著者
渡辺 浩一
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.94, pp.117-150, 2019-09-30

本稿は、近世後期の江戸における火事見舞と民間施行の関係について論じる。火事見舞については金融商播磨屋中井家と作家滝沢馬琴の例によって分析した。その結論は以下の通りである。火事見舞とは、類焼範囲が異なる火災が繰り返されることによって物品提供者は同時に物品受取者にもなることができる、すなわち物品受取者と提供者の互換性=互恵性があると言える。さらに、物品提供と労働力提供の二つの局面があり、提供された物品が労働力提供者に供給されるという構造になっていた。これは、社会関係資本の多い被災者を媒介として、面識がない物品提供者と労働力提供者が結びついていることを意味する。しかも両者の関係は、酒食と労働力の交換関係であることを押さえておきたい。また、これは水害時に行われた民間人による施行と類似する部分があることが明らかになった。
著者
木幡 義彰 宮原 健夫 清水 直樹 渡辺 浩一 内山 和郎 井川 守仁 篠原 靖 白鳥 泰正 窪田 良彦 竹下 俊隆 宮岡 正明 斉藤 利彦 古畑 総一郎 木下 剛 福武 勝秀
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.211-214, 1993-12-01 (Released:2015-07-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例1は51歳男性。腹痛を主訴に入院した。腹部X線検査にて横行結腸と思われる部位に針様陰影を認め,停滞したため大腸内視鏡検査を施行し,生検鉗子を用いて横行結腸より縫い針を摘出した。症例2は61歳女性。義歯誤飲にて受診した。腹部X線検査にて上行結腸に異物を認め,大腸内視鏡検査を施行し,生検鉗子およびポリペクトミー用スネアを用いて義歯を摘出した。症例3は59歳男性。自慰行為にて肛門から挿入したバイブレーターが抜去困難となり受診した。大腸内視鏡検査を施行し,スネアを用いて摘出した。3例とも摘出による合併症の出現はなかった。異物は時に消化管穿孔や出血などをひき起こし,外科的処置が必要となる場合がある。内視鏡的異物摘出は上部消化管においては普及しているが,下部消化管ではまれである。大腸異物の内視鏡的摘出は安全かつ有用な手技であると考えられた。
著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 = The bulletin of the National Institute of Japanese Literature. 人間文化研究機構国文学研究資料館 編 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.13, pp.39-50, 2017-03

本稿は、都市の社会集団が文書実践を行う社会的な背景を分析するものである。ここでは、江戸の広場の一つである江戸橋広小路(日本橋のすぐ東側)で営業していた、仮設店舗営業権所有者の集団(床持仲間、とこもちなかま)が、広小路に建っている高札を火災の際に退避させることを行うようになった背景を明らかにする。その結果、仮設店舗(床店、とこみせ)の営業権所有と実際の営業が分離するという関係変化を背景に、床店商人仲間は床店営業権所有者仲間へ性格を変えたことが判明した。それにより、仲間構成員の階層は上昇し、それによって仲間は整然とした組織運営が可能となった。これを条件として、広場管理責任者である地縁団体(青物町と本材木町壱丁目弐丁目)に従属していた段階から、自立化の傾向を示すようになった。このような床持仲間の力量の向上によって、明地高札保全業務の一部を担うことになったのではないだろうか。それは、仲間組織が公的な認知を得るための示威行動でもあった。This paper attempts to analyze those social circumstances that facilitated document parctice by certain groups working within the city. The particular group under consideration here, known as the Tokomochi Guild, held the license to run a temporary shop located in the public square Hirokōji, Edobashi (to the immediate east of Nihonbashi bridge). The Tokomochi Guild were charged, in the event of a fire, with the responsibility of removing from public squares those signs erected by the Bakufu. This paper seeks to make clear the reason why the Tokomochi Guild were given this sort of responsibility. Consequently, The Tokomochi Guild soon became a body of men in charge, not of the actual management of the shop, but of maintaining the license rights of their shop. This led to an elevation in the economic standing of the group's members, and facilitated a more organized approach towards business operations. As a result, the guild, which were once subordinate to the local association (based in Aomono-chō, and sections 1 and 2 of Motozaimoku-chō) in charge of managing the public square, now gained relatively of independence. It was in virtue of this new independence, no doubt, that the Tokomochi Partners came to play a role in preserving the kōsatsu (noticeboard)—an ideal way of attaining public recognition.
著者
渡辺 浩一 來山 政明 太田 一 松村 敏博 徳永 将人 新 直也 川岡 耕平 松村 さとみ 吉田 弘司 谷川 宮次
出版者
比治山大学
雑誌
比治山大学紀要
巻号頁・発行日
no.24, pp.173-179, 2018

The Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology has urged each universityto promote efforts of cooperative work between academic staff and non-academic staff. The IR(Institutional Research) committee of our university is an organization with the cooperative work,and each member carries out activities and cooperative work making full use of their expertise. At the end of FY2016, we conducted mutual evaluation on IR with a university in the Tohoku region and made evaluations including staff expertise. In addition, as for the activity in FY2017, each staff is carrying out analyses and other activities making full use of the expertise of their department, as well as the previous year, and we are promoting further approach including the policy proposals.
著者
ドーリン アレキサンダー 小林 健二 合山 林太郎 渡辺 浩一 田中 大士 伊藤 鉄也 野網 摩利子 山本 和明
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.43, pp.1-16, 2016-05-06

●メッセージ日本語の書物の価値●研究ノート国文学研究資料館蔵『狂言絵』を読む「高橋智先生の中国目録学講座」受業記日英比較出版事情――人間文化研究機構連携研究の成果から――●トピックス文部科学省での特別授業国際連携研究「日本文学のフォルム」の成果を『もう一つの日本文学史』として刊行平成28年度アーカイブズ・カレッジ(史料管理学研修会通算第62回)の開催平成27年度日本古典籍講習会通常展示「和書のさまざま」ギャラリートーク平成27年度連続講座「くずし字で読む『百人一首』」市民参加イベント「古典」オーロラハンターを開催総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況
著者
加藤 渉 渡辺 浩一郎 三瓶 健
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.87-92, 1981-04-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9

本研究は, 海上浮遊建物の揺れ環境に注目し, 1Hz以下の低周波数振動に対する人体の振動感覚での一般的傾向を把握するために, 主観的等感曲線を作成することを目的とした. すなわち, 海上浮遊建築物の動揺条件を包含した実験用シミュレータの試作, 及び心理的尺度構成法としてのスチーブンスのマグニチュード推定法とを用いて, 0.03Hzから0.2Hzまでの低周波数上下正弦波振動に対する立位での主観的等感曲線を作成し, その結果, 低周波数振動領域にても, 刺激と反応の関係を示す, スチーブンスのベキ関数法則は成立すること, また, この周波数範囲では, 人体の振動感覚は速度及び加速度で規制されることが判明した.
著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.9, pp.83-106, 2013-03

本稿は、災害史研究の基礎としての史料学的研究である。「出水一件」(旧幕府引継書)という江戸の水害記録シリーズの一部を対象とした。ここでは、水害対処という行政課題に対して、どのような文書がどのような経緯で作成・利用されたか、という問題に限定した。検討の結果、先例の蓄積およびマニュアルの策定という文書上の水害対処が行われていたことが判明した。本稿の検討の限りでは、その過程は先例集の質的向上というよりも、マニュアル策定の方向に向かったという特徴を指摘できそうである。それは、この記録が日常的行政ではなく災害対処を内容とするため、緊急性を要したからではないだろうか。マニュアルが策定されれば、蓄積され続ける先例はそのバックデータという位置づけになるのであろう。This study offers a basic research for the history of disasters from the perspective of study on historical sources. It mainly analyses documents called demizu ikken, a set of records on disasters brought by floods in early modern Japanese metropolis, Edo. It limits its scope to the enquiry of what kind of documents were created and how they were used in relation to the administrative problem of devising measures against floods. Analysis is of these documents highlights a shift in focus from accumulating the records of precedents to compiling a reference manual for flood disasters. Such a shift occurred probably because this particular set of records concerned not so much ordinary administrative routines as emergency measures against disasters which required swift responses. In this framework, the records of precedents that continued to be accumulated can be understood as back data to the reference manual.
著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.9, pp.83-106, 2013-03

本稿は、災害史研究の基礎としての史料学的研究である。「出水一件」(旧幕府引継書)という江戸の水害記録シリーズの一部を対象とした。ここでは、水害対処という行政課題に対して、どのような文書がどのような経緯で作成・利用されたか、という問題に限定した。検討の結果、先例の蓄積およびマニュアルの策定という文書上の水害対処が行われていたことが判明した。本稿の検討の限りでは、その過程は先例集の質的向上というよりも、マニュアル策定の方向に向かったという特徴を指摘できそうである。それは、この記録が日常的行政ではなく災害対処を内容とするため、緊急性を要したからではないだろうか。マニュアルが策定されれば、蓄積され続ける先例はそのバックデータという位置づけになるのであろう。This study offers a basic research for the history of disasters from the perspective of study on historical sources. It mainly analyses documents called demizu ikken, a set of records on disasters brought by floods in early modern Japanese metropolis, Edo. It limits its scope to the enquiry of what kind of documents were created and how they were used in relation to the administrative problem of devising measures against floods. Analysis is of these documents highlights a shift in focus from accumulating the records of precedents to compiling a reference manual for flood disasters. Such a shift occurred probably because this particular set of records concerned not so much ordinary administrative routines as emergency measures against disasters which required swift responses. In this framework, the records of precedents that continued to be accumulated can be understood as back data to the reference manual.
著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-22, 2009-02

本稿は、日本近世の文書管理史や由緒論と言われている研究潮流も含めて、過去情報に関わる様々な現象を、「記憶」をキーワードに、より広範な文脈のなかに位置づけるための基礎的な事例研究の一つである。対象は近江八幡町である。近江八幡町は、江戸時代を通じて、戦国末期から近世初期にかけて授与された織田信長や徳川家康の朱印状を、他の文書と区別される特別な保管体制に置いていた。そして、これらを「諸役免除」という「特権」の根拠としていた。しかし、信長朱印状は先行都市安土に授与されたものであり、家康朱印状には諸役免除が記されていなかった。このため、八幡町はその時期に応じて様々な内容の短い由緒書を叙述した、つまり様々な過去を創造することになった。また、創造された過去をより強化するために、1721年に「八幡町記録帳」という文書集を編集した。この文書集は、項目を立てて分類編集されており、その時期の在地社会の過去情報蓄積形態としては洗練された形式を備えていた。このため、過去の描写内容は微妙に揺れ動くものの、その後幕末に至るまで、文書集という形式が踏襲された。また、ここでの編集の対象は原文書だけではなく短い叙述(由緒書)も含まれていた。以上のように、本稿では、過去情報蓄積形態の三つの局面、原文書保管、筆写分類編集、叙述、のうち、編集と叙述の関係について主として分析した。This essay is a fundamental case study on various phenomena about information of the past. The aim is to position there cord keeping history as broader context from the view point of memory. This case is Omi-hachiman that is a local commercial town in early modern Japan. This towns men had kept a kind of royal charters in the special system distinguished other records. They were seemed to the evidence for their privilege of demission of labor. But their charters were not direct evidence. And so their towns men invented various memories to meet the needs of various cases. Moreover for the purpose of enforcing memory, they compiled the collection book of original documents in l721. This book has subject classification. I estimate this style as excellent in the first half of 18th century local era. And so they did not write along historical narrative, and followed the style of compilation until the end of early modern (1868). They compiled not only original documents but also short narratives. As above, I examined the relationship between compilation and narrative among three aspect of the form for accumulation of past information; record keeping, compilation, and narrative.
著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-22, 2009-02

本稿は、日本近世の文書管理史や由緒論と言われている研究潮流も含めて、過去情報に関わる様々な現象を、「記憶」をキーワードに、より広範な文脈のなかに位置づけるための基礎的な事例研究の一つである。対象は近江八幡町である。近江八幡町は、江戸時代を通じて、戦国末期から近世初期にかけて授与された織田信長や徳川家康の朱印状を、他の文書と区別される特別な保管体制に置いていた。そして、これらを「諸役免除」という「特権」の根拠としていた。しかし、信長朱印状は先行都市安土に授与されたものであり、家康朱印状には諸役免除が記されていなかった。このため、八幡町はその時期に応じて様々な内容の短い由緒書を叙述した、つまり様々な過去を創造することになった。また、創造された過去をより強化するために、1721年に「八幡町記録帳」という文書集を編集した。この文書集は、項目を立てて分類編集されており、その時期の在地社会の過去情報蓄積形態としては洗練された形式を備えていた。このため、過去の描写内容は微妙に揺れ動くものの、その後幕末に至るまで、文書集という形式が踏襲された。また、ここでの編集の対象は原文書だけではなく短い叙述(由緒書)も含まれていた。以上のように、本稿では、過去情報蓄積形態の三つの局面、原文書保管、筆写分類編集、叙述、のうち、編集と叙述の関係について主として分析した。This essay is a fundamental case study on various phenomena about information of the past. The aim is to position there cord keeping history as broader context from the view point of memory. This case is Omi-hachiman that is a local commercial town in early modern Japan. This towns men had kept a kind of royal charters in the special system distinguished other records. They were seemed to the evidence for their privilege of demission of labor. But their charters were not direct evidence. And so their towns men invented various memories to meet the needs of various cases. Moreover for the purpose of enforcing memory, they compiled the collection book of original documents in l721. This book has subject classification. I estimate this style as excellent in the first half of 18th century local era. And so they did not write along historical narrative, and followed the style of compilation until the end of early modern (1868). They compiled not only original documents but also short narratives. As above, I examined the relationship between compilation and narrative among three aspect of the form for accumulation of past information; record keeping, compilation, and narrative.
著者
渡辺 浩一 岡崎 敦 高橋 実 大友 一雄 臼井 佐知子 蔵持 重裕 林 佳世子 三浦 徹 丑木 幸男 須川 英徳
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

平成16年度は、11月に二日間にわたり、韓国国史編纂委員会の協力を得て、同委員会にて「近世東アジアにおける組織と文書」という国際研究会を開催した。日本側報告4本・韓国側報告4本・中国の報告1本を中央政府・地方行政組織・村落と家・商人の4つのセッションに編成した。参加者は約30名。平成17年度は、8月に二日間にわたり、復旦大学歴史地理研究所の協力を得て、上海において「東アジアにおける文書資料と家族・商業および社会」という国際研究会を開催した。日本側報告4本・中国側報告5本が行われたほか、韓国・トルコからのコメントも寄せられた。参加者は約30名。平成18年度は、9月に一日間で、アンカラ大学歴史地理言語学部の協力を得て、同大学において「オスマン朝と中近世日本における国家文書と社会動態」という国際研究会を開催した。日本側報告2本・トルコ側報告3本のほか、中国・韓国からのコメントも寄せられた。参加者は38名。平成19年度は、まず6月に、フランス国立古文書学校の協力のもとフランス国立文書館(パリ)において「アーカイヴズ、社会、権力(中世・近世の西欧と東アジア)文書管理働くさまざまな力」という国際研究会を行った。日本側報告4本・欧州側報告3本のほか世界各地からの多彩な比較コメント20本を、国家・都市・商人の3つのセッションと総合討論に配した。参加者は約40名。ついで、12月には本研究の総括として、立教大学において「近世アーカイブズの多国間比較」という国際シンポジウムを二日間にわたり開催した。日本側報告2本のほか、トルコ・西欧・中国・韓国から報告者を招聘し、「統治と社会」「実践」の二つのセッションに編成した。参加者は約100名。各研究会・シンポジウムの前後には国際共同史料調査を実施した。
著者
高橋 実 大友 一雄 渡辺 浩一 山田 哲好 青木 睦 吉村 豊雄 江藤 彰彦 大石 学 福田 千鶴 松澤 克行 東 昇
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、当初の計画調書に明示しているように、幕府・諸藩など領主組織が各部署において作成・授受し、管理・保存し、活用してきた文書記録やアーカイブズをアーカイブズ学に立脚した視点から、通算15回の研究会を開催し、44本の報告と議論を行った。具体的には、江戸幕府、旗本、弘前藩、秋田藩、米沢藩、高田藩、松代藩、尾張藩、京都町奉行、岡山藩、鳥取藩、萩藩、土佐藩、福岡藩、長崎奉行、熊本藩、対馬藩、鹿児島藩について、最新の研究成果を得ることができた。