著者
中西 秀彦 多賀 敏 山本 剛 服部 直
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.107-112, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
5

現在、学術誌の XML オンラインジャーナル化は急速に進展している。その展開は Scientific, Technical, and Medical、いわゆる STM が中心であり、和文人文系学術誌のオンラインジャーナル公開に際しては紙の誌面をそのまま画像もしくは PDF で公開するという方法が主流であった。しかし長く日本のオンラインジャーナルの一翼であった NII-ELS が事業を終了したことにより、多くの NII-ELS 掲載誌が J-STAGE へ移行した。J-STAGE は PDF 掲載も可能とは言え、書誌事項については HTML 公開されており XML 作成が重要である。 本発表では「印度學佛教學研究」という純粋な人文系の学術誌を J-STAGE に掲載した経緯及び技術的諸課題とその克服について報告する。現段階では全文 HTML 公開ではなく、PDF および、書誌 XML のみであるが、注と縦書きにおいて従来のその STM ジャーナルと異なる技術的課題があった。今後の人文系誌の全文 XML に向けてさらに記述規則などを整備する必要がある。
著者
安藤 俊幸 桐山 勉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.83-88, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
6

ニューラルネットワークを利用した機械学習を用いて効率的な特許調査方法を検討した。特に先行技術調査を念頭に特許検索競技大会2016の化学・医薬分野の問2(ガスバリア性包装用フィルム)を例題として選択しデータセットを作成して前半ではスクリーニング過程の再現率曲線に影響を与える要因を実験的に検討した。 後半はニューラルネットワークの機械学習を用いて単語の分散表現で文書の固定長ベクトルが得られるdoc2vecの学習モデルを使用して公報の類似度を計算する手法を検討した。その結果単語の出現頻度と出現順序を考慮したモデルPV-DMを使用すると非常によい類似度計算ができることがわかった。公報の類似度計算精度が向上すると特許調査において効率的なスクリーニングが可能となる。 本報で検討した分散表現ベクトル(doc2vecの出力ベクトル)を使用して各特許公報間の関係の可視化もできるので精度の高い動向調査に応用可能である。特許調査の精度を上げるには前処理の形態素解析による「分かち書き」が重要になる。
著者
桐山 勉 藤城 享 栗原 健一 川島 順 長谷川 正好 渡邊 彩
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.131-136, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
3

2010 年頃から AI 第三ブームが起こり、特に特許情報業界においても 2015 年秋頃からこの 2 年間で AI に関する注目は急激に加速された。 2017 年に入ると囲碁と将棋において AI が人間の TOP を破り、AI が神業の様だとも言われるようになった。囲碁と将棋の世界では AI が自己対戦を繰り返し、人間なら1000 年以上も掛かる経験を短期間で演習疑似体験して自己啓発をしている。 医療分野ではパラリンピック選手が最先端医療によりEnhanced Humane になり活躍している。これと似たような現象として Enhanced & Augmented Intellectual Property Information Scientist with AI になることを目標とした。AI に関して、Level-1~5の仮目標を設定した。一気に Level-5 に到達することは現実的に難しいので、3~5 年の短期計画と 10 年の中長期計画を仮作成し、3 年計画の研究を開始した。 現在では、深層学習がオープンリソースとして公開されるようになった。 そこで、コンピューター言語の Python を習得した。一方、AI を活用した特許検索システムの利用から始め、疑似体験を行った。初年度として、検索競技大会 2016 の化学・医薬分野の問 2 を「Semantic Search +AI」を活用して、検証した。この研究は PDG 部会の活動として中間発表を行う。
著者
梶間 幹弘 岩﨑 正幸 小川 ゆい 久田 梨香
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.1-6, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
3

昨今、「IPランドスケープ」として、企業に属する知財部員が他社の知的財産を中心に分析し、M&Aなど自社にとって重要な意思決定の場面で貢献する手法が注目されており、従前の知財部員の業務が大きく変容する局面にさしかかっている。 そこで、経験の浅いメンバーが調査分析スキルを獲得することを目的に、過去のM&A事例を題材とした知財デューディリジェンス(DD)に取り組んだ。知財情報を中心に「なぜM&Aが必要か」「何ができるようになるのか」「他に候補はないのか」の3つの論点で分析した結果と、それら実践を通じて、複数担当者で分担しながら効率的に知財DDを進めるためのポイントについて報告する。
著者
藤田 節子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.113-117, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
5

図書の索引がどのように作成されているのか、その実態を把握するために、 編集者へのアンケートとインタビュー調査、および著者へのインタビュー調査を行った。その結果、学術書に索引が必要であるということについては、編集者も著者も認識しているが、編集者は、時間の制約や体系的な索引作成技術の欠如などから、十分な索引編集を行なえない状況にある。一方、著者は、図書内容については熟知しているが、索引作成の技術や経験が少ない。その結果、総じて適切な索引作成が行なわれていない現状が明らかになった。今後、著者や編集者、出版社に対して、索引作成技術の普及やガイドブックの整備が求められる。
著者
李 易寧 長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.67-72, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
14

現在、各国で大学図書館が提供する資料のデジタル化が大きく進展している。中国の大学図書館は「インターネット+」の政策の下で、資料のデジタル化と図書館の価値の再構築を目指してきた。この過程のなかで、図書館の空間利用の見直しの大切さがだんだん注目されるようになってきた。また、近年、貸出冊数は減少しているが、入館者数は少しずつ増加している。このような状況の変化も図書館空間の再構築の大切さを示している。今後の方向性としては、現在の図書館の空間を新たなサービスが実現できるように調整したり、コレクションをデジタル化し、館内空間を新たなサービスに利用するほかに、新たな遠隔サービスと館外サービスを提供する必要がある。本研究は、中国大学図書館が利用者に提供する館内空間の利用の現状に注目し代表的な五つの大学図書館を調査して、空間利用の現状を明らかにした。今後の大学図書館は利用者のニーズを反映した将来に向けての発展計画を作成する必要があると考える。
著者
佐藤 貢司 安井 基陽 田中 厚子 中村 昭博 中田 守
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.61-65, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
4

近年、事業戦略に知財情報を活用する動きが活発になってきており、知財活動における情報分析の重要性が高まっている。特許分析は、①発明の評価や特許出願の要否判断、②自社・他社の技術的な強み・弱みの把握、など様々な目的において活用されるようになってきている。分析対象となる特許が数千件に及ぶ場合など課題も散見されてきており、情報分析手法や評価指標などが検討・提案されている。 本発表では、特に被引用情報を用いた重要特許抽出方法の検証を行い、特に平均被引用回数を用いることにより効率化が期待できることを見出した。

2 0 0 0 OA Mapping Science

著者
川村 隆浩 渡邊 勝太郎 松本 尚也 江上 周作 治部 眞里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.119-124, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
8

近年,科学技術の関係性や発展を把握するため,さまざまなサイエンスマップが作られている.しかし,ファンディング情報や最新の論文は,十分な引用情報を持たないため,従来の引用分析を用いてマップ化することが難しい.そこで,我々は研究内容の類似度に基づいてマップを作成するため,ニューラルネットワーク技術を用いてプロジェクト概要や論文抄録などのテキスト情報を多次元ベクトルに変換する手法を開発した.文書ベクトル化することによって内容の類似性を定量的に測定することを始め,クラスタリングなどの統計処理や機械学習にかけることが可能になる.本論では,実際に 2012~2016 年の米国 NSF における約 3 万のプロジェクト情報,および同期間の Scopus 収録 IEEE 論文誌・国際会議論文約 27 万編の抄録を文書ベクトル化し,マップとして表した結果を示す.また,マップ上において,いくつかの萌芽領域が形成されていく様子(時系列的な構造変化)が確認できたことを示す.
著者
後藤 晶
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.143-148, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
15

本研究では,実際には監視されていなくても監視されていると思い込む「被監視感」に着目して,その被監視感が主観的幸福度および社会的価値指向性・認知内省テストに与える影響について検討する.本研究では,クラウドソーシングを用いておおよそ1500名を対象として,主観的幸福度および被監視感に関する調査を行った.利他性や競争性などを示す社会的価値指向性,並びに情報処理スタイル(合理性‐直観性)尺度についても調査を行っており,これらを包括的に報告する. さらに,本研究を支えるための基盤としてのクラウドソーシングサービスおよびクラウドソーシングを用いた大規模経済ゲーム実験の可能性について,計算社会科学の文脈から議論をしたい.
著者
渡邊 勝太郎 大倉 克美 鈴木 至 松邑 勝治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.101-106, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
1

科学技術文献データベースは特許データベースと異なり、その収録範囲は分野別、用途別、データベースベンダーのポリシーなどによって時に大きく異なる。本稿では総合系のデータベースとして著名なエルゼビア社の Scopus、クラリベイト・アナリティクス社の Web of Science(WoS)と JST の文献情報データベース(JST文献)を比較し、示唆を与えることを目的とする。3 種類のデータベースの収録範囲を ISSN を用いて集計した結果、Scopus と WoS の収録範囲は多くの雑誌(15,000 誌超)で重複しており、JST 文献の収録範囲は他 2 者との重複はさほど多くはないものの、学協会発行の雑誌や大学紀要等の国内の文献の豊富な収録状況(独自の収録13,000 誌超)が明らかになった。さらに、JST が実施している、JST 文献と Scopus とを書誌マッチングした結果を用いて、大学等公的機関と企業の共著関係を検索し、国内学会での発表等 JST 文献以外では収録していない情報から、研究初期の段階にあるテーマ等を追うことができる可能性を示した。
著者
竹中 賢治 小林 淳 金澤 綾子 足立 佐知 小田 奨 佐々木 眞悟
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.41-46, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
3

特許情報の分析結果から、商品開発戦略や知財戦略立案に役立つ情報を抽出する際に、「SWOT分析」は、複雑な作業を必要とせず実用性は高い。一方、これら戦略立案事例は、企業内で閉じられて紹介される機会は少なく、筆者らは、具体的な題材を扱い、SWOT分析の実践事例を重ね、その実用性を確認してきた。 そして、近年着目される技術の中から機能性塗料の分野で遮熱塗料について焦点をあて、遮熱塗料に関連して出願された特許情報をもとにSWOT分析を行い、商品開発戦略の創出作業を試みた。戦略創出の検証作業は「塗料」業界大手事業者のK社にあてはめて行った。 特許情報を分析し、「SWOT」情報を得ようとする際、「S(強み)」情報の抽出過程において難しさがあることがわかり、この点の打開策を思考し考察した。強み把握に対する提言をまとめるに至ったので報告する。
著者
石川 彰
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.35-40, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
10

特許協力条約基づく国際出願(PCT出願)の国際調査報告(ISR)は、出願時の新規性、進歩性の判断を提供するもので、その統計解析は、出願・権利化対応の実態を調べる有効な手段である。最近、ISR評価について、扱いが容易なテキストデータが入手できるようになった。そこで、特定分野の技術(ナノファイバー)について、統計解析を検討した。日本、中国、韓国で受理され案件のISR評価に違いを調べることを目的とした。その結果、次の点が分かった。 ①引用文献にX文献(新規性に関わる引用文献)が存在する比率は、日本、中国が受理国の場合、55%以上と高く、受理国が韓国の場合は15%~40%と低かった。 ②引用文献のX文献の出願人が本願と同一出願人である比率は80%~95%と非常に高かった。 ③ISR評価のX文献、Y文献(進歩性に関わる引用文献)の合計数と中間手続アクション回数には相関関係があった。 発表では、データの詳細及び検討の結果を報告する。
著者
山下 泰弘 治部 眞里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.53-59, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
8

本研究では、特許による論文の引用について、特許データベース(PATSTAT)と論文データベース(Web of Science)を突合して構築した網羅的なデータを用いて、世界の特許による論文引用と、既存の論文の特徴量との関連性を分析する。さらに、特徴量の値の高い特許から引用を受けやすい論文はどのようなものであるかを、特許の特徴量を従属変数、論文の特徴量を独立変数とするロジスティック回帰により分析する。それらの結果を踏まえて、特許による論文引用についての可能な評価指標の検討を行う。
著者
本田 正美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.137-141, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
11

自由に二次利用可能な形式でデータを公開し、その利用の促進を図るオープンデータの取り組みが広がりを見せている。日本政府においては、2012年に「電子行政オープンデータ戦略」が策定され、各種の取り組みが展開されているのである。政府CIOポータルの「オープンデータ100」には、オープンデータを活用したアプリケーションが36事例紹介されている。この事例数を見ると、日本では、オープンデータの取り組みは自治体も含めて広がりを見せているものの、その利用は必ずしも広まっている状況にはないと判断される。これはオープンデータとして公開されるデータの量は増加しても、その利用が広まっていないということで否定的な評価を下される要因になり得る。しかし、公共機関によるオープンデータについては、まずは公共データの公開に注力されているのであって、それだけではアプリケーションの開発などに直結せず、公開と利用を一旦は分けて考える必要がある。
著者
吉田 秀紀 中西 佳世子 藤沢 仁子 田中 珠 松邑 勝治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.125-129, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
8

一般的に、新たな発見や発明は、論文として出版されるよりも前に先ずは学会で発表されることから、適時的に科学技術の動向を測る手段の一つとして、学会予稿集に着目した。 国内25学会の予稿集(2012~2016年)を対象にJ-GLOBAL knowledgeを用いて準ディスクリプタを抽出し比較検討した。特に、日本金属学会において“高エントロピー合金”や“積層造形”など実際の研究動向を反映する抽出結果が得られた。また、情報処理学会について抽出結果とCRDS俯瞰報告書との照合を行い、両者ともにAI関連の語が頻出しているものの、前者はユーザインタフェイス,認知科学系の語が多く、後者はオントロジーやLOD(リンクト・オープン・データ)関係の語が頻出するなどの差異が認められた。 本手法の実用可能性の片鱗は認められたが、方法論の更なる検討を進めることが必要で、その際、学者や有識者ら外部との意見交換が有効であろう。
著者
中澤 敏明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.95-100, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
2

世界の科学技術の進歩のスピードが速まっており、また発信される情報も年々増加の一途をたどる中、必要な最新の情報にタイムリーにアクセスし、その概要を素早く把握する必要があることは明白である。JSTでは外国で発行される文献を収集し、その抄録を日本語で読めるようにするために、独自に高精度なニューラル機械翻訳エンジンを開発した。これにより、日本語への翻訳のための時間的、金銭的コストを大幅に縮小することができた。また開発したエンジンは機械翻訳の国際的な評価ワークショップの科学技術論文翻訳の全タスクにおいて最も高い精度を達成した。本稿では開発したエンジンの仕組みを解説し、その現状の翻訳精度や今後の課題について述べる。また科学技術論文だけでなく特許文など他のドメインへの適用可能性などについても述べる。
著者
田畑 文也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.89-93, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
1

AI(人工知能)の急速な進歩に伴い、自然言語処理技術が急速に進化を遂げている。これにより、機械翻訳のアルゴリズムについても、ニューラル翻訳(NMT)が登場した。また特許調査については、中国特許の急激な増大により、中国語で書かれた特許を査読する頻度も多くなり、その際には、まず日本語または英語に機械翻訳したもので、内容を理解しようとするのが通常である。しかし、現状では中国特許の機械翻訳の精度は高くないことも多い。中国特許についてNMTを用いて翻訳した場合、その翻訳精度を調べた。ただし、本稿を記した時点(2017年9月)では、中国語から日本語へのNMTに対応したものは少なく、中国語から英語へのNMTシステムも合わせて調べることにより、翻訳精度を評価した。 評価した結果、従来のルールベース翻訳や、統計翻訳とNMTを比べると、NMTの方が、単語レベルでの翻訳精度では必ずしも高いとは限らず、むしろ翻訳精度が低下する場合もあることが分かった。しかし、文としての意味を理解する上では、NMTの方が文の構成を理解し易い傾向があり、これについては発表までに詳しくまとめる予定である。また、中国語から日本語への翻訳より、中国語から英語への翻訳のレベルの方が高く、翻訳精度を求めるならば、日本語より、英語で見る方の効果の方が現時点では大きいことが分かった。
著者
田中 雅章 神田 あづさ 内田 あや
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.77-82, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
3

一部の高等教育機関では電子教科書の導入が始まりつつある。筆者が所属する学園の看護師養成課程では平成27年より電子書籍配信サービス(以降、配信サービス)を導入した。平成27年は50冊中39冊の電子教科書の運用を開始した。平成28年には電子教材の運用を開始した。配信サービスを利用するには、専用アプリをタブレットへインストールする必要がある。配信データをダウンロードすることで、電子書籍や電子教材を利用することができる。利用者である学生はすでに高校生の時からスマートフォンを所有しており、電子書籍の小説や漫画を読む環境に慣れている。本稿は、高校生の時からスマートフォンを使い慣れている学生の配信サービスの評価を報告する。あわせて、電子書籍の将来を考察する。
著者
吉野 知義 菊地 高志 白幡 恵子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.73-76, 2017 (Released:2017-11-01)

図書館の利用状況を測る指標としては入館者数や貸出冊数が一般的に使用されているが、いずれも1年間の合計の数値であり、図書館における個々の取り組みや活動による効果測定の指標とすることはできない。 大学図書館で実施している各種のガイダンス(講習会)やイベントなどの活動が実際の図書館や電子資料の利用にどのように反映されるのか、個々の活動の成果を評価できる材料とする必要もあると考えられる。 本発表では、学部1年生前期の必修科目「基礎演習」において全クラスで実施しているガイダンス「文献検索案内」の大幅な内容刷新が、入館者数や各種電子資料の利用状況へ与える影響について利用統計を分析し検証した結果を報告する。
著者
高石 静代 朝倉 和子 上野 亮磨 左右内 敏浩 都築 泉 出口 哲也 渡邉 薫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.27-33, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
3

新製品・新事業探索は、企業が持続的な成長をしていく上で必要な取り組みであり、様々な方法が提案・実践されている。本研究では、新しい手法として段階的発想法を考案し、その適用について検討した。段階的発想法とは、共出語を用いてキーワードを段階的につなげて、新製品・新事業につながる発想を広げていく方法である。 従来より、コア技術のキーワードを用いて特許文献を絞り込み、作成した集合を分析して新製品・新事業を探索する方法が知られているが、段階的発想法は、この従来法よりも発想を飛躍でき、広い範囲で新製品・新事業を探索できるものと期待される。 本研究では、実在するK社のコア技術であるマイクロレンズを題材に、特許、学術文献、新聞、ソーシャルメディア、ウェブ情報から段階的発想法を用いて新製品・新事業の探索を試みた。その結果から、情報源による違い、従来法と段階的発想法との違いや有用性を考察した。