著者
高山 正也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.428-433, 2012
参考文献数
7

2011年4月1日を期して公文書管理法が施行された。この法律がつくられたのは年金記録や自衛艦航海日誌などの杜撰な扱いが社会の注目を集め,長年にわたり関係者からの公文書管理体制の整備の声を無視し続けた行政当局も何らかの対応の必要性に迫られた結果であった。しかし公文書の管理という事象は日本の行政面を中心とする文化を集約している。一つの法律で長年にわたり培われた文化が変わるものではない。そこで,本稿では日本の公文書管理体制,公文書の実態,公文書による行政情報の管理等の諸問題についてその従来の状況と法律による是正策と現状での業務紹介の一端として東日本大震災における水損公文書の復旧支援活動のあらましを概観する。
著者
高山 正也
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.4-11, 2014-03-15 (Released:2017-03-24)

著者は2006年4月から理事として、2009年7月から館長として勤めていた(独)国立公文書館を2013年5月で、退職した。国立公文書館在職中に課せられた主な使命は、主要諸外国に比較し、異常に小規模で低水準の国立公文書館の水準を向上させるべく、関連法令の制定、施行に始まり、末端行政組織と化した国立公文書館の活性化とそれを公文書館本来のアーカイブズ専門業務担当組織に変質させることにあった。しかし、長い伝統の下で硬直化した公文書館のような公的な組織の変革は著者のごとき理屈だけを、公文書館同様日陰の存在になっている図書館を対象とした経験しかない者の手には余るものであった。その様子が法律の制定、公文書館業務の実態等を経営の要素としての、ヒト、カネ、資料等の扱いといった具体例に触れて記述される。結局、日本における国際標準から外れた公文書類の扱いは公的組織の奥深くまで浸透しており、今後息の長い取り組みが必要との結論が述べられる。
著者
高山 正也
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.507-511, 2007-11-01

国立国会図書館の今後の改革についての指針を外部識者の見地からまとめた。現状における国立国会図書館の問題点は,国内外におけるそのプレゼンスの低さに集約できる。その理由の最大のものは,国立国会図書館員の内向き志向にある。そこで,当面,国立国会図書館が国立図書館として果たすべき機能と日本の国立国会図書館を取り巻く解決すべき主要な問題点を指摘し,その解決策の一端を,この問題が2006年春,国立国会図書館の独立法人化問題として生じた時に検討した図書館関係NPO法人での検討結果を紹介することで,示している。そこで示された解決策の提言とは次の4項目である。(1)国立国会図書館の経営刷新と強化のための外部者の活用,(2)館の職員人事の弾力化,(3)業務執行体制への民間活力の利用,(4)関係法令の見直し
著者
高山 正也
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.178-182, 2005-04-01

情報プロフェッショナルになるには, 検索系情報サービスの専門資格としての司書や学芸員は有利な立場にあると言える。しかし日本の現状ではそこにいくつかの問題点がある。すなわち司書や学芸員に加えて, アーキビストの世界は不可欠であるが, この分野の専門資格がない。また現状の資格のレベルでは, 時代の要求する能力レベルには達していない。このためには自己開発の場としての専門職大学院の活用が考えられるが, 自己責任で専門職大学院で自己開発を行うためのビジネスモデルの開発が不可欠である。
著者
高山 正也
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.761-772, 1989

米国の専門図書館協議会の年次大会と国際図書館連盟の総会に出席し, その会議概要の報告, ならびにアメリカ, フランス, イギリス三か国の主要図書館の見学記より成る。大会参加と見学より得られた結論として, 図書館への情報技術成果応用の必要性と問題点, 図書館ネットワークの必要性, 図書館関係者と情報技術者の問題意識と思考方法の変換の必要性等が指摘されている。見学先はM.I.T.図書館, ポンピドーセンター, エジンバラ大学, ケンブリッジ大学等の各図書館で, M.I.T.図書館組織図, 英国図書館ドキュメントサプライセンターの統計データ等が資料として付されている。
著者
高山 正也
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.4-11, 2014-03-15

著者は2006年4月から理事として、2009年7月から館長として勤めていた(独)国立公文書館を2013年5月で、退職した。国立公文書館在職中に課せられた主な使命は、主要諸外国に比較し、異常に小規模で低水準の国立公文書館の水準を向上させるべく、関連法令の制定、施行に始まり、末端行政組織と化した国立公文書館の活性化とそれを公文書館本来のアーカイブズ専門業務担当組織に変質させることにあった。しかし、長い伝統の下で硬直化した公文書館のような公的な組織の変革は著者のごとき理屈だけを、公文書館同様日陰の存在になっている図書館を対象とした経験しかない者の手には余るものであった。その様子が法律の制定、公文書館業務の実態等を経営の要素としての、ヒト、カネ、資料等の扱いといった具体例に触れて記述される。結局、日本における国際標準から外れた公文書類の扱いは公的組織の奥深くまで浸透しており、今後息の長い取り組みが必要との結論が述べられる。
著者
高山 正也
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.66, pp.4-11, 2014-03-15

著者は2006年4月から理事として、2009年7月から館長として勤めていた(独)国立公文書館を2013年5月で、退職した。国立公文書館在職中に課せられた主な使命は、主要諸外国に比較し、異常に小規模で低水準の国立公文書館の水準を向上させるべく、関連法令の制定、施行に始まり、末端行政組織と化した国立公文書館の活性化とそれを公文書館本来のアーカイブズ専門業務担当組織に変質させることにあった。しかし、長い伝統の下で硬直化した公文書館のような公的な組織の変革は著者のごとき理屈だけを、公文書館同様日陰の存在になっている図書館を対象とした経験しかない者の手には余るものであった。その様子が法律の制定、公文書館業務の実態等を経営の要素としての、ヒト、カネ、資料等の扱いといった具体例に触れて記述される。結局、日本における国際標準から外れた公文書類の扱いは公的組織の奥深くまで浸透しており、今後息の長い取り組みが必要との結論が述べられる。
著者
高山 正也 神村 昌代
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.43, pp.15-27, 2001-11-30

日本におけるナレッジ・マネジメント (Knowledge Management, KM) 論は組織内に帰属させるべき知識を顕在化させ、新たな知識を創造するという抽象的定義を具体化する段階で、情報処理のハードやソフトの各メーカーの営業戦略により、知識の管理ではなく、MIS以来続くデータ処理システムに変質・変容をさせられた側面がある。このことは雑誌記事に現れたナレッジ・マネジメント論にも影響し、アメリカの後追いで現れたナレッジ・マネジメント論がアメリカの状況を素直に受け入れず、情報技術や既製のシステム導入にこだわり、組織における知識創造という本来の目的を喪失し、国際的な標準にも必ずしも合致していない実態を明らかにしている。