著者
高瀬 敬一郎 重藤 寛史 鎌田 崇嗣
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

胎生18日目、胎児頭蓋に冷却プローブで傷害を加え局所皮質異形性モデルを作製した。皮質異形成モデルは両側前頭葉にそれぞれ2カ所 (group A)、両側前頭葉にそれぞれ1カ所 (group B) を作成した。出生後28日齢 (P28) に皮質と海馬に電極を設置し、P35からP77まで脳波・ビデオ同時期記録を行ったところ、group Aの68.8%から自発てんかん発作を生じ、皮質ないし海馬からてんかん発作波を認めた。組織学的には、group A に皮質異形成が認められ、さらに免疫染色ではNMDA受容体、グルタミン酸トランスポーターが上昇しており、皮質異形性でのてんかん性興奮の増大が示唆された。
著者
齋藤 万有 林 信太郎 鎌田 崇嗣 村井 弘之 尾本 雅俊 吉良 潤一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.753-758, 2015 (Released:2015-10-16)
参考文献数
16

症例は45歳女性.38歳より右手指の伸展障害が出現,その後数年かけて左側,次いで右側の下垂足が出現した.腱反射は右上肢と両下肢で減弱し,左下肢遠位部に軽度の異常感覚を認めた.神経伝導検査は軸索障害パターン,針筋電図検査で慢性神経原性所見を認めた.血清抗SS-A抗体と唾液腺病理所見が陽性.腓腹神経生検では神経束内の有髄神経線維脱落の分布に差異があり小血管周囲に炎症細胞浸潤を認めた.シェーグレン症候群に伴う多発性単神経炎と診断,免疫療法を行い一部の筋力に改善がみられた.本例が年余に亘る緩徐進行性の運動優位多発性単神経障害を示した点は,同症候群に合併する末梢神経障害として特異である.