著者
五嶋 研二 府川 和彦 須山 聡 鈴木 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.455, pp.31-36, 2009-02-23

本報告では,移動通信における中継システムとして,i)雑音が加わったアナログ信号を再送するAF(Amplify-and-Forward)と,ii)復号して再送するDF(Decode-and-Forward)を切替える方式を検討する.中継局において,CRC復号による判定誤りが検出された場合はAFを行い,誤りが検出されない場合にはDFを行う.さらに送信側とは異なる符号化を行いHARQ(Hybrid ARQ)と同様の高信頼化を図る.また,受信側で直接受信と中継局経由の受信信号の合成メトリックを求め,復号に必要なビット対数尤度比(LLR)を算出するために,まずプリアンブル信号を用いてチャネル推定とレプリカ誤差の平均電力推定を行い,合成メトリックの重み係数をレプリカ誤差の平均電力値から求める方法を提案する.マルチパスフェージング条件下でOFDM伝送の計算機シミュレーションを行い,i)切替方式はAFとDFよりも優れたパケット誤り率(PER)特性が得られ,ii)中継局での受信レベルが高く高符号化率の場合に異符号を用いる方式が効果があること,iii)準静的伝搬環境ではチャネル推定の精度による劣化が小さいことを明らかにする.
著者
張 立 須山 聡 鈴木 博 府川 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.518, pp.359-364, 2008-02-27

移動通信において周波数利用効率の向上が期待されるインターリーブ多元接続方式(IDMA)に対して,チャネル推定を含むターボ信号検出を適用し,その伝送特性を明らかにする.IDMAとしては,周波数帯域を有効に利用できるOFDMを用いたMC-IDMA,別名OFDM-IDMAを検討する.送信側の誤り訂正符号は,畳み込み符号と繰り返し符号を結合して低符号化率にしたものを用いる.受信側はターボ信号検出を行い,繰り返し処理におけるチャネル推定にはソフト判定指向形チャネル推定(SDCE)を適用する.初回は符号化されたビットの対数尤度比(LLR)が分からないので,パイロット・シンボルを用いてRLSアルゴリズムによりチャネル推定を行う.データ区間ではそのチャネル・インパルス応答の推定値を用いて単純な軟判定を行い,さらにMAP復号器で誤り訂正符号の復号を行う.繰り返し処理では,MAP復号器からのLLRを用いてレプリカを生成し,受信信号との平均2乗誤差が最小になるようにチャネル・インパルス応答をLMSアルゴリズムを用いて推定する.計算機シミュレーションにより,提案したチャネル推定法を備えるMC-IDMAが良好な特性を実現できることを示す.また,MC-CDMAとの比較を行い,時間拡散および周波数拡散のMC-CDMAよりもビット誤り率(BER)が優れているが,チップインターリーブを行う周波数拡散MC-CDMAとBER特性が同等となることを示す.
著者
鈴木 博 府川 和彦 須山 聡
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

将来のマルチメディア通信に向けて,高速・高信頼移動パケット無線の研究を理論と実験の両面から行った.MIMO-OFDM伝送システムを中心に検討した.送受信側で複数アンテナを用いるMIMO技術と,広い帯域幅を直交分割するOFDM技術により通信路容量の最大化を図る.統計的ディジタル信号処理の導入による高性能化,位相雑音等による劣化の低減化,広帯域ミリ波帯の開拓を行った.当初の研究目標はほぼ達成された.