著者
高木 久 福田 俊 飯田 治三 佐藤 淳 佐藤 れえ子 内藤 善久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.311-316, 1996-04-25
被引用文献数
4

ビタミンAD_3E(V-AD_3E)の合剤, ビタミンA(V-A)あるいはビタミンD_3(V-D_3)の単剤を哺乳期の子牛へ生後7日齢から10日間大量経口投与し, 牛ハイエナ病の発症試験を実施したところ, V-AD_3E剤(日量V-A 300万I.U., V-D_3 30万I.U., V-E1, 200I.U.)を投与したV-AD_3E群(2頭中2頭), その半量を投与したHalf V-AD_3E群(2頭中1頭), およびV-A 300万I.U.を投与したV-A群(2頭中1頭)の計4頭に発症が認められたが, V-D_3 30万I.U.を投与したV-D_3群では観察されなかった. 発症子牛では, V-Aの過剰を示す血中のエステル型のV-A(レチニルパルミテート)が高値を示し, 長骨の成長軟骨板は狭窄や構造の変性などを示した. V-AD_3E群はV-A群と比較して, 発症年齢が早く, 体重増加率の低下および後肢だけでなく前肢の成長不全も重度であった. 以上, 牛ハイエナ病は, 子牛の成長軟骨板に対する過剰なV-Aの作用により発症し, さらにV-D_3によって発症が促進されるものと推測された.