著者
稲垣 郁哉 小関 泰一 財前 知典 小関 博久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101669, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】近年、体幹と下肢の運動連鎖について述べた研究は数多く報告されている。しかし、体幹と上肢の運動連鎖についての研究は少なく、中でも末梢に存在する手部と体幹機能について述べた研究はほとんどみられない。我々は先行研究により、第5 中手骨の外がえし誘導テーピングが荷重位におけるプッシュ動作時の前鋸筋活動を増加させるという報告を行った。この結果から手部と体幹に関係があることが示唆された。この現象は、荷重位のみでなく非荷重位でも観察されることを臨床上経験する。そこで今回は、第5 中手骨外がえし誘導テーピングが非荷重位におけるプッシュ動作時の前鋸筋活動と、前鋸筋作用である肩甲骨外転可動域に及ぼす影響を検証し、荷重位の結果と比較することを目的とした。【方法】対象は整形外科疾患など既往のない健常成人男性15 名(平均年齢23.9 ± 2.9 歳)とした。第5 中手骨誘導は入谷式足底板の評価に用いる第5 列外がえし誘導テーピングに類似させ、第5 中手骨頭と舟状骨間に貼付し、第5 中手骨誘導と誘導なしに分類した。テーピングは長さ8cm、張力200mgに統一し、同一験者が施行した。課題動作は、背臥位にて左肩関節屈曲90°、肘関節伸展位、前腕および手関節中間位、手指伸展位で、脊柱の棘突起が離床しない範囲での最大プッシュ動作とした。また、頭位や体幹の過度な回旋が生じた場合は除外した。被験筋は左前鋸筋とし、表面筋電図は日本光電社製多チャンネルテレメーターシステムWEB7000 を使用、サンプリング周波数は1000Hzにて計測した。肩甲骨外転可動域は肩峰の後角を指標にし、プッシュ動作時の床面からの移動量を定規にて測定した。筋電波形は、プッシュ動作を5 秒間保持してもらい、安定した2 秒間を抽出した。得られた筋電波形をキッセイコムティック社製BIMUTAS−Video for WEBにて積分値(以下IEMG)を求め、被験筋の最大等尺性随意収縮を基に%IEMGを算出した。統計処理にはSPSS Statistics 21 を用いてそれぞれ対応のあるt検定で比較検討した。なお有意水準は1%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】被験者にはヘルシンキ宣言に基づいて研究の主旨を十分に説明し、同意を得た上で計測を実施した。【結果】第5 中手骨外がえし誘導は誘導なしと比較し、前鋸筋活動が有意に増加し(平均値12.5 ± 5.8%、p<0.01)、肩甲骨外転移可動域も有意に増加した(平均値1.5 ± 0.7cm、p<0.01)。このことから、第5 中手骨外がえし誘導テーピングにより荷重位、非荷重位ともにプッシュ動作時の前鋸筋活動が増加する結果となった。【考察】本研究では第5 中手骨外がえし誘導テーピングにて非荷重位でのプッシュ動作により前鋸筋活動と肩甲骨外転可動域が増加した。このことから、第5 中手骨に対する誘導においては荷重位および非荷重位ともに前鋸筋活動に同様な影響を及ぼすことが示された。第5 中手骨は手部における外側の縦アーチに関与し、手部の支持性に寄与することが考えられる。手部の支持性向上は、上肢帯のユニットの安定性を高め、肩甲胸郭関節を安定させる前鋸筋の活動が向上したと考える。足部機能は骨盤を含めた下肢ユニットに影響を与えることが報告されており、足部と同様に、末梢部である手部機能も、上肢ユニットに影響を及ぼすことが考えられる。このことは、発達に伴う上肢の役割が荷重位から非荷重位へと移行していく現象と深く関わるものと推察される。つまり、荷重位における手部と体幹部の間には運動連鎖が存在し、この動きが非荷重位においても反映していると考えられる。【理学療法学研究としての意義】第5 中手骨誘導が荷重位、非荷重位において前鋸筋活動に同様な影響を及ぼすことが示唆された。臨床においては手部を含む上肢に対する理学療法は非荷重位で展開されることが多く、本研究は手部からの運動連鎖を把握するとともに、上肢の理学療法を行う上での新たな展開になるのではないかと考えられる。今後は、第5 中手骨誘導における手関節、肘関節などの各関節機能に着目し、より正確な運動連鎖を検証していく必要があると考える。
著者
中野 義昭 種村 拓夫 杉山 正和 小関 泰之 肥後 昭男 久保田 雅則
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2014

(1) 量子井戸型偏波制御器の設計と試作前年度に開発した量子井戸型偏波制御器の高速化と省電力化を図るために, 逆バイアス駆動により量子閉じ込めシュタルク効果を用いた変調素子を試作実証した. 並行して, さらなる高性能化に向けて量子構造の最適化を進めている.(2) 偏波解析素子の設計と試作前年度に作製した量子井戸型受光素子を搭載した完全にモノリシックな集積回路を評価し, ポアンカレ球面上の任意の偏波状態を検出できることを実証した. さらに, 高感度化に向けて, 4ポート構成を新たに提案し, 素子パラメータの設計を完了した. 現在, 4ポート素子の作製を進めている.(3) 光波合成チップの設計と試作前年度に提案したランダム信号を用いた駆動手法を大規模光波合成チップに適用し, その有効性を実験的に検証した. 同時に, 2次元化に向けて, 回折格子カプラを集積した素子の試作を行った. これらの素子の応用の一つとして, 2次元イメージング実験を進めている.(4) ユニタリ変換チップの設計前年度に作製した3×3ユニタリ変換チップを用いて, 任意光ユニタリ変換機能を実験的に検証した. 並行して, 作製誤差に対して耐性のある新規構造の素子を完成させ, 評価を進めている.
著者
大関 泰裕 安光 英太郎
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究成果の概要(和文):従来知られていなかった全く新規な一次構造を持つα-ガラクトシド結合性レクチンMytiLecのアミノ酸配列を決定し、グロボトリオース(Gb3)糖脂質糖鎖結合性、Gb3発現Raji細胞に対する増殖抑制を見出した。SUEL/ラムノース結合レクチンファミリーでGb3に結合したナマズ卵SALレクチンは同細胞の増殖に影響せず、多剤耐性トランスポーター遺伝子の発現を抑制した。両結果を総合すると、同一糖鎖に結合するレクチンでも、その結合力や価数の違いから、異なるシグナルを細胞内に伝達することが判明した。細胞増殖の調節に応じて適切なレクチンを投与することで、細胞研究における機能制御が可能と示唆された。
著者
関 泰子
出版者
立命館大学国際関係学会
雑誌
立命館国際研究
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.691-714, 2014-03