著者
内田 青蔵 安野 彰 須崎 文代 渕上 貴由樹 清 直樹
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、今後の住まいの在り方を考える一助として、持家志向の定着の様相を、戦前期に持家志向を中流層全般にまで拡大化させたことで知られる日本電話建物株式会社の事業や広報媒体である雑誌『朗』を通して明らかにすることを目的とした。その結果、日本電話建物株式会社の採用した住宅無尽の方法は、借家の家賃並みの金額で持家を得る方法として定着し、一気に中流層以下の人々の持家の可能性を高めたこと、また、持家を得た人々の多くは借家への不満はあったものの持家に対する明快な理念はほとんど持ち合わせておらず、持家を所有することそのものに意味を見出していたこと、が明らかとなった。
著者
内田 青蔵 須崎 文代 安野 彰
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

1年目は、文献資料の収集ならびに、各分譲住宅地の悉皆調査を進め、遺構の有無を確認する。次に、遺構と確認できた住宅については実測調査を依頼し、平面図ならびに写真資料の作成を行う。また、各分譲住宅地に在住している方々に、同潤会分譲住宅に関する情報や資料の有無などに関するアンケート調査を行う。2年目も、1年目の活動を継続する。また、入手した平面形式の整理・分類を行う。3年目は、平面形式の分析結果を整理し、その研究成果ならびに資料を報告書としてまとめる予定である。
著者
須崎 文代 内田 青蔵 安野 彰
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.22, no.51, pp.795-800, 2016 (Released:2016-06-20)
被引用文献数
1 1

This paper reports the construction process and the architectural features of Old Adachi Villa in Hayama (Kanagawa) 1933, designed by Koichi SATO (1878-1941). This house constructed by the dry construction method called as TROCKEN BAU, and its appearance is half-timber design. Especially, the fiberboard ‘Toma-tex’ produced by Oji Paper Co., Ltd. (Tomakomai) was used at any part of this house adopting various patterns of combination, even as roof base or exterior material. These features were caused by the relationships between the owner Tadashi ADACHI who was the president of Oji Paper and the architect SATO who was a professor of Waseda University.
著者
安野 彰 大井 隆弘 須崎 文代 田中 和幸 水野 僚子
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.137-148, 2017

本研究は,近代住宅における水まわり空間の変容過程を明らかにするため,住宅改良が活発に展開された大正から昭和期にかけて活躍し,平面形式等に都市住宅の典型的傾向を示す建築家・吉田五十八の住宅作品を分析した。具体的には,水まわりの設備が描かれた平面図,展開図,詳細図等を用いて,台所・浴室・便所・女中室について,住宅全体の動線計画における位置づけや室内空間の変遷を検討した。その結果,1940 年頃と1950 年から55 年頃に変化が集中していることが確認された。そこでは,住宅における表と裏の性格と水まわり空間の関係性が段階的に変化していく様子や,新しい材料や技術の導入がそうした変化に与えた影響が捉えられた。