著者
飯田 良平
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.316-321, 2020 (Released:2020-10-24)
参考文献数
5

パーキンソン病は神経変性疾患のなかではアルツハイマー型認知症に次いで多く,訪問歯科診療などの現場では少なからず遭遇する.オーラルジスキネジアや開口保持が困難となれば,種々の歯科治療だけでなく口腔衛生管理に際しても難渋することとなる.姿勢や口腔機能の障害が進行すれば,義歯のコントロールも不良となり,徐々に使用困難となることが多い.摂食嚥下障害は高率に存在するが身体的運動障害とは必ずしも関連しないとされている.また不顕性誤嚥(誤嚥してもむせがみられない)の多いことも特徴とされている.患者の予後に影響する①摂食嚥下障害における口腔衛生管理や摂食機能療法,②水分・栄養・服薬管理の観点からの口腔機能管理,③付随する唾液誤嚥や流涎,そして顎関節脱臼への対応など,歯科が対応すべき問題は多いと考える.