著者
海蔵寺 大成 青山 秀明 田中 美栄子 藤坂 博一 増川 純一 小野崎 保 相馬 亘 高安 秀樹 生天目 章 藤原 義久
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究の課題である統計力学の視点から経済現象を分析しようとする試みは最近、経済物理学と呼ばれ始めている。経済物理学は急速に発展しつつある学際的分野であるが、始まったばかりの研究領域である。本研究の目的は経済データの統計分析を通して経験則を発見し、その観察事実を物理学者と経済学者がお互いの知識を持ち寄り、議論することでこれまでの学問的な枠にとらわれない新しい実証的経済科学を作ることである。この時期にこの分野で研究している研究者が共同して一つの課題に取り組みお互いの知識や考え方を共有する機会が与えられたことは、今後の経済物理学の発展にとって非常に重要な意味があったと考える。本研究における主要な研究対象は次の2つである。I.「資産市場におけるゆらぎ」、II.「企業・個人の所得のゆらぎおよび経済社会ネットワーク」である。すなわち、本研究の課題は経済のストックとフローおよびそれらの相互作用を統計物理学的視点から分析することである。この2つの課題は経済物理学において最も関心をもたれているテーマであると同時に、多くの未解決な問題を含む研究課題でもある。それぞれの研究課題において、まず、徹底したデータマイニングが行われ、多くの統計的法則が発見された。また、発見された経験則を説明する新しい経済理論が統計物理学の視点から構築された。本研究の成果は、多岐に亘っているが、今後、これらの成果を発展、統合してゆくことで、実証的な立場からマクロ経済現象を明らかにする極めて独創的な経済学を作り出すことができると期待している。
著者
青山 千彰 日本山岳レスキュー協議会
出版者
関西大学
雑誌
情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-58, 2004-10-30
被引用文献数
1

我が国における山岳遭難事故者は,1994年より増加し始めて以来,右肩上がりに増加し続け,2003年には1666人まで達した.この増加の背景には中高年の登山ブームがあると言われている.事故の全体的な傾向については警視庁の事故統計以外は分からず,加えて本調査データの大部分は公表されないため,事故者数の増加に関する分析ができない現状にある.そこで,三団体(日本山岳協会,日本勤労者山岳連盟,東京都山岳連盟)の山岳遭難保険請求時に事故調査を行い,2002年よりデータベースを作成した.その内容は事故者の基礎情報(体力,経験),計画・装備,事故発生時と発生前後に関して約150に及ぶ項目から構成される.警視庁データと併せて,山岳遭難事故の実体,原因,発生のメカニズム等について言及し,知見を得たので報告する.
著者
松下 戦具 菊永 佐紀子 青山 純也 野村 毅
出版者
日本顔学会
雑誌
日本顔学会誌 (ISSN:13468081)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.41-50, 2023-12-26 (Released:2023-12-26)
参考文献数
22

唇の外見は加齢に伴い変化する。しかし、どういった質感や特徴が唇の見た目の年齢に影響するかはこれまでよくわかっていない。本研究の目的は、唇の見た目年齢に影響する因子を抽出すること、およびそれらの因子の寄与の度合いを推定することであった。実験では、参加者は20代から60代の唇の写真を印象評定し、その後その唇の年齢を推定した。印象評定値を因子分析したところ「色つや」「ボリューム」「かたち」「シワのなさ」の4因子が抽出された。唇の見た目年齢に対するそれら4因子の影響を重回帰分析で検討したところ、「色つや」と「ボリューム」が特に唇の見た目年齢に影響していることが示された。その一方で、見た目年齢に対する「かたち」と「シワ」の影響は有意ではなかった。
著者
木村 優花 川上 和宜 中村 匡志 横川 貴志 清水 久範 小林 一男 青山 剛 鈴木 亘 羽鳥 正浩 鈴木 賢一 高張 大亮 小倉 真理子 陳 勁松 中山 厳馬 若槻 尊 山口 研成 山口 正和
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.12, pp.1075-1081, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)
参考文献数
21

Since it is important that patients take their oral anticancer therapy as prescribed, pharmacists need to assess adherence. In addition, oral anticancer drugs are expensive, and reuse of leftover drugs at outpatient pharmacy clinics is useful in reducing drug costs. The present study aimed to clarify when and why patients have leftover capecitabine tablets, and the cost of leftover capecitabine tablets reused at an outpatient pharmacy clinic, focusing on adjuvant capecitabine plus oxaliplatin (CAPOX) chemotherapy for gastric cancer. We retrospectively studied patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy for gastric cancer between November 1, 2015, and April 30, 2021, at the Cancer Institute Hospital of the Japanese Foundation for Cancer Research. The cost of leftover capecitabine reused by pharmacists was calculated based on the National Health Insurance drug price standard for the study period. This study included 64 patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy. Thirty-seven patients had 152 leftover capecitabine tablets. The most common reasons for leftover capecitabine tablets were nausea and vomiting (21.7%), missed doses (18.4%), and diarrhea (13.2%). The leftover capecitabine tablets for 25 patients were reused at the outpatient pharmacy clinic at a cost of JPY 604142.8 (JPY 24165.7 per patient). The study results suggest that evaluating capecitabine adherence and the reasons for leftover capecitabine tablets at outpatient pharmacy clinics as well as reusing leftover medication can contribute to reducing drug costs.
著者
神 雄太 西山 亮 小金井 雄太 木村 大輝 青山 純也 中野 容 今井 俊一 下河原 達也 山田 暢 江川 智久
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.641-648, 2023-12-01 (Released:2023-12-11)
参考文献数
25

50代男性.未治療B型慢性肝炎の既往があり,人間ドックで肝腫瘤を指摘され,精査の結果肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma:HCC)の診断に至った.病変はS8に2カ所あり,開腹肝前区域切除を行い,病理組織診断でvp2を認めた.術後2カ月で施行した造影CT検査で門脈左枝に門脈腫瘍栓(Portal vein tumor thrombosis:PVTT)を認めた.術後早期再発したPVTTであり再肝切除後の再発のリスクが高いと考え,観察期間を設けるためLenvatinib(LEN)投与を開始した.PVTTは放射線定位照射したが,術後9カ月に肝右葉微小転移が指摘された.LEN投与下にPVTTと微小転移は増悪を認めず,AFP値が正常化したため,再発後11カ月で再肝切除を行った.その後,微小転移に対してサイバーナイフを施行し完全寛解した.現在,初回術後43カ月無再発生存中である.
著者
近藤 光男 青山 吉隆 廣瀬 義伸 山ロ 行一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.777-784, 1996-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
17

本研究では、道路、鉄道、航空からなる高速交通体系における1960年以降の整備変化について、旅行時間と費用に着目して分析を行い、どのようなサービス水準の向上があったのかを交通機関の利用者の時間価値に基づいて明らかにするとともに費用差時間差比指標を用いて評価を行った。その結果、道路と鉄道の比較では、この指標は激しく変動し互いに影響を及ぼしやすいことがわかった。鉄道と航空を比較した場合には、費用差時間差比が全体的に低下しており、航空が有利になる傾向がみられた。一方、都市部と地方部を比較してみると、同じ交通機関でも地域によって利用者の選好比率に大きな差があり、高速交通サービスにおける地域間格差の存在が浮き彫りにされた。
著者
青山 祐樹 高橋 索真 稲葉 知己 泉川 孝一 中村 聡子
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.145-152, 2019-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
30

70歳男性.黒色便・貧血精査の小腸カプセル内視鏡検査で回腸に輪状潰瘍を認め,原因としてnon-steroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs)貼付剤が疑われた.貼付を中止し小腸粘膜保護剤を開始後,潰瘍治癒にともなう瘢痕狭窄によるイレウスを発症し外科切除を要した.特異的な病理所見は認めず,臨床的にNSAIDs起因性小腸潰瘍と診断した.貼付剤でも消化管粘膜傷害を生じうる.
著者
青山 敦
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では,明瞭な空間情報をもつ聴覚・触覚・前庭感覚を主な対象として,自然には存在し得ない特殊環境(音が左右反転して聞こえる聴空間,手指への接触が左右反転して受容される触空間,重力方向が上下反転する前庭空間等)を最新のデバイスを用いて構築する.構築した各特殊環境への順応過程における脳活動を検討し,頑健性や適応性を創発する動的な多感覚統合機能のメカニズムを包括的に検討する.
著者
内山 武人 宮本 葵 青山 隆彦
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

アスリートが禁止薬を「故意」に摂取したのか、あるいは「うっかり」して摂取したのかを正しく判断する際に、代謝物に関する情報を分析することは大きな意味を持つ。本研究では、気管支拡張薬として用いられる一方で、筋肉増強薬としてドーピング禁止薬に指定されているクレンブテロールとその代謝物に着目する。複数の想定代謝物を化学的に合成し代謝物の同時定量法を確立するとともに、確度の高い薬物動態モデルを構築し、ドーピングの適正な判断に資することが本研究の目的である。本研究により得られた知見は、ドーピング検査においてより正確な判定を可能とし、公正なスポーツを行うための活動に寄与できるものと考える。
著者
田口 菜月 升川 研人 青山 真帆 森田 達也 木澤 義之 恒藤 暁 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.193-200, 2023 (Released:2023-08-30)
参考文献数
15

【目的】緩和ケア病棟の質改善活動の実態と遺族調査のアウトカムとの関連を明らかにする.【方法】J-HOPE4に参加した187施設にアンケート調査を実施し,質改善活動実施状況と,施設を利用した遺族の全般的満足度,ケアの構造・プロセスの評価(CES),望ましい死の達成度(GDI),複雑性悲嘆(BGQ),抑うつ(PHQ-9)との関連を検討した.【結果】日本ホスピス緩和ケア協会の自施設評価共有プログラムへの参加,多職種カンファレンスの開催頻度・カンファレンス参加職種数が多い施設で全般的満足度やGDIが有意に高かった.遺族ケアを実施している施設で全般的満足度,CESが有意に高かった.遺族への電話を実施している施設でBGQが有意に低く,葬儀や通夜への参列を実施している施設でPHQ-9が有意に低かった.【結論】質改善活動を積極的に実施している施設では,緩和ケアの質が高く遺族の悲嘆や抑うつを軽減する可能性がある.
著者
上田 忠子 上田 厚 青山 公治
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.951-959, 1992-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
28

農業従事者の農薬による健康障害の実態とその関与因子を明らかにするために, 南九州地区農業従事者, 男子178名, 女子232名を対象に面接調査を実施した。対象者は同時に多項目検診を受けた。その結果, 農薬による健康障害の経験を訴えた者は, 対象者の30.7%で, 性別には有意差はなかった。経営作目の組合わせ別にみると,「柑橘が主」が最も高率 (72.7%) で, ついで「米+柑橘」,「米+砂糖きび+甘藷」などであった。臨床症状は皮膚かぶれが最も多く (39.7%), 原因農薬としては, ダイホルタン (21.4%), ランネート (12.7%) があげられた。障害の発生は, 年間の農薬散布回数, 1日の散布時間, 農薬取扱い年数と有意な正の相関が認められた。農薬に関する意識調査によれば, 農薬の毒性等に関する知識はあるものの, 実際の安全な使用に関する対策は極めて不備な状態にあった。また, 農薬の効果に懐疑的な者や, 農薬の害に不安を感じている者に障害の発生が高率であった。今回の成績は, 農薬の安全使用に関しては更に効果的な教育が必要であり, 一方, 農薬に頼らない農業のあり方も考究すべきであることを示唆するものと思われた。
著者
青山晴男著
出版者
東洋書院
巻号頁・発行日
1980