著者
北本 朝展 堀井 洋 堀井 美里 鈴木 親彦 山本 和明
雑誌
じんもんこん2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.273-280, 2017-12-02

本論文は古典籍「武鑑」を対象として,大規模データを構造化するための全く新しいワークフローを提案する.まず「武鑑」を時間的に連続して変化する「時系列史料」という新しい種類の史料と捉え,そこから生み出される多数のバージョンをソフトウェア工学の観点から解釈し,これを板本書誌学の概念と対応させる.次にバージョン間の差分を検出する方法としてテキストベースと画像ベースのアプローチを比較し,「武鑑」では特に画像ベース差分検出が有効であることを示す.さらに差分検出と差分翻刻を合わせたアプローチを「差読」と呼び,そのためのワークフローを「人機分業」として構築することが「武鑑」の構造化の鍵を握ることを論じる.その最初の成果を「武鑑全集」として2017年11月に公開した.
著者
北本 朝展 鈴木 親彦 寺尾 承子 堀井 美里 堀井 洋
雑誌
じんもんこん2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.171-178, 2020-12-05

本論文は,歴史地名の構造化と統合のための地名リソースの構築を進めるとともに,地理的史料と地名リソースの間でのエンティティリンキングの可能性を複数のケーススタディの結果に基づき検証する.またこうして構築した地名情報基盤の上で「歴史的行動記録」を構造化しつつ,江戸という都市または時代に関するビッグデータ分析を進めていく上での現状と研究課題について議論する.
著者
鈴木 親彦 Suzuki Chikahiko
出版者
人文学オープンデータ共同利用センター

国文学研究資料館蔵「羅生門物語」(DOI 10.20730/200003096)の顔貌キュレーション
著者
中村 雄祐 美馬 秀樹 増田 勝也 鈴木 親彦
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014-CH-102, no.5, pp.1-5, 2014-05-24

人文学・社会学における学際研究とはどのようなものなのか,これからどのように発展させていくのか.我々は,東京大学大学院人文社会系研究科に 2000 年に設立された人文社会系の学際的研究・教育プログラム,「文化資源学研究専攻」 を対象に研究領域の形成過程を分析している.具体的には,文化資源学研究専攻の授業シラバス (2013 年時点で約 600 件),および修士論文 (2013 年時点で約 80 本) の 「論文要旨」 「参考文献一覧」 を対象として,報告者の一人である美馬 (東京大学知の構造化センター准教授) が中心となり開発したテキスト分析システム MIMA SEARCH を用いて解析し,中村 (東京大学大学院人文社会系研究科准教授)・鈴木 (同博士課程) がその解釈を行っている.今回は,シラバスと修士論文要旨についての分析・解釈を報告する.
著者
鈴木 親彦 髙岸 輝 本間 淳 Alexis Mermet 北本 朝展
雑誌
じんもんこん2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.67-74, 2020-12-05

本論では,美術史の様式研究の大規模化を試みた.まず,顔貌データセットの構築に機械学習とIIIF Curation Platform(ICP)を活用し,さらにICPの新ツールであるIIIF Curation Boardを利用して大規模な画像を対象に様式比較・図像比較を行う方法論を提案する.そして『遊行上人縁起絵巻』の写本の一つである『清浄光寺甲本』を対象とし,500を超える顔貌から,絵巻内の様式の異同と僧侶・尼僧の描き分けを分析する.