著者
村田 忠禧 須川 英徳 白水 紀子 村崎 恭子 任都栗 新
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

1)日本語、中国語、韓国語における情報交換を行なううえで、人名・地名等固有名詞に使用される漢字は翻訳不能なため、その互換性確保が大きな課題となる。本研究ではそのためにどのような漢字がそれぞれの言語の情報交換用漢字符号集で不足しているのかを具体的に明らかにすることができた。2)日本語と中国語における漢字の使用状況を政治演説、国語教科書、新聞、人名地名などの分野でかなり大量な素材を用いて分析した結果、それぞれの漢字符号集に含まれる漢字のうち、日本語では4,710字、中国語においては6,593字が使用されていた。日本語の場合にはJIS漢字符号集の約4分の3にすぎない。中国語の場合にはGB漢字符号集の漢字総数とほぼ等しい。JIS漢字符号集には現実の現代日本語で使用されることのない漢字がかなり多く、再考を要する漢字符号集であることが明らかになった。3)それぞれの言語の漢字情報を99.9%をカバーするのに、日本語の場合には約2,800字、中国語の場合には約4,300字が必要であるが、日本語も中国語もいずれをも99.9%カバーできるようにするためには4,700字以下の漢字集合でよいことが判明した。これは東アジアで漢字情報を共有化するうえの貴重なデータといえる。4)日本と中国での中学校の国語教科書における漢字使用状況を分析した結果、学校教育や外国語として日本語や中国語を学ぶ人への漢字教育を行なううえの役立つデータが集まった。5)漢字をそれぞれの言語特有のものと考えるのではなく、東アジア共通の文字体系として考えることが大切であり、日本語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国・朝鮮語の共同実態調査が必要であることが明確になった。
著者
渡辺 浩一 岡崎 敦 高橋 実 大友 一雄 臼井 佐知子 蔵持 重裕 林 佳世子 三浦 徹 丑木 幸男 須川 英徳
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

平成16年度は、11月に二日間にわたり、韓国国史編纂委員会の協力を得て、同委員会にて「近世東アジアにおける組織と文書」という国際研究会を開催した。日本側報告4本・韓国側報告4本・中国の報告1本を中央政府・地方行政組織・村落と家・商人の4つのセッションに編成した。参加者は約30名。平成17年度は、8月に二日間にわたり、復旦大学歴史地理研究所の協力を得て、上海において「東アジアにおける文書資料と家族・商業および社会」という国際研究会を開催した。日本側報告4本・中国側報告5本が行われたほか、韓国・トルコからのコメントも寄せられた。参加者は約30名。平成18年度は、9月に一日間で、アンカラ大学歴史地理言語学部の協力を得て、同大学において「オスマン朝と中近世日本における国家文書と社会動態」という国際研究会を開催した。日本側報告2本・トルコ側報告3本のほか、中国・韓国からのコメントも寄せられた。参加者は38名。平成19年度は、まず6月に、フランス国立古文書学校の協力のもとフランス国立文書館(パリ)において「アーカイヴズ、社会、権力(中世・近世の西欧と東アジア)文書管理働くさまざまな力」という国際研究会を行った。日本側報告4本・欧州側報告3本のほか世界各地からの多彩な比較コメント20本を、国家・都市・商人の3つのセッションと総合討論に配した。参加者は約40名。ついで、12月には本研究の総括として、立教大学において「近世アーカイブズの多国間比較」という国際シンポジウムを二日間にわたり開催した。日本側報告2本のほか、トルコ・西欧・中国・韓国から報告者を招聘し、「統治と社会」「実践」の二つのセッションに編成した。参加者は約100名。各研究会・シンポジウムの前後には国際共同史料調査を実施した。