニケーションの特徴」など35項目が日本版バリューズヒストリーとして選択された。考察;日本版バリューズヒストリーは,病名や病気の見通しなどについて本人に事実を伝えるとは限らないわが国の状況や,周囲の人の状況や調和を優先するといった日本人の意思決定の特徴が反映されていると推察された。
著者
鈴木 康宏 土井 徹
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.114-129, 2015-07-31

未就学児の子どもがいる女性看護師と未就学児の子どもがいる一般就労女性のワーク・ファミリー・コンフリクト(以下:WFC)を比較するために,質問紙を用いて仕事と生活の実情ならびにコンフリクトの強さを調べた。未就学児の子どもがいる働く女性を対象とするため,子どもを保育施設に預けている働く女性に限定し,調査対象者を次のように設定した。女性看護師は病院付属の保育施設を利用する女性看護師6施設計236名,一般就労女性は一般保育園を利用する働く女性2施設計263名を対象に調査を行った。両群にWFCの強さを測定するWFCS日本語版を含めた自記式質問紙調査を行った。分析にあたり両群ともに夫と同居していない者を除外し,さらに一般就労女性では医療職の者を除外した。2群の属性とWFC得点の関連を,統計的手法を用い分析した。回収は女性看護師136名(回収率57.6%),一般就労女性170名(回収率64.6%)であり,そのうち分析には女性看護師125名,一般就労女性122名を使用した。WFC得点の中央値は女性看護師が52,一般就労女性が45であり,マン・ホイットニーのU検定の結果,p=0.000となり,2群のWFC得点に違いがあることが認められ,平均ランクは女性看護師の方が高く,女性看護師の方がWFC得点が高いことを示していた。また,WFC得点の中央値より低い値を1(コンフリクトが小),高い値を0(コンフリクトが大)としたロジスティック回帰分析の結果,p<0.05となり有意であることが認められた要因は女性看護師では正職員に比べパート勤務でオッズ比が3.8,時短勤務で6.8,また夫との会話時間が大の場合のオッズ比は1.6であった。看護師では負担の少ない勤務形態と,夫との会話時間の増大がWFC得点の低減に関連していた。一般就労女性では有意であることが認められた要因はみられなかった。女性看護師は一般就労女性に比べて残業時間が多く,夜勤もあり,WFCを生じやすい。そのため,パートタイムや時短勤務はWFCを回避する勤務形態と考えられる。また夫とのコミュニケーションの機会の増加がWFCの低減に関連していたことが注目された。