著者
大島 久華 木村 功 木村 義雄 田島 茂行 何森 健
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.261-265, 2005
被引用文献数
1

<i>Aspergillus sojae</i>の液体培養液からエキソ-1,5-&alpha;-L-アラビナナーゼを電気泳動的に均一な標品として精製した. 精製酵素標品の分子質量は, ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE) によって41kDa, ゲル濾過クロマトグラフィーによって43 kDaと決定された. 本酵素の等電点は3.7であった. 本エキソ-アラビナナーゼ活性は, カルボキシメチル-直鎖アラビナンに対し, 50℃, pH 5.0で作用させることで最大となった. 活性はpH 6.0から8.0, 45℃まで安定であった. 精製酵素標品の活性はAg<sup>+</sup> (1 mM) およびCr<sup>2+</sup> (1 mM) によって強く阻害され, SDS (5 mM) の添加により促進された. 1,5-アラビナンに対する<i>K</i><sub>m</sub>値は5.8mg/mLとなった. 本精製酵素標品のN末端アミノ酸25残基は, <i>Penicillium chrysogenum</i>のそれと69%という高い相同性を示した. 精製酵素標品をビート由来の1,5-アラビナンに作用させた場合のおもな生産物は, アラビノビオースであり, 反応溶液中にアラビノースの遊離は認められなかった.
著者
高峰 啓 飯田 哲郎 大隈 一裕 何森 健
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.37-42, 2016

アルロース(プシコース)は,脂肪蓄積抑制作用を持つことが報告されており,現代社会において問題視される肥満を予防・改善する甘味料として期待されている.本技術開発は,Lobry de Bruyn-Alberda van Ekensteinの転位反応として知られるアルカリ異性化反応を利用したアルロース等の希少糖を含むシロップの製造方法を確立した.この方法によって得られた希少糖含有シロップの糖組成を定量分析によって明らかにし,生理活性試験を行った.ラットでの8週間摂取試験では,内臓脂肪蓄積抑制が確認された.さらに,軽度肥満(BMI25以上30未満)を含む健常成人34名を対象にした12週間長期摂取試験を行った結果,ヒトにおける体脂肪低減効果が明らかとなった.現在,α-グルコシダーゼ阻害作用や食後血糖上昇抑制作用に関して,鋭意研究を進めている.本製品は,砂糖や異性化糖等と同様に甘味料として使用することが可能であり,2012年の販売開始から現在までに800以上の食品に採用されている.
著者
山田 貴子 飯田 哲郎 林 範子 大賀 浩史 大隈 一裕 何森 健
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.263-267, 2010-06 (Released:2011-03-28)

D-プシコースの体脂肪蓄積抑制効果に関して、ラットを用いて検討した。4週齢Wistar系雄性ラットに異性化糖食または異性化糖食にD-プシコースを1.3%、2.6%、3.9%、5.2%添加した飼料を5週間自由摂取させた。体重、摂餌量、脂肪重量および各種血液生化学的指標に及ぼす影響を検討した結果、D-プシコースを5.2%摂取した群は、異性化糖食と比較して、体重において有意な低値を示した。腎周囲脂肪および脂肪組織重量に関しては、用量依存的な低下が認められた。これらのことから、D-プシコースは異性化糖に対しても体脂肪蓄積抑制効果を示すと考えられた。
著者
大島 久華 木村 功 何森 健
出版者
香川県産業技術センター
巻号頁・発行日
no.10, pp.56-58, 2010 (Released:2011-07-26)

サトウキビ搾汁及びシュクロース並びにフルクトースを用いた調理実験において、プシコースが生成することを確認した。食品中のプシコースは、製造過程における加熱によってシュクロースやD-フルクトースから非酵素的に生産されることが示唆された。