著者
片岡 一則 横田 隆徳 位髙 啓史 津本 浩平 長田 健介 石井 武彦 西山 伸宏 宮田 完二郎 安楽 泰孝 松本 有 内田 智士
出版者
公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター)
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2013

脳は高度に発達した生体バリアに守られているため薬剤の送達が極めて困難な部位である。本研究では、この生体バリアを克服して核酸医薬を脳内に送達して機能させるウイルス・サイズの薬剤送達システムを、高分子材料の自己組織化(高分子ミセル化)に基づいて構築した。すなわち、(1)血管内腔側内皮に局在するグルコース輸送タンパク質を標的とするグルコース結合型高分子ミセルを創製し、血管内腔からの脳内薬物移行を制限する内皮細胞バリア(血液脳関門)を突破して核酸医薬を脳内送達する事によって、アルツハイマー病(AD)の発症に関わる酵素の産生を抑制する事に成功した。(2)生体内で速やかに酵素分解を受けるmRNAのミセル内包安定化を達成し、脳室内局所投与による単鎖抗体のその場産生を実現する事によって、AD発症に関わるタンパク質であるアミロイドβ量を有意に低下出来る事を実証した。
著者
片岡 一則 山崎 裕一 西山 伸宏 長田 健介 宮田 完二郎 岸村 顕広 石井 武彦
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

本研究では、難治がんの標的治療の実現を目指して、細胞内低pH環境応答性と標的細胞結合能を賦与した制がん剤内包高分子ミセルを開発し、その有効性を担がんマウスを用いた動物実験により明らかにした。また、遺伝子デリバリーに基づくがんの分子治療の実現に向けて、細胞内還元的環境下で選択的に開裂する結合を介して内核が架橋安定化された高分子ミセル型ベクターを構築し、がんの血管新生阻害治療における有用性を明らかにした。