著者
里内 美津子 若林 茂 大隈 一裕 藤原 啓子 松岡 瑛
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.31-37, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18
被引用文献数
18 26 25

難消化性デキストリン (PF) の便通に及ぼす影響について検討する目的で, PF摂取後の糞便重量, 糞便水分量, 排便状態, 便性状, 胃腸症状等について調べた。1) PF10~60g摂取後の便性状は大半がバナナ状~半練状であり, 下痢発症のED50値は2.4g/kg体重と推定された。また, 臨床上問題となるような胃腸症状は認められなかった。2) PF35g/日, 5日の連続摂取で, 糞便重量, 排便回数の増加が認められたが, 糞便水分含有率は変化がみられなかった。3) PF5~10g/日, 5日の連続摂取で, 排便状態の改善が認められた。
著者
大隈 一裕 松田 功 勝田 康夫 岸本 由香 辻 啓介
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.65-69, 2006 (Released:2006-04-19)
参考文献数
27
被引用文献数
4 9

In 1988 we recognized glycosylated components in pyrodextrin and started a study to obtain an amylase-resistant ingredient. We succeeded in establishing a series of processes for industrial-scale separation of the indigestible component with superior appearance and taste by roasting starch (pyrolysis), enzymatic hydrolysis, purification, chromatographic fractionation and spray drying. The component was named indigestible dextrin (ID). In order to utilize ID as a source of dietary fiber, a low-calorie ingredient, and a physiologically active ingredient, we first confirmed that ID is a highly safe ingredient by conducting an acute toxicity study, a mutagenicity study, long-term administration studies in both rats and humans, and a study of diarrhea caused by long-term consumption. A novel determination method using the enzyme-gravimetric method in combination with high performance liquid chromatography (enzyme-HPLC method) was proposed to the Association of Official Analytical Chemists (AOAC) and approved as Final Action Method AOAC 2001. 03 in January 2005. Animal and human studies showed the energy value of 1 kcal/g dietary fiber fraction. Based on these results, ID has been approved in many countries. Moreover, it has been confirmed by both animal and clinical studies that ID has physiological functions such as intestinal regularity, moderating postprandial blood glucose level, lowering serum lipid, and reducing body fat. As for the physicochemical properties of ID, it is similar to DE10 maltodextrin in sweetness and browning property. The properties of not being fermented easily by yeast or lactobacillus impart an interesting characteristic to beer and lactic acid drinks. At present ID is commercially available for use in a wide range of food products not only in Japan but also in many countries around the world.
著者
大隈 一裕 松田 功 勝田 康夫 岸本 由香 辻 啓介
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of applied glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.65-69, 2006-01-20
参考文献数
27
被引用文献数
9

In 1988 we recognized glycosylated components in pyrodextrin and started a study to obtain an amylase-resistant ingredient. We succeeded in establishing a series of processes for industrial-scale separation of the indigestible component with superior appearance and taste by roasting starch (pyrolysis), enzymatic hydrolysis, purification, chromatographic fractionation and spray drying. The component was named indigestible dextrin (ID). In order to utilize ID as a source of dietary fiber, a low-calorie ingredient, and a physiologically active ingredient, we first confirmed that ID is a highly safe ingredient by conducting an acute toxicity study, a mutagenicity study, long-term administration studies in both rats and humans, and a study of diarrhea caused by long-term consumption. A novel determination method using the enzyme-gravimetric method in combination with high performance liquid chromatography (enzyme-HPLC method) was proposed to the Association of Official Analytical Chemists (AOAC) and approved as Final Action Method AOAC 2001. 03 in January 2005. Animal and human studies showed the energy value of 1 kcal/g dietary fiber fraction. Based on these results, ID has been approved in many countries. Moreover, it has been confirmed by both animal and clinical studies that ID has physiological functions such as intestinal regularity, moderating postprandial blood glucose level, lowering serum lipid, and reducing body fat. As for the physicochemical properties of ID, it is similar to DE10 maltodextrin in sweetness and browning property. The properties of not being fermented easily by yeast or lactobacillus impart an interesting characteristic to beer and lactic acid drinks. At present ID is commercially available for use in a wide range of food products not only in Japan but also in many countries around the world.
著者
若林 茂 里内 美津子 植田 由香 大隈 一裕
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.557-562_1, 1992-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
10 15

馬鈴薯デンプンを加熱, 酵素処理して調製した水溶性食物繊維 (一般名: 難消化性デキストリン, 商品名: パインファイバーC, 以下PF-C) について機能性食品素材として開発を進めるに当たり急性毒性及び変異原性試験を実施した. さらにラットを用いて便通に及ぼす影響を検討した. (1) マウスを用いた急性毒性試験においてPF-C摂取による死亡例は最大投与可能量の20g/kgにおいても見られなかった. (2) 細菌を用いた変異原性試験において, PF-Cは代謝活性化の有無に関わらず復帰変異コロニー数を増加させなかった. (3) ラットを用いた単回投与試験においてPF-Cのふん便への排泄率は約36%であった. (4) PF-C連続投与により盲腸重量は増加し, さらに盲腸内容物のpHの低下が観察された. また, PF-Cは14.29g/kg wt. (1g/70g wt.) において下痢を誘起しなかった. (5) PF-Cの連続投与により食餌の消化管通過時間は非投与群に比して有意に短縮された.
著者
山田 貴子 新谷 知也 飯田 哲郎 岸本 由香 大隈 一裕
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.271-278, 2017 (Released:2017-12-26)
参考文献数
39
被引用文献数
1 8

ブドウ糖果糖液糖のアルカリ異性化である希少糖含有シロップ摂取による血糖応答に及ぼす影響をヒト試験で評価した。グリセミック・インデックス (GI) 試験を行った結果, 希少糖含有シロップのGI値は49であった。次に, 空腹時血糖値126 mg/dL未満の成人50名を対象にランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバーによる低用量単回試験を行った。ショ糖6 gまたは希少糖含有シロップ8.8 g (同量のブドウ糖含有量) をコーヒーに溶解し摂取させ, 120分までの血糖値およびインスリン値を観察した。希少糖含有シロップはショ糖に比べて血糖AUC (曲線下面積) およびインスリンAUCが有意に低下し, 低下率は血糖1.8% (p<0.01) , インスリン6.1% (p<0.05) であった。以上の結果, 希少糖含有シロップはショ糖に比べ血糖応答およびインスリン値の上昇が低い低GI甘味料であることが示された。低用量単回試験は倫理委員会の承認後, 臨床試験登録システムUMIN-CTRに登録し実施した (UMIN000018120) 。
著者
若林 茂 里内 美津子 野上 義喜 大隈 一裕 松岡 瑛
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.471-478, 1991-12-19 (Released:2010-02-22)
参考文献数
29
被引用文献数
8 17

馬鈴薯デンプンを加熱分解して調製した難消化性デキストリン (PF: 食物繊維含有量58.2%, およびPF-C: 91.6%) の脂質代謝に及ぼす影響をラットを用いて検討し, 以下の成績を得た。(1) コレステロール無添加飼料で5週間飼育したラットの血清コレステロール (119±7.6mg/dl) およびトリグリセライド値 (218±39.0mg/dl) は, PF-C 10%摂取により, それぞれ有意な低下 (94.2±6.0および145土20.0mg/dl) を示した。(2) 市販固形飼料を給餌したラットに飲料水としてPF (20%水溶液) およびPF-C (5~20%水溶液) を5週間与えたとき, 血清および肝臓コレステロール値は有意に低下し, その程度は摂取したPFおよびPF-C水溶液の食物繊維含有量に依存していた。(3) そのときの糞便中への総胆汁酸排泄量は, PFおよびPF-C摂取群で有意な増加を示し, 同様に, (4) 盲腸内容物中の総短鎖脂肪酸量, とくにプロピオン酸量は有意に高値であった。また, (5) 体重, 血清総タンパク質, カルシウム, GOTおよびGPT活性は, PFおよびPF-C摂取によってなんら影響を受けなかった。さらに, (6) 飲料水交換法により, PF-C摂取の有無によって血清および肝臓コレステロール値は容易に変化することが確認された。
著者
大隈 一裕
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.34-38, 2011
参考文献数
27
被引用文献数
3

本稿では,澱粉糖である,ぶどう糖や異性化糖,水あめ,マルトデキストリン,更に,加工澱粉の製造方法について述べるとともに,我が国における,それらの利用の現状について述べる。また, 澱粉は,ヒトにとって重要なエネルギ-源であるが,近年,特に,糖類をはじめとした栄養素の過剰摂取がもたらす把満がメタボリツクシンドロームの引き金となることが明らかにされ,国をあげて,その対策が採られている。そんな中,抗肥満素材も,また,澱粉から生産されようとしている。今,注目される澱粉由来の低カロリー素材や抗肥満機能を有する素材についても解説する。
著者
高峰 啓 飯田 哲郎 大隈 一裕 何森 健
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.37-42, 2016

アルロース(プシコース)は,脂肪蓄積抑制作用を持つことが報告されており,現代社会において問題視される肥満を予防・改善する甘味料として期待されている.本技術開発は,Lobry de Bruyn-Alberda van Ekensteinの転位反応として知られるアルカリ異性化反応を利用したアルロース等の希少糖を含むシロップの製造方法を確立した.この方法によって得られた希少糖含有シロップの糖組成を定量分析によって明らかにし,生理活性試験を行った.ラットでの8週間摂取試験では,内臓脂肪蓄積抑制が確認された.さらに,軽度肥満(BMI25以上30未満)を含む健常成人34名を対象にした12週間長期摂取試験を行った結果,ヒトにおける体脂肪低減効果が明らかとなった.現在,α-グルコシダーゼ阻害作用や食後血糖上昇抑制作用に関して,鋭意研究を進めている.本製品は,砂糖や異性化糖等と同様に甘味料として使用することが可能であり,2012年の販売開始から現在までに800以上の食品に採用されている.
著者
大隈 一裕
出版者
神戸大学
巻号頁・発行日
2003

博士論文
著者
山田 貴子 飯田 哲郎 林 範子 大賀 浩史 大隈 一裕 何森 健
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.263-267, 2010-06 (Released:2011-03-28)

D-プシコースの体脂肪蓄積抑制効果に関して、ラットを用いて検討した。4週齢Wistar系雄性ラットに異性化糖食または異性化糖食にD-プシコースを1.3%、2.6%、3.9%、5.2%添加した飼料を5週間自由摂取させた。体重、摂餌量、脂肪重量および各種血液生化学的指標に及ぼす影響を検討した結果、D-プシコースを5.2%摂取した群は、異性化糖食と比較して、体重において有意な低値を示した。腎周囲脂肪および脂肪組織重量に関しては、用量依存的な低下が認められた。これらのことから、D-プシコースは異性化糖に対しても体脂肪蓄積抑制効果を示すと考えられた。