著者
青山 亨
出版者
京都大学東南アジア地域研究研究所
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.34-65, 1994-06-30 (Released:2018-02-28)

The vast body of classical Javanese literature that directly or indirectly deals with what the Javanese perceived to be their past may be more coherently analyzed by defining “history” as the “world with its own time and space comprising the narrated stories of the past, the world that was imagined and shared by the reader.” The aim of this paper is to explicate from the narratological point of view how the “history” was structured and narrated, and to trace its development through several stages in premodern Javanese literature.  The first and most fundamental of all stages is that of Old Javanese literature, where the Indian theory of four yuga was adopted as the framework of “history” consisting of different ages, into which episodes of both Indian and Javanese origin were inserted as “modules.” It is on this “framework and module” principle that later Javanese literature, such as chronicles and prophetic literature, was able to expand the “history” of Java into a narrative ranging from Adam through the Pāṇḍawa to King Jayabaya and Muslim Mataram. On the other hand, the main narrative device of connecting the time of a narrated story and that of the reader changed from incarnation in the earlier stage to genealogy and prophecy, both of which had their precursors in Old Javanese literature, in the later stage.
著者
青山 亨
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

14世紀に書かれた古ジャワ語宮廷年代記『デーシャワルナナDesawarnana』(通称『ナーガラクルターガマNagarakrtagama』)の校訂本に基づきローマ字翻字による電子版を作成するとともに、日本語への翻訳をおこなった。また、15世紀に書かれた中期ジャワ語歴史物語『パララトンPararaton』の校訂本に基づきローマ字翻字による電子版を作成するとともに、日本語への翻訳をおこなった。『デーシャワルナナ』はマジャパヒト王国の宮廷詩人プラパンチャが書いた古ジャワ語の韻文98詩編384詩節からなる叙事詩的形式をもった作品である。原題は「地方の描写」を意味する。14世紀後半のハヤム・ウルク王治世期に最盛期を迎えたマジャパヒト王国の繁栄と、13世紀前半成立のシンガサリ王国に遡る王統の系譜を描いており、同時代のジャワの歴史を研究するために最重要な史料である。『パララトン』は15世紀後半に書かれた著者不明の散文の歴史物語である。原題は「諸王の書」を意味する。前半はシンガサリ王国の創建者ケン・アンロックの伝奇的な生涯を描き、後半は元寇の余波で生まれたマジャパヒト王国の成立の過程から、東西王宮の対立に起因する内乱をへて王国の後期までを描く。後代の編纂であり、また、史実からの逸脱が明かな部分もあるが、シンガサリ王国からマジャパヒト王国の末期までを理解するための根本史料の一つである。本研究の成果の一部は、岩波講座東南アジア史の第2巻におけるシンガサリ・マジャパヒト王国の歴史記述に用いられると共に、国際学会における発表の基本データとして利用され、インドネシア史の研究に還元されている。
著者
青山 太郎
出版者
社会芸術学会
雑誌
社藝堂 (ISSN:21885516)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.9, pp.85-108, 2022-09-20 (Released:2022-12-15)

本論⽂では、1950年代からのおよそ20年間に制作されたテレビドキュメンタリーに焦点を当て、⽇本のテレビ放送が戦後復興期の社会とどのような関係を結びながら、その表現様式を模索してきたかを考察する。具体的 には『⽇本の素顔』(NHK)、『ノンフィクション劇場』(⽇本テレビ)、『あなたは…』(TBS)を取り上げ、同時代の他メディアや社会現象、法制度などとの関係を検討しながら、これらの番組の映像的特性について分析する。