著者
阿部 真由美 遠藤 健 森田 裕介
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.46068, (Released:2023-05-10)
参考文献数
17

本研究では,2020年度秋学期の大学での授業について,大学生を対象としたアンケート調査を実施し,学生が「有益」だととらえた授業の形態とその傾向を検証した.授業形態は,対面とリアルタイム,オンデマンド,さらにそれらの組み合わせといずれも含まない8つの形態に分類した.その結果,次の点が明らかになった.まず,「有益」な授業には,対面やリアルタイムでの同期型の授業が含まれていた.また,同期型の授業では,履修者の発言や授業内の協調活動が活発だった.一方,授業外の協調活動は対面授業によって促進される可能性が示唆された.さらに,授業の区分や規模,学生の学年により,「有益」な授業形態の傾向に違いが見られた.
著者
阿部 真由美 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43009, (Released:2019-08-23)
参考文献数
11

学習者が英語学習を自律的に行う際,学習者の個別ニーズに合わせた学習をデザインし,そのプランに沿って学習を進めていくのが効果的だと考えられる.本研究では,大学の授業において英語学習デザインの指導を行い,その指導が学習者のプランニングとその後の学習に及ぼす影響を明らかにすることを目的として調査を実施した.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)学習デザイン指導により,学習者は個別ニーズに合った学習プランを作成できるようになった.(2)個別ニーズのうち,学習者の好みに合わせた学習プランを作成することが学習に対する動機づけに影響し,学習者の好みや学習環境に合わせた学習プランがプランの実行度に影響を与えることが示された.以上の結果から,英語自律学習のための学習者の個別ニーズに合わせた学習デザイン指導,特に学習者の好みを考慮したプランニングの重要性が示唆された.
著者
阿部 真由美 向後 千春
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-12, 2020 (Released:2020-09-17)
参考文献数
29

本研究では,英語の自主的な学習での学習方法に対する「好み」の構造と傾向,および「好み」が学習行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,オンライン調査を行った。その結果,「好み」の因子として「拡散的好奇心」「特殊的好奇心」「達成感」「刺激」が確認された。また,学習方法をクラスタ分析により「音声・活字言語教材型」「映像メディア型」「活字メディア型」「人と交流型」に分類して「好み」の傾向を比較したところ,「拡散的好奇心」「特殊的好奇心」「有効性」はクラスタ間で大きな違いはなかった。一方,「達成感」「刺激」「低コスト」はクラスタによって異なる傾向が示された。さらに,「好み」が学習行動に及ぼす影響を調べたところ,「拡散的好奇心」が学習の期間や継続に影響を及ぼすこと,また,コスト感の低さが学習の頻度や継続に影響を及ぼすことが明らかになった。
著者
阿部 真由美 石川 奈保子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.105-111, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

大学3年生を対象としたゼミナールにおいて,2022年度春学期に反転授業形式で研究指導を行い,効果を検証した.その結果を踏まえ,同年秋学期には事前学習や授業内での活動を一部変更し,また,オンライン同期・非同期の授業形式を織り交ぜることで,多面的な授業を展開した.本発表では,秋学期終了後に行った受講生対象のインタビュー調査をもとに,授業デザインの各要素について検証した結果を報告する.
著者
阿部 真由美 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42011, (Released:2018-09-28)
参考文献数
12

本研究では,英語を自主的に学ぶ学習者が自ら学習リソースを選択する際の根拠を明らかにし,支援方法を検討することを目的として,日本人の成人英語学習者を対象にウェブ調査を行った.英語学習リソース選択根拠尺度を作成し,因子分析を行った結果,「自己ニーズ」と「外的影響」の2因子が抽出された.さらに,学習者の特性による違いを比較するために,英語の熟達度3群,学習継続期間3群,学習目的4群で分析したところ,継続期間および目的で違いが見られた.これらの結果から,学習者のリソース選択は「自己ニーズ」と「外的影響」の2つの根拠に基づくことが分かった.また,学習者の特性によって支援方法を変える必要性が示唆された.
著者
阿部 真由美
出版者
お茶の水女子大学附属高等学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:13405934)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.181-183, 2005

平面に描かれた絵を、ある規則に従って対称移動させたり、縦や横や斜めに拡大させたりして、その仕組みについて考えた。2×2行列を用いた一次変換である。参加者全員中学1年生だったので、「行列」、「一次変換」云々の難しい言葉は抜きにして、単純な計算をする中で、行列の4つの数の値、また、配置によって、どのような図形に変化するかを、実際に手を動かしながら考えてもらった。中学1年生の段階ではまだ、x軸・y軸・座標などの直交座標平面の概念、比例・反比例などの関数の特別な場合を習った程度であり、今回の内容をどこまで分かってくれたのか定かではない。計算は好きらしく、熱心に計算してくれて、できあがった絵(図?)も喜んでくれた。コンピュータにさせてしまえばすぐに結果を出してくれる性質のものを、今どき、全部手計算というのは時代遅れのような気もするが、自分で計算するからこそ、途中経過もわかり、しくみを理解できるという良さもある。敢えて参加者には、面倒な計算につきあってもらった。