著者
長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.571-575, 2020-12-01 (Released:2020-12-01)

現在多くの人に関心を持たれている書籍「FACTFULNESS」の翻訳者である関美和氏による特別講演「実録FACTFULNESS 大ヒットの舞台裏」がオンライン開催された。講演者はハンス・ロスリングらによる「FACTFULNESS」がどのようにして生まれたのか。さらに,日本語版への翻訳と出版がどのようなプロセスを経て実現されたのか講演者の経験を踏まえて紹介された。日本語版への翻訳と出版の舞台裏ではどのような工夫と努力がなされていたのかを,講演者の豊富な経験を踏まえて語られたので,多くの参加者は講演に引き付けられた。
著者
長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.404-409, 1996-07-01 (Released:2017-05-25)
参考文献数
2
被引用文献数
2

インターネットなどの通信ネットワークを通じて提供される科学雑誌,電子ジャーナルが急速に増加している。OCLC (Online Computer Library Center)は, 1992年10月に,電子ジャーナルのオンラインサービスであるElectronic Journals Onlineを開始した。Electronic Journals Online はOCLCが開発した専用の通信・検索ソフトGuidonと汎用のWWWブラウザーで、近々予定のものを含め12タイトル(複数の対応印刷物を持つものがあるので印刷物では50タイトル)が利用できる。印刷体のない最初の本格的な電子ジャーナルである臨床医学分野の科学雑誌The Online Journal of Current Clinical Trials (OJCCT)の構成の特徴と,専用の通信・検索ソフトGuidonでの利用方法について説明した。さらに,専用の通信・検索ソフトGuidonと汎用のWWWブラウザーでの検索や文献の表示機能などについて比較したところ,現状では文献の表示機能などGuidonのほうが優れている点が多いといえる。
著者
角田 裕之 長塚 隆 原田 智子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.410-415, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)

鶴見大学が2015年9月より開講している履修証明プログラム図書館員リカレント教育コースは,司書資格を有する現職の図書館員のために最新の知識や技術を学習するプログラムである。図書館員に対する研修は,国立国会図書館や日本図書館協会における研修があり,一部の大学でもリカレント教育が実施されているが十分とはいえない。本学では春季(4月~7月)と秋季(9月~2月)に各6科目ないし7科目を履修できるように開講している。6科目の単位取得が認められると計120時間になり,文部科学省が推奨する履修証明制度の条件を満たし,本学学長名の履修証明書(専門司書)を取得できる。授業は火・木曜日の夜間と土曜日の午後に行い,4名の教員が担当している。開講して2年が経過するが,現職の図書館員への教育プログラムをさらに浸透させてゆくためにはその内容をさらに見直し拡充することが必要と思われる。
著者
李 易寧 長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.67-72, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
14

現在、各国で大学図書館が提供する資料のデジタル化が大きく進展している。中国の大学図書館は「インターネット+」の政策の下で、資料のデジタル化と図書館の価値の再構築を目指してきた。この過程のなかで、図書館の空間利用の見直しの大切さがだんだん注目されるようになってきた。また、近年、貸出冊数は減少しているが、入館者数は少しずつ増加している。このような状況の変化も図書館空間の再構築の大切さを示している。今後の方向性としては、現在の図書館の空間を新たなサービスが実現できるように調整したり、コレクションをデジタル化し、館内空間を新たなサービスに利用するほかに、新たな遠隔サービスと館外サービスを提供する必要がある。本研究は、中国大学図書館が利用者に提供する館内空間の利用の現状に注目し代表的な五つの大学図書館を調査して、空間利用の現状を明らかにした。今後の大学図書館は利用者のニーズを反映した将来に向けての発展計画を作成する必要があると考える。
著者
長塚 隆
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.155-162, 2020
被引用文献数
2

<p>近年,地域・自治体資料のデジタル化が進展しているが,どの程度デジタル化・オープン化されているかの把握は難しい.神奈川県の政令指定都市(横浜・川崎・相模原)を対象に,国立国会図書館デジタルコレクションやインターネット資料収集保存事業,および各市ホームページや図書館蔵書検索システムを使用してメタデータおよびデジタル資料を調査し,デジタル化とオープン化の進展を推測し,国立国会図書館と公共図書館との連携のあり方など今後の課題について考察した.</p>
著者
長塚 隆 山川 茜
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.57-64, 2012-05-20 (Released:2012-07-31)
参考文献数
9

学生は授業中に教科書を読むときに,通常「アクティブリーディング」と呼ばれる能動的な姿勢を示す.著者は以前の研究で,電子テキスト上に学生が挿入したコメント数と該当科目の最終成績との関連が高いことを明らかにした.今回、電子テキストへのノートテイキングを経験した学生について,紙でのノートテイキングとパソコンでのノートテイキング時の行動にどのような相違があるか調査した.
著者
長塚 隆
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.155-162, 2020-05-23 (Released:2020-06-26)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

近年,地域・自治体資料のデジタル化が進展しているが,どの程度デジタル化・オープン化されているかの把握は難しい.神奈川県の政令指定都市(横浜・川崎・相模原)を対象に,国立国会図書館デジタルコレクションやインターネット資料収集保存事業,および各市ホームページや図書館蔵書検索システムを使用してメタデータおよびデジタル資料を調査し,デジタル化とオープン化の進展を推測し,国立国会図書館と公共図書館との連携のあり方など今後の課題について考察した.
著者
長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.55-60, 2021 (Released:2021-06-21)

「ものづくり」のための公共空間を意味するメイカースペースを公共図書館に設置する動きが米国やヨーロッパの国々さらに中国や韓国などアジア諸国で急速に広がっている。2019年年末からの新型コロナウイルスの感染拡大は,開館型サービスである図書館メイカースペースに大きな影響を及ぼしている。新型コロナウイルスの感染拡大下でリモートサービスにより提供されている図書館メイカースペースについて,2020年6月および9月時点と2021年3月時点での経時的な変化を見た。公共図書館が開始したメイカースペースのリモートでのサービスの継続状況から,公共図書館が導入したリモートサービスの今後について考察する。
著者
長塚 隆
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.340-343, 2019-11-23 (Released:2019-12-23)
参考文献数
5
被引用文献数
2

近年,郷土史・地方史などの地域資料のデジタル化が進展しているが,具体的にどの程度デジタル化され,公開されているのかを把握するのは難しい.本発表では,国立国会図書館サーチ(NDL Search) やジャパンサーチ(Japan Search)などの検索ポータルを使用してメタデータおよびデジタル資料の搭載調査からデジタル化の進展の程度を推測した.また、郷土史・地方史などの地域資料のメタデータおよびデジタル資料を搭載する県単位の地域ポータルが,全国的なポータルであるNDL SearchやJapan Searchにどの程度収載されているかについても調査し,今後のデジタル化された地域資料のオープン化の課題について検討した.
著者
長塚 隆
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.466-476, 2002 (Released:2002-10-01)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

インターネットで利用できるデジタル形式の情報が増大しており,インターネット上の情報の保存が社会的に重要な関心事となりつつある。最初からデジタル形式で作成される「ボーン・デジタル」情報の比率がインターネット上で増大している。インターネット上のデジタル情報の保存プロジェクトは,大きく2種類のタイプに分けられる。1つは,Wayback Machineのように,公開されているHTMLページを自動的に収集し,過去のいろいろな時期のWebサイトのスナップショットを見せてくれるものである。もう1つは,PANDORAやWARPのように,特定のコレクションについて人手でメタコードの付与などをするものである。インターネット情報資源の将来の発展について基本的な理解ができているとは言えないので,現在は明らかでない多くの可能性が想定される。互いの組織間での協力関係が形成できれば,インターネット情報資源の保存や利用に関して急速な改善を図ることができよう。
著者
長塚 隆
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.340-346, 1999-07-01
被引用文献数
1

インターネットの急速な普及により,データの編集物としてのデータベースのコンテンツが不正抽出されたり,再利用される恐れが広がった。このような中で,1991年のFeist判決は,従来米国の著作権法ではデ一タベースは「額に汗」論により保護されるとの考えを覆したので,ヨーロッパ諸国に著作権でデ一タベースの保護が十分できないのではないかとの大きな関心を引き起こした。EC委員会は,1996年に加盟国にデ一タベースの法的保護であるEUデータベース指令を発した。著作権を補うデータベースのコンテンツ保護である新たな権利(sui generis)を盛り込んだ本指令は,1998年までに加盟国での法制化を指示している。著作権によるデータベースの保護に加えてファクトの編集物の保護ための著作隣接権としての新たな権利(sui generis)はわが国における法制化の際にモデルのひとつとなっている。
著者
長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.209-209, 2018-05-01 (Released:2018-05-01)

情報プロフェッショナルシンポジウム(INFOPRO)は,2004年に科学技術振興機構と情報科学技術協会により,それまで個別に開催されていたシンポジウムや研究集会を統合して,お台場の日本科学未来館で初めて開催されました。それ以来,毎年開催され,昨年11月30日-12月1日の2日間にわたって開催された情報プロフェッショナルシンポジウムで14回目となりました。ただし,今回は,昨年までの2者の共催形式と異なり,科学技術振興機構の協力を得て,情報科学技術協会が主催して科学技術振興機構東京別館で開催されました。本シンポジウムは,幅広く知識や情報にたずさわる関係者が全国から一堂に会し,日頃の研究成果の発表と討論を行い,情報を交換する場となっています。これらの情報に携わる関係者からの研究発表のほか,その時期に適したトピックスを取り上げた特別講演やパネルディスカッションが実施されてきました。この10年間で,各種情報のデジタル化は一層進展し,情報の専門家の役割も重要性を増しています。また,最近では人工知能(AI)技術の進展により,情報専門家の業務の内容も大きく変わって行くのではないかとも言われています。このような時期に,本年の特別講演では,日本アイ・ビー・エムで自然言語処理研究に従事され,クイズ番組で人間の解答者に挑戦する質問応答システムWatson開発プロジェクトに参画されてこられ,現在は名古屋大学大学院情報学研究科価値創造研究センター教授の武田浩一氏から「自然言語処理と知的創造」について取り上げていただきました。参加者からは自然言語処理の発展の経過など基礎的な点から講演して頂き,最近の人工知能の社会への応用についても具体的な事例を通じて紹介があったので,今後会社の業務に活用するときの知識を得ることが出来たとの声が聴かれました。また,本年はトーク&トークでも特別講演で取り上げられた人工知能(AI)をテーマに人口知能と情報専門家(インフォプロ)の将来における関係に焦点を当て開催されました。そこで,本年のトーク&トークでは「人工知能(AI)とインフォプロのイイ関係~AIはインフォプロの仕事を奪う?それとも強い味方?あるいはブームなのか?~」をテーマにして,慶應義塾大学理工学部管理工学科教授の山口高平氏から今後人工知能(AI)が社会にどのような影響を及ぼしてゆくのかについて具体的な事例を交えて話題提供をして頂きました。その後,参加者は数人ずつのグループに分かれ,それぞれのテーマごとに議論し,グループの代表者が全体に報告することで,グループでの検討結果を全体で共有することを目指しました。本シンポジウムの中心になっている情報の担当者や専門家による研究発表は,本年は2日間にわたり合計で24件の口頭発表と6件のポスター発表があり,全体として活発な質疑が行われました。ポスターセッションではポスターの前には多くの参加者が集まり,多くの関心を呼んでいました。本シンポジウムは,情報担当者や専門家による実務経験や研究発表である「一般発表」による発表の場として,その時期に適した話題である「特別講演」からの刺激,参加者が質疑に参加できる「トーク&トーク」,ベンダーの方々による「プロダクトレビュー」や「ポスターセッション」など参加者が多面的な面から新たな知識を吸収できるようになっています。今後も,デジタル化・情報化の進展に対応したシンポジウムの在り方を探すことで,情報プロフェッショナルあるいはそれを目指している方々にとって,本シンポジウムがより有益な場となるように実行委員会一同願っております。(INFOPRO2017 実行委員会委員長 長塚 隆)INFOPRO2017実行委員会委員長:長塚 隆(鶴見大学)副委員長:林 和弘(科学技術・学術政策研究所)委員:安藤聡子(クラリベイト・アナリティクス・ジャパン(株)),河合郁子(千代田区立千代田図書館),川越康司(㈱富士通総研),児玉 閲(東邦大学),高杉秀隆(科学技術振興機構),中居 隆(㈱プラスアルファ・コンサルティング),廣谷映子(旭化成ファーマ(株)),増田 豊(ユサコ㈱),山中とも子(㈱ファンケル),担当理事:角田裕之(鶴見大学),副担当理事:吉野敬子(日本医療研究開発機構)
著者
長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.227-227, 2017

<p>情報プロフェッショナルシンポジウム(INFOPRO)は,2004年に科学技術振興機構と情報科学技術協会により,それまで個別に開催されていたシンポジウムや研究集会を統合して,お台場の日本科学未来館で初めて開催されました。それ以来,毎年開催され,昨年の12月の情報プロフェッショナルシンポジウムで13回目となりました。今回は,科学技術振興機構の東京別館で初めて開催されました。</p><p>本シンポジウムは,情報検索とその手法,サーチャーの業務,知財情報と価値評価,情報解析やデータマイニング,情報の評価,図書館業務と情報サービス,電子ジャーナル,電子化関連業務,インデクシング,情報の組織化,情報管理の方法とシステム,組織内情報共有化のためのシステム,情報マネージメント,情報リテラシー教育と情報調査・訓練・研修,情報担当者のプレゼンスなど,幅広く知識や情報にたずさわる関係者が全国から一堂に会し,日頃の研究成果の発表と討論を行い,情報を交換する場となっています。</p><p>これらの情報に携わる関係者からの研究発表のほか,その時期に適したトピックスを取り上げた特別講演やパネルディスカッションが実施されてきました。</p><p>この10年間で,各種情報のデジタル化は一層進展し,情報の専門家の役割も重要性を増し,また,業務の内容も大きく変わってきています。このような時期に,本年の特別講演では,「統計学が最強の学問である」の著者でもある西内啓(にしうちひろむ)先生から「ビジネスに活かす統計学‐エビデンスに基づく価値創造」について取り上げていただきました。医療の分野で始まった「エビデンス」すなわち科学的根拠に基づくという考え方が,現在は公共政策や経営学においても浸透してきているので,エビデンスに基づいた企業戦略を進めるためには統計学の知識が必須になってきていると指摘されました。参加者からは企業が効率的に価値を生み出すための統計学の活用について,具体的な事例を通じて紹介があったので,今後会社に戻って活用できる知識を得ることが出来たとの声が聴かれました。</p><p>また,トーク&トークでは,「情報社会から融合社会へ―仮想と現実が融合する社会での情報のガバナンスと信頼性を考える」をテーマにして,4名の話題提供者からの報告をもとに,活発な質疑が行われました。情報技術の発展により,個々の技術が融合し,新しいビジネスとして,タクシーに変わるUber(ウーバー),ホテルに変わるAirbnb,通貨に変わる仮想通貨Bitcoin(ビットコイン)などが生まれています。このような技術融合社会の中で,情報の信頼性をどのように担保するかなど,インフォプロの現代的な役割が問われています。現在,急速に変容するビジネスの形態について,情報の専門家として,この新たな状況をよく理解し,活用できる知識を身に着けるうえで大変参考になったとの意見が参加者から出されていました。</p><p>本シンポジウムの中心になっている情報の担当者や専門家による研究発表は,2016年のシンポでは2日間にわたり昨年より多い合計で33件があり,全体として活発な質疑が行われました。ポスターセッションでは,9名の発表があり,ポスターの前には多くの参加者が集まり,多くの関心を呼んでいました。</p><p>本シンポジウムは,情報担当者や専門家による実務経験や研究発表である「一般発表」による発表の場として,その時期に適した話題である「特別講演」からの刺激,参加者が質疑に参加できる「トーク&トーク」,ベンダーの方々による「プロダクトレビュー」や「ポスターセッション」など参加者が多面的に新たな知識を吸収できるようになっています。また,発表者,参加者,提供者が一堂に会する「情報交流会」は,特別講演の講演者である西内啓先生も参加してくださり,大変盛り上がりました。今後も,デジタル化・情報化の進展に対応したシンポジウムの在り方を探ることで,情報プロフェッショナルあるいはそれを目指している方々にとって,本シンポジウムがより有益な場となるように実行委員会一同願っております。</p><p>(INFOPRO2016実行委員会委員長 長塚 隆)</p>
著者
長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.227-227, 2017-05-01 (Released:2017-05-01)

情報プロフェッショナルシンポジウム(INFOPRO)は,2004年に科学技術振興機構と情報科学技術協会により,それまで個別に開催されていたシンポジウムや研究集会を統合して,お台場の日本科学未来館で初めて開催されました。それ以来,毎年開催され,昨年の12月の情報プロフェッショナルシンポジウムで13回目となりました。今回は,科学技術振興機構の東京別館で初めて開催されました。本シンポジウムは,情報検索とその手法,サーチャーの業務,知財情報と価値評価,情報解析やデータマイニング,情報の評価,図書館業務と情報サービス,電子ジャーナル,電子化関連業務,インデクシング,情報の組織化,情報管理の方法とシステム,組織内情報共有化のためのシステム,情報マネージメント,情報リテラシー教育と情報調査・訓練・研修,情報担当者のプレゼンスなど,幅広く知識や情報にたずさわる関係者が全国から一堂に会し,日頃の研究成果の発表と討論を行い,情報を交換する場となっています。これらの情報に携わる関係者からの研究発表のほか,その時期に適したトピックスを取り上げた特別講演やパネルディスカッションが実施されてきました。この10年間で,各種情報のデジタル化は一層進展し,情報の専門家の役割も重要性を増し,また,業務の内容も大きく変わってきています。このような時期に,本年の特別講演では,「統計学が最強の学問である」の著者でもある西内啓(にしうちひろむ)先生から「ビジネスに活かす統計学‐エビデンスに基づく価値創造」について取り上げていただきました。医療の分野で始まった「エビデンス」すなわち科学的根拠に基づくという考え方が,現在は公共政策や経営学においても浸透してきているので,エビデンスに基づいた企業戦略を進めるためには統計学の知識が必須になってきていると指摘されました。参加者からは企業が効率的に価値を生み出すための統計学の活用について,具体的な事例を通じて紹介があったので,今後会社に戻って活用できる知識を得ることが出来たとの声が聴かれました。また,トーク&トークでは,「情報社会から融合社会へ―仮想と現実が融合する社会での情報のガバナンスと信頼性を考える」をテーマにして,4名の話題提供者からの報告をもとに,活発な質疑が行われました。情報技術の発展により,個々の技術が融合し,新しいビジネスとして,タクシーに変わるUber(ウーバー),ホテルに変わるAirbnb,通貨に変わる仮想通貨Bitcoin(ビットコイン)などが生まれています。このような技術融合社会の中で,情報の信頼性をどのように担保するかなど,インフォプロの現代的な役割が問われています。現在,急速に変容するビジネスの形態について,情報の専門家として,この新たな状況をよく理解し,活用できる知識を身に着けるうえで大変参考になったとの意見が参加者から出されていました。本シンポジウムの中心になっている情報の担当者や専門家による研究発表は,2016年のシンポでは2日間にわたり昨年より多い合計で33件があり,全体として活発な質疑が行われました。ポスターセッションでは,9名の発表があり,ポスターの前には多くの参加者が集まり,多くの関心を呼んでいました。本シンポジウムは,情報担当者や専門家による実務経験や研究発表である「一般発表」による発表の場として,その時期に適した話題である「特別講演」からの刺激,参加者が質疑に参加できる「トーク&トーク」,ベンダーの方々による「プロダクトレビュー」や「ポスターセッション」など参加者が多面的に新たな知識を吸収できるようになっています。また,発表者,参加者,提供者が一堂に会する「情報交流会」は,特別講演の講演者である西内啓先生も参加してくださり,大変盛り上がりました。今後も,デジタル化・情報化の進展に対応したシンポジウムの在り方を探ることで,情報プロフェッショナルあるいはそれを目指している方々にとって,本シンポジウムがより有益な場となるように実行委員会一同願っております。(INFOPRO2016実行委員会委員長 長塚 隆)
著者
長塚 隆 神野 こずえ
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.149-156, 2011-05-28
被引用文献数
1 2

Wikipediaは利用者参加型のオンライン百科事典であり,インターネットに接続し,誰でもが記事を編集できる.Wikipedia日本語版は281言語版のなかで記事数では7番目に大きな言語版である.Wikipedia日本語版の学生を中心とした利用動向を調べるために,認知度,利用経験,利用理由,利用目的,記事の信頼度,記事の編集経験,他の言語版の利用などについてアンケートを実施した.学生におけるWikipedia日本語版の利用時の特徴を明らかにした.
著者
長塚 隆 神門 典子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.785-792, 2006

最近の10年間で,アジア・太平洋州におけるデジタルライブラリーの諸活動には明らかに進展がある。世界の主要なデジタルライブラリー国際会議のひとつである第8回アジアデジタルライブラリー国際会議(ICADL2005)が2005年12月にタイのバンコクで開催された。アジア・太平洋州におけるデジタルライブラリー研究は文化遺産,多文化や多言語間に関するデジタルライブラリー研究において,世界でもユニークな位置を占めている。本会議での発表や出版物から,アジア・太平洋州におけるデジタルライブラリー研究・開発の最新動向について,技術的および社会的な視点から検討を行った。
著者
長塚 隆
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, 2001
被引用文献数
1

インターネットの普及により,データベースの種類および提供・利用範囲が急速に拡大している。特に,従来の著作権法で保護されてきた「創作性」のあるデータベースのほかに,個人別電話帳,不動産情報,ゲノム情報,さらに競馬情報あるいはオークション情報など,データを蓄積したファクト(事実)データベースが社会のあらゆる場で,ますます利用されるようになっている。「創作性」のあるなしにかかわらず,一定の投資がなされているデータベースを保護する「新たな権利(sui generis right)」を規定したECデータベース指令の特徴とその後の各国での国内法の整備状況,最近の訴訟例を紹介した。データベースの法的保護について,米国,ヨーロッパ,日本での歴史的な変遷を俯瞰し,今後のあり方を提起した。