著者
河瀬 彰宏 村井 源 徃住 彰文
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.129-134, 2010-05-15
被引用文献数
1

本研究では,音楽評論家によって語られる作曲家の概念的特徴とそれらの関係を明らかにするために,作曲家に対する感性的表現を計量的に分析した.データは音楽評論雑誌『ポリフォーン‐音楽評論の開かれた場』のテキスト全13冊を対象とし,最も多く語られる7名の作曲家(出現回数が多い順に,モーツァルト,ベートーヴェン,ワーグナー,マーラー,J.S.バッハ,ドビュッシー,シェーンベルク)を形容する感性的表現,語彙レベルで用いられる頻出感性語とその用法の特徴を解析することで,作曲家概念の感性的要素を精緻に特徴づけた.
著者
佐藤 知恵 村井 源 徃住 彰文
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.123-128, 2010-05-15
被引用文献数
1 2 3

日本の小説家である星新一は,日本のショートショートの第一人者であり,執筆期間の前半(1968~1973)だけで718編の作品を残している.星作品はしばしば物語の骨組みの共通性が指摘されるが,本論文は,そのような物語のパターン性がどのような点から確認できるのかを,11 の物語構造ユニットを用いて表現,分析することにより説明するものである.これらのユニットは先行研究をもとに,星作品に頻出する物語の出来事の要素として設定した.ユニットとその組み合わせを記号で表現したデータを用いて,パターンの分布,因子分析,N-gram による分析を施すことで,星作品の最も基本的な物語構造を抽出した.
著者
北原 糸子
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.316-327, 2012-11-04

本論は災害史研究において、歴史資料の果たす役割を具体的に示すために、江戸・東京という日本の首都で発生した地震災害のうち、1703 年元禄地震、1855 年安政江戸地震、1923 年関東大震災を対象として、歴史資料を通して、時代の変遷のなかで災害像はどのように変化するのか、あるいは災害の歴史を通じて共通に認められる社会事象とはなにか、すなわち、災害の社会像について考察した。その結果、進歩や開発という理念を持たない近世社会は大災害に遭遇しても都市の基本構造を変えることはなかったが、近代の関東大震災のような都市を焼き尽くす大災害では、災害を好機と捉え、都市計画による都市の再生・復興が行われた。また、本論では特にいまだ元禄地震における江戸市中の被害が明らかになっていない理由が前後の火災の広範な延焼範囲によって地震被害の実相がマスクされた可能性が高いことを指摘した。
著者
時実 象一 小出 直輝
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.71-76, 2012

文庫本などシリーズで長期間にわたって刊行されている書籍を対象にレイアウトがどのように変化してきたかを調査した. 愛知大学豊橋図書館が所蔵する19種類の文庫本等 (新書含む) の文字サイズ, 字間, 行間はほぼ同一であった. 「岩波文庫」の面積あたりの文字数は2007 年前後に低下した. 村上春樹著「ノルウェイの森」(講談社) では, 単行本版は行間・余白が最も広く, したがって文字密度が最も低い. 電子書籍では, Kinoppy (iPad, HTC), i文庫 (iPad-ゴシック体, HTC), はこの字間/行間の比率はほぼ同一であったが, i文庫 (iPad-明朝体), GARAPAGOS (HTC) は字間が行間に比べて広めであった.
著者
川上 一貴 岡部 晋典 鈴木 誠一郎
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.245-250, 2011-05-28
被引用文献数
3

本報では地域情報をWeb上にアーカイブし公開する「地域映像アーカイブ」を対象に,2008年にアンケート調査を行い,加えて,2011年にアンケート対象アーカイブの存続度合いを調査した.結果,アクセス解析の有無には自アーカイブに対する更新の姿勢が異なることが関係すること,2004年の先行研究で行われた自アーカイブへの問題点の指摘は2008年の時点では別の問題として変質したこと,自治体が設置母体のデジタルアーカイブは推進団体によるそれよりむしろ消滅しやすいこと等の知見を得た.
著者
江草 由佳 高久 雅生
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.123-130, 2011-05-28

教育分野の研究論文や雑誌記事を対象とした論文データベースである教育研究論文索引は,国立教育政策研究所教育研究情報センター教育図書館によって作成されている.この教育研究論文索引のレコードがCiNii データベースとどれくらい重複しているかについて調査し,その分析結果を報告する.調査の結果,EPI データベースの収録論文のうち59~63% はCiNii にも収録されていることが分かった.これらの調査結果は,教育研究論文索引のサービス向上のための基礎データとするとともに,実サービスにおける論文リンクとして提供している.
著者
国分 芳宏 岡野 弘行
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.316-327, 2010-02-15
被引用文献数
1

構文解析や用語標準化などの自然言語処理を目的とする440,000語規模のシソーラスを開発した.このシソーラスでは,各用語の持つ関係語の数が膨大なため,観点(ファセット)を導入して分類し,採択した用語を探しやすくしてある.また,差別語,表記の揺れなども区別できるようにするなど工夫をこらしている.本稿ではこのシソーラスについて,パッケージソフトのカスタマイズ機能およびインターネットや他の辞書との連動機能,用語の標準化などについても紹介した.シソーラスを作成する際の留意点と課題をも指摘する.
著者
大槻 明 岡田 謙一
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.350-361, 2011-09-27

本研究では,筆者らが提案している知識を構造的に俯瞰表現する「構造化俯瞰図」をさらに発展し,同図を構成する各知識に属性情報や叙述を付与し,それら属性情報等を含めた知識同士の関係性を意味付けしたうえで俯瞰マップを作成するCosut(Concept Support Tool)について提案する.Cosutを使用することにより,当該知識群のさらなる整理や分析を実現することが可能となる.つまり,企業における新商品開発や課題解決時,さらには研究機関における新理論の検討時など,様々な場面における知識の有効活用に資することができるものと考える.評価実験では,構造化俯瞰図を使用した場合に比べた定量的分析及び概念構造の変化を分析した.その結果,仮説をまとめるためのアイディアの量的な増加傾向が確認され,さらには,Cosutが被験者の概念構造に直接影響を与えた部分を把握することが可能になるなどの発想支援的な効果が認められた.
著者
廣瀬 怜那 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.131-136, 2011-05-28

近年、ディスカバリインターフェースの登場により、資料選択のための様々な機能の開発が行われている。本論文は分類番号を図書館内の位置情報に反映させたディスカバリインターフェースについて説明する。このインターフェースの目的は検索結果が持つ様々な意味的構造を利用者が理解しやすいように支援することである。今回は日本十進分類の体系を意味的関係とみなし、資料に付与された分類番号を館内地図上に写像することによって、検索結果の意味的関係を俯瞰的に眺められるようにした。
著者
曽根原 士郎 齋藤 敦子
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.32-37, 2010-02-26
被引用文献数
1

一般的に、手書きでの情報記録手段は、教育現場において学習・記憶・理解の効果を高めると言われている。しかし、近年のビジネス現場ではパソコンへのキーボード入力が主流であり、特に若いビジネスワーカーはそれらデジタルツールを巧みに使いこなしながら、効率的に業務を行っている。本実験では手書き記録手法の良さを再認識すると同時に、これからのビジネスワーカーがデジタルツールを用いてさらに生産性を高めていく可能性が示唆された。
著者
青山 俊弘 山地 一禎 池田 大輔 行木 孝夫
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.380-394, 2013-10-18
参考文献数
30

機関リポジトリでは,機関内で生成されたコンテンツが書誌情報からなるメタデータとともに保管され,インターネットを介して公開される.一方,機関内ウェブサイトでも,大学の研究者要覧や学部,研究室レベルでの業績一覧などで,機関リポジトリコンテンツのメタデータと重複した情報が公開されている.情報の同一性を担保したり,入力の煩雑な作業を軽減するためには,ある特定のサイトから入力された情報が,各々のサイトで共有できる仕組みの導入が不可欠である.本研究では,機関リポジトリを,そうした学内における業績情報の起点とするためのフレームワークの構築と実装を行った.提案システムでは,従来のリポジトリシステムのみの運用では行えなかった,機関リポジトリ設置者以外の手によるメタデータ設計,メタデータ入力を可能にした.これにより,機関リポジトリ外で専門的あるいは補足的な情報を機関リポジトリ内の基本的なメタデータに付加し,シームレスに公開するプライベートリポジトリが実現できる.このシステムによって,ウェブインターフェース上の操作のみで,機関リポジトリと連携したサプリメントファイルの公開や,研究者要覧等の自動生成,分野リポジトリの構築などを実現することができる.
著者
堀 智彰 木下 奏 小林 映里奈 村尾 真由子 渡邉 朋子 兼松 泰文 辻 慶太 宇陀 則彦
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.189-196, 2014
被引用文献数
2

「知の探検法」は文献の調べ方を中心とした情報リテラシーの授業である。平成24年度から文献探索に対する理解・目的意識の向上を目的として「文献探索ゲーム」を実施している。文献探索ゲームはゲーム形式で文献探索を行うことで文献探索に目的意識を持たせ、基本手順について学ぶことを目的としている。本稿では平成25年度に実施した文献探索ゲームの評価実験について報告する。評価実験では学生の文献探索に関する知識構造の変化を計るため、コンセプトマップを用いた。分析の結果、文献探索ゲームの前後で学生の知識構造が変化しており、文献探索に対する理解が深まっていることが明らかになった。
著者
高久 雅生 江草 由佳 寺井 仁 齋藤 ひとみ 三輪 眞木子 神門 典子
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.249-276, 2010-10-22
被引用文献数
1

Web利用者の情報探索行動の理解のために,眼球運動データ,ブラウザログ等の情報を包括的に用いて,ユーザ特性,タスク種別の違いがいかに探索行動に影響しうるかを検討した.ユーザ特性として図書館情報学専攻の大学院生と一般学部生の2グループを設定し,それぞれ大学院生5名,学部生11名が実験に参加した.タスク種別としてレポートタスクと旅行タスクの2つを設定して,それぞれ15分間ずつのWeb探索行動を観察した.実験の結果,タスク種別の影響として,サーチエンジンの検索結果一覧ページ上における視線注視箇所として,旅行タスクではスポンサーリンク,レポートタスクではスニペット領域がより多く見られるなど,タスク毎に着目する情報が異なることが示された.また,旅行タスクではサーチエンジン検索結果一覧ページから2回以上たどったページの閲覧回数がより多く,異なるタスクにおいて情報収集方略が異なる傾向が示唆された.一方でユーザ特性の影響として,大学院生は学部生に比べて,ページ閲覧をすばやく行い,タブ機能を用いた並列的な閲覧行動も観察されるなど,効率的な情報収集を目指した行動の差異が見られた.
著者
鈴木 良徳 八重樫 純樹
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.215-220, 2010-05-15

博物館(M)、図書館(L)、公文書館(A)のデータベースを統合する際に、資料の記述規則が異なることは、以前から指摘されてきた問題である。近年、MLA の連携を目的とした活動が活発となり、MLA の標準化に向けてそれぞれの記述規則を見直す必要が出てきている。このような背景を踏まえ、著者らはMLA それぞれの代表的な記述規則であるIGMOI、ISBD(G)、ISAD(G)の比較分析を行った。比較の結果、それぞれの機関の活動目的と記述規則が深く関わっていることがわかった。本稿では、比較の結果から、MLA 連携のために今後どのように研究を進めていくべきかを考察する。
著者
時実 象一
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.238-244, 2011-05-28

日米の公共図書館における電子書籍の利用状況について図書館訪問による実地調査をおこなった. 米国においてはオーディオ書籍提供の長い歴史があり, このルートの上に電子書籍が急速に普及した。2010 年には中都市以上の図書館ではほぼ100% の導入率である. 日本では東京の千代田図書館が2007 年末に先鞭をつけて以来停滞していたが, 2011 年に入り堺市図書館, 萩図書館が相次いで導入し, また鎌倉中央図書館でモニター実験がおこなわれるなど動きが出た. 米国ではOverDrive が主導し, iPad, Kindle などへの対応も始まっている. 日本ではもっぱらWBook システムが用いられている. 今後の課題について議論した.
著者
小野 永貴 徳光 亜矢子 下山 佳那子 佐藤 翔
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.259-264, 2013-05-25

近年、学校図書館の連携に関する実践が盛んである。特に高等学校の場合、公共図書館が学校を支援したり、大学図書館が高校生向けに開放する等の事例も増え、高校生が複数館種を相互に活用できる機会も多い。しかし、実際に生徒が各館種をどう使い分けているか、実態は明らかでない。 そこで本研究では、高校生28人を対象としたフォーカス・グループ・インタビュー調査を実施した。全発話内容の書きおこしと分析を行い、高校生が複数の館種を使い分ける際の基準となりうる要素を 抽出した。
著者
原田 隆史
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.291-296, 2011-05-28

学校図書館などにおいて読書指導を行う場合には,子どもたちが興味を持つ図書を提示することが有効である場合が多い。そのために,著者らもオンライン書評中の語を元として児童書・ヤングアダルト図書に感性パラメータを設定し,感性を元にして図書の検索を行うシステムを開発してきた。しかし,子どもたちにとって,感性パラメータを設定することが困難であることも多く,感性キーワードを直接入力するのではなく既に読んだ図書を入力して類似する小説を提示することが望まれている。そこで,本研究では,指定した図書と感性パラメータの分布が類似する図書を提示するシステムを試作し,その評価を行った。児童書・ヤングアダルト図書1425冊を対象として,10名の被験者に入力した図書と関連する図書30冊を提示したところ,約53%の図書について強い興味があるという結果が得られた。
著者
下山 二郎
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.231-238, 2010-10-22
被引用文献数
1

近年,オフィスや自宅を離れた屋外でのICTの活用が活発になってきている.その一例として,旅行分野におけるICTの活用が旅行者にとって実際に便利かどうかを検証するために,ユビキタス観光システムを開発し実験した.実証にあたっては,海外からの旅行者を含めた数十人による2 回の利用実験を行い,その結果をまとめた.開発したサービスでは,観光ガイドブック等の情報を,携帯電話(アイフォン等を含む)をネットに接続して,静止画,動画,音声ガイド等としてGPSと連動させて閲覧できる他,カメラ機能を活用して写真をマイページにアップロードし,旅行後にも,フォトメモリーや他の旅行者へのお勧めスポットとして利用可能とするものである.結果としては,ガイドブックを携行する煩雑さが避けられ,最新の情報が得られるなど好評であったが,歩行中に閲覧することによる事故の発生等も想定されるなど,今後の研究の課題も残している.
著者
安平 哲太郎
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.259-270, 2011-05-28
参考文献数
29
被引用文献数
1

現代の様々な社会変革に伴う混乱を出来るだけ回避し得る教訓を得るために、同じ時代の要求の中にあり、変革においても共通した構造を持ちながら、混乱の度合いにおいて格段の違いのある明治維新とフランス革命とを比較した。その結果、認識の変革期には新旧両体制の人達とも矛盾した体制を超えて広く情報を収集し体制の問題点を認識する事、社会制度の変革が始まる前には実現可能な向かうべき世界の具体的モデル、その世界に順応する為の心構え、社会制度の変革中および以降では政治を超えて政治に道義を与えそこからの逸脱を許さない力の存在等が混乱を回避する為の重要な教訓である事を指摘した。そして、これらの教訓を現代に適用する場合には、その教訓に現代までの歴史的経験を加味すべき事、世界的規模の社会変革に対しては、全体の体制が矛盾している事に気づくための情報と変革後の実現可能な具体的モデルとをどうやって探すかという事が課題である事を論じた。
著者
川島 啓 ロベル アダム 山田 健智 大竹 裕之
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.207-214, 2010-05-15
参考文献数
5

既存のデータベースやWebコンテンツに対して、テキストマイニングやデータマイニングを用いて、ユーザーの知識に対するニーズを満たすようなサービスソリューションの開発を考えるときに、我々はユーザーのニーズをどこまで把握しているだろうか。本稿では科学技術振興機構社会技術研究開発センター(JST-RISTEX)が昨年度実施した「問題解決型サービス科学・工学研究開発(NEXER)事業」における深堀調査の内容を紹介し、判例等法律情報を対象とした知識の構造化に対するニーズを明らかにし、社会への実装の在り方を検討した。