著者
山田 貴子 新谷 知也 飯田 哲郎 岸本 由香 大隈 一裕
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.271-278, 2017 (Released:2017-12-26)
参考文献数
39
被引用文献数
1 8

ブドウ糖果糖液糖のアルカリ異性化である希少糖含有シロップ摂取による血糖応答に及ぼす影響をヒト試験で評価した。グリセミック・インデックス (GI) 試験を行った結果, 希少糖含有シロップのGI値は49であった。次に, 空腹時血糖値126 mg/dL未満の成人50名を対象にランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバーによる低用量単回試験を行った。ショ糖6 gまたは希少糖含有シロップ8.8 g (同量のブドウ糖含有量) をコーヒーに溶解し摂取させ, 120分までの血糖値およびインスリン値を観察した。希少糖含有シロップはショ糖に比べて血糖AUC (曲線下面積) およびインスリンAUCが有意に低下し, 低下率は血糖1.8% (p<0.01) , インスリン6.1% (p<0.05) であった。以上の結果, 希少糖含有シロップはショ糖に比べ血糖応答およびインスリン値の上昇が低い低GI甘味料であることが示された。低用量単回試験は倫理委員会の承認後, 臨床試験登録システムUMIN-CTRに登録し実施した (UMIN000018120) 。
著者
高峰 啓 飯田 哲郎 大隈 一裕 何森 健
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.37-42, 2016

アルロース(プシコース)は,脂肪蓄積抑制作用を持つことが報告されており,現代社会において問題視される肥満を予防・改善する甘味料として期待されている.本技術開発は,Lobry de Bruyn-Alberda van Ekensteinの転位反応として知られるアルカリ異性化反応を利用したアルロース等の希少糖を含むシロップの製造方法を確立した.この方法によって得られた希少糖含有シロップの糖組成を定量分析によって明らかにし,生理活性試験を行った.ラットでの8週間摂取試験では,内臓脂肪蓄積抑制が確認された.さらに,軽度肥満(BMI25以上30未満)を含む健常成人34名を対象にした12週間長期摂取試験を行った結果,ヒトにおける体脂肪低減効果が明らかとなった.現在,α-グルコシダーゼ阻害作用や食後血糖上昇抑制作用に関して,鋭意研究を進めている.本製品は,砂糖や異性化糖等と同様に甘味料として使用することが可能であり,2012年の販売開始から現在までに800以上の食品に採用されている.
著者
山田 貴子 飯田 哲郎 林 範子 大賀 浩史 大隈 一裕 何森 健
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.263-267, 2010-06 (Released:2011-03-28)

D-プシコースの体脂肪蓄積抑制効果に関して、ラットを用いて検討した。4週齢Wistar系雄性ラットに異性化糖食または異性化糖食にD-プシコースを1.3%、2.6%、3.9%、5.2%添加した飼料を5週間自由摂取させた。体重、摂餌量、脂肪重量および各種血液生化学的指標に及ぼす影響を検討した結果、D-プシコースを5.2%摂取した群は、異性化糖食と比較して、体重において有意な低値を示した。腎周囲脂肪および脂肪組織重量に関しては、用量依存的な低下が認められた。これらのことから、D-プシコースは異性化糖に対しても体脂肪蓄積抑制効果を示すと考えられた。