著者
小木曽 洋一
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.221-226, 1994-09-20 (Released:2010-08-27)
参考文献数
27
被引用文献数
1
著者
松岡 理 安藤 久隆 小沢 正基 高橋 千太郎 小木曽 洋一 稲葉 次郎 二之宮 和重 久松 俊一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.997-1020, 1994-11-30 (Released:2010-03-08)
参考文献数
102

Puに対する社会的関心が高い。たしかにPuの幾つかの同位体は核分裂性であり,また放射線毒性の高い物質の一つである。しかし,その実態に対する理解は必ずしも十分ではなく,そのことのゆえ,ときに一部から意図的に部分的誇張を含む説明がなされたりすることさえある。 本「特集」では,Puの安全性を考える基礎として,生体に対する影響を中心に,放射線毒性学の観点からPuの実像を概観する。
著者
高畠 貴志 柿沼 志津子 廣内 篤久 中村 正子 藤川 勝義 西村 まゆみ 小木曽 洋一 島田 義也 田中 公夫
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第50回大会
巻号頁・発行日
pp.153, 2007 (Released:2007-10-20)

放射線誘発胸腺リンパ腫は、放射線発がんメカニズムの解析だけでなく、発がん感受性に影響する遺伝的要因についての研究にも有用なモデル実験系である。我々は、放射線誘発胸腺リンパ腫を誘発しやすいC57BL/6系統、誘発しにくいC3H系統、およびこれらを親とし比較的誘発しやすいC3B6F1系統とB6C3F1系統で放射線誘発した胸腺リンパ腫を対象として、DNAコピー数の異常をゲノム網羅的にアレイCGH法で解析した。胸腺リンパ腫発症に関与することが知られているIkarosやBcl11bなどの遺伝子座での変異や15番染色体のトリソミー以外に、5番染色体、10番染色体、16番染色体での異常が系統依存的に高頻度であること、および、14番染色体のトリソミーが系統によらず高頻度であることを見出した。さらに、T細胞受容体ベーター遺伝子領域の2つの対立遺伝子で共に遺伝子再構成が生じている頻度は、C3H系統でのリンパ腫より、C57BL/6系統でのリンパ腫で高頻度に検出された。このことから、C57BL/6系統では異常なV(D)J組換えを起こしやすいためにリンパ腫を誘発しやすい、という可能性が示唆された。また、C3B6F1系統やB6C3F1系統でのリンパ腫における、これら各種異常の頻度や染色体上での異常頻発領域の分布は、C57BL/6系統で誘発されたリンパ腫についての結果と似ていた。さらに、F1系統での腫瘍についてのヘテロ接合性消失の解析と合わせると、IkarosやBcl11b遺伝子座でのヘテロ接合性消失は主として欠失型異常により生じ、他方Cdkn2やPten遺伝子座では主として片親性ダイソミーにより生じると示唆された。これらの結果は、放射線によりリンパ腫が誘発される際に変異が蓄積される機構や、放射線により胸腺リンパ腫を誘発しやすい系統と誘発し難い系統が存在することの原因を知る上で重要な知見となる。本研究は青森県からの受託事業により得られた成果の一部である。
著者
中村 慎吾 田中 聡 Ignacia Braga-Tanaka III 小野 瑞恵 神谷 優太 小木曽 洋一
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.55, 2011

低線量率(20 mGy/ 22 h/ day)のγ線を連続照射したB6C3F1雌マウスでは、非照射対照マウスと比較して、有意に体重が増加することが分かった。この照射マウスに認められる体重増加の機構を明らかにするために、20 mGy/ 22 h/ dayのγ線を9週齢から44週齢まで連続照射したB6C3F1雌マウスの脂肪組織重量、肝臓及び血清中の脂質含有量、糖代謝及び脂質代謝に関連した因子(インスリンやアディポサイトカイン等)と卵巣の機能変化を調べた。組織の脂肪化を伴う有意な体重の増加は、20 mGy/ 22 h/ dayのγ線を連続照射したB6C3F1雌マウスにおいて28週齢から44週齢に至まで認められた(集積線量2.7-4.9 Gy)。卵巣及び膣垢標本の病理学的解析から、連続照射マウスでは、卵母細胞の枯渇による早期の閉経と同時に体重増加が起こることが分かった。以上の結果から20 mGy/ 22 h/ dayのγ線を連続照射したB6C3F1雌マウスでは、早期の閉経が引き金となって、体重増加が起こることが示唆される。本研究は、青森県からの受託事業により得られた成果の一部である。
著者
小木曽 洋一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.350-355, 2015 (Released:2020-02-19)
参考文献数
2

福島第一原発の事故以降,全国の原発は全て停止し,再稼働に向けた動きも始まっているが,容易ではない状況にある。また,我が国の原子エネルギー政策の基幹である核燃料サイクルは稼働できない状態が長きにわたって続いている。原子力産業が右肩上がりであった1980年代から90年代にかけて,核燃料サイクルの中心に位置づけられるプルトニウムの生物影響リスクを評価するために,我が国で初めての動物実験施設「内部被ばく実験棟」が放射線医学総合研究所に建設され,実験研究が行われた時期があった。その一翼を担った研究者の立場から,実験棟の設計,建設,運用に携わった経緯を織り交ぜながら,プルトニウムを実験動物に吸入曝露あるいは注射投与して発がんのリスクを評価する研究を進めていった体験を概説する。