著者
山田 貴子 新谷 知也 飯田 哲郎 岸本 由香 大隈 一裕
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.271-278, 2017 (Released:2017-12-26)
参考文献数
39
被引用文献数
1 7

ブドウ糖果糖液糖のアルカリ異性化である希少糖含有シロップ摂取による血糖応答に及ぼす影響をヒト試験で評価した。グリセミック・インデックス (GI) 試験を行った結果, 希少糖含有シロップのGI値は49であった。次に, 空腹時血糖値126 mg/dL未満の成人50名を対象にランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバーによる低用量単回試験を行った。ショ糖6 gまたは希少糖含有シロップ8.8 g (同量のブドウ糖含有量) をコーヒーに溶解し摂取させ, 120分までの血糖値およびインスリン値を観察した。希少糖含有シロップはショ糖に比べて血糖AUC (曲線下面積) およびインスリンAUCが有意に低下し, 低下率は血糖1.8% (p<0.01) , インスリン6.1% (p<0.05) であった。以上の結果, 希少糖含有シロップはショ糖に比べ血糖応答およびインスリン値の上昇が低い低GI甘味料であることが示された。低用量単回試験は倫理委員会の承認後, 臨床試験登録システムUMIN-CTRに登録し実施した (UMIN000018120) 。
著者
山田 貴子 Takako Yamada
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.47, pp.129-142, 2019-02-28

高等教育のアウトカム重視傾向の高まりから、汎用的能力獲得における正課外の学習活動が果たす役割に注目が集まっている。そこで本研究では、ラーニングコモンズの活動に焦点をあて、学生スタッフの社会人基礎力1)への影響を検討することを目的とした。研究1では、学生スタッフの社会人基礎力に与える影響のうち、課外活動経験に注目し、学生スタッフ46名の社会人基礎力得点と、①アルバイト、②サークル活動(部活動を含む)、③教職課程履修、④SA経験、⑤一人暮らし経験の5つの課外活動経験の有無との関連を検討した結果、すべての項目に関して有意差は認められなかった。研究2では、学生スタッフ44名を対象にラーニングコモンズでの活動に関するアンケート調査を事前・事後の2回に分けて実施した。その結果、向上させたい力として【発信力】【働きかけ力】【主体性】を重要視する学生が多く、対人関係における社会的成長および人格的成長への志向性が確認できた。以上のことから、ラーニングコモンズにおける正課外活動実践は、社会人基礎力の発揮・向上の場となり得ることが示唆された。
著者
山田 貴子 藤内 美保
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.5_41-5_51, 2015-12-20 (Released:2016-06-10)
参考文献数
33

目的:早期退職した病院勤務の新卒看護師の入職から退職後までの心理的プロセスを明らかにすることである。方法:新卒看護師として就職した病院を入職後1年以内に退職した者10名に半構成的面接を実施し,分析方法はM-GTAを用いた。結果:35概念と12カテゴリーが抽出された。早期退職した新卒看護師は看護師としてできない【自己への失望】と【仕事のミスをした自己価値の ゆらぎ】により【看護師としての自己のあり方を自問】していた。この時期の新卒看護師は【心身のバランスの崩壊】状態にあり【退職決断の引き金】が【退職の決断】を強くした。退職後は【当時の自己を客観視】と【自己の成長】がみられた。結論:早期退職した新卒看護師は自己の能力と職場で求められる能力の差に悩み,看護師としての自己評価の低さが心理状態に強く影響していた。心身ともに追い詰められたことで職場から逃れたい気持ちが強くなり退職に至った。
著者
山田 貴子 飯田 哲郎 林 範子 大賀 浩史 大隈 一裕 何森 健
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.263-267, 2010-06 (Released:2011-03-28)

D-プシコースの体脂肪蓄積抑制効果に関して、ラットを用いて検討した。4週齢Wistar系雄性ラットに異性化糖食または異性化糖食にD-プシコースを1.3%、2.6%、3.9%、5.2%添加した飼料を5週間自由摂取させた。体重、摂餌量、脂肪重量および各種血液生化学的指標に及ぼす影響を検討した結果、D-プシコースを5.2%摂取した群は、異性化糖食と比較して、体重において有意な低値を示した。腎周囲脂肪および脂肪組織重量に関しては、用量依存的な低下が認められた。これらのことから、D-プシコースは異性化糖に対しても体脂肪蓄積抑制効果を示すと考えられた。
著者
平田 彰業 倉科 彰夫 山田 貴子 米川 幸秀
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.1032-1039, 2002

【目的】電子カルテを包含する統合情報システムを稼動させている総合病院の医師の立場から, 電子カルテシステムの現状と開発・導入時の問題点を検討した.あわせて, 地方在住の小児外科医として日本小児外科学会への提言を行った.【方法】当院は, 1999年に新築移転するに際して, 「医療の質の向上」, 「患者サービスの向上」, 「病院管理運営の効率化」を主目的に, ネットワークを前提として開発・実現された「統合情報システム」, 通称IIMS(Integrated Intelligent Management System)を稼動させている.既成のソフトの導入ではなく, 病院の業務を徹底的に見直し, 独自に開発したものである.稼動の現状と開発時の留意点を検討した.【結果・結論】「電子カルテシステム」の目的は医療の標準化, 質の向上である.現在, さまざまな「電子カルテ」が乱立しており, 目的実現のための障害になっている.少なくとも小児外科領域の共通する部分だけでも標準化しておくことが望ましいと考えられた.また, 日本小児外科学会には情報技術の活用を提言した.