著者
高山 範理 藤澤 翠 荒牧 まりさ 森川 岳
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.565-570, 2012 (Released:2013-08-09)
参考文献数
25
被引用文献数
4 5

The purpose of this study was to clarify; 1) the psychological stress reduction effect (PSRE) that "sunshine filtering through foliage (SFTF)" brings visually, 2) the relation between the effect and the subjective appraisal (SA) of the forest environment otherwise the personality and other traits (PAOT), 3) the system of PAOT- SA- PSRE based on Lazarus’s acting stress model. We showed 2 images such as photos with and without SFTF in the forest as a simulation for 17 subjects, and examined the change in the psychological feelings (POMS; 3-times) by some indexes (PSRE and SA (SD Method; twice)) for each stimulation before and after the experiment in an artificial weather room. As a result, in comparison the presence of SFTF stimulation with the control, it was clarified that "Tension-Anxiety" and "Fatigue" significantly decreased with the control. In comparison the presence of SFTF stimulation with the other, "Vigor" was significantly higher than that of the absence of SFTF otherwise "Tension-Anxiety" was significantly lower. Furthermore, some evaluation indexes of the SA related to PARE received from the both of SFTF, and those evaluation indexes were affected by the respondents’ PAOT such as “Extraversion” and so on.
著者
高山 範理 讃井 知 山浦 悠一
出版者
一般社団法人 日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.180-190, 2020-06-01 (Released:2020-09-16)
参考文献数
59
被引用文献数
1

主伐の時代を迎えた日本で林業が社会的に受け入れられるためには,伐採地の風景的価値を考慮した上で,生物多様性の保全や林業としての経済的合理性に配慮して,適切な主伐方法を選択する必要がある。そこで本研究では,針葉樹(トドマツ)人工林の皆伐地,群状に植栽木を残した伐採地(群状保持),ha当たり10本,50本,100本の広葉樹を単木的に残した伐採地(単木保持),広葉樹老齢木を残した伐採地,伐採前の人工林の7種類の異なる林分状況からなる写真を刺激として,非専門家が伐採地に懐く風景的価値(認知・評価)を調べ,さらに非専門家と専門家間で生物多様性の保全および林業としての経済的合理性に対する伐採地の評価を比較した。その結果,1) 非専門家は皆伐や老齢木保持をポジティブに認知する一方で,群状保持はネガティブに認知する可能性があること,2) 非専門家は樹木の伐採に抵抗感があるため,主伐の実施にあたってはその必要性や生態系保全への配慮,植林の実施等の情報を供与し理解を求めることが有効であること,3) 林業としての経済的合理性の評価については,非専門家と専門家の間にギャップがあり,非専門家の理解を得るためには情報交換や議論を重ねる必要があることなどが明らかになった。
著者
藤澤 翠 高山 範理
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.361-366, 2014-12-02 (Released:2014-12-03)
参考文献数
19

本研究では,自然環境の有する心理的回復効果を調べるために,ROS(Restorative Outcome Scale;回復感指標)の日本語版(ROS-J)を開発し,妥当性・信頼性の検証を行った。さらに気軽なストレス解消法の創出を目指して,短時間の仮想的な森林浴環境の心理的回復効果について調べた。まずROS-Jの開発のため,合計357名(有効回答330名)を対象に実験①と実験②を行った。また,オフサイト森林浴の心理的回復効果の検証のため,ROS-Jを用い,実験①の計312名(有効回答285名)の被験者を対象に詳細な分析を行った。その結果,ROS-Jの質問紙としての妥当性・信頼性が確認された。また,ROS-Jによって,オフサイトにて容易に再現可能な映像と音を用いた仮想的な森林浴環境であっても,心理的回復効果が期待できることが明らかになった。
著者
高山 範理
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.3-10, 2015-04-25 (Released:2017-05-23)
被引用文献数
1

森林浴とは1982年に林野庁によって提唱された用語である.森林の自然や生態系を五感で感じることによって,心身の健康回復等を図ることとされる.日常のストレスを離れリラックスできる場所として,森林浴に対する社会的な期待は大きく,今日ではストレスに対するコーピングの手段のひとつとして考えられている.森林浴のストレス低減効果については,ここ10数年でかなり研究が進み,短時間(20分)の森林浴であっても,身体面では,血圧(拡張期・収縮期),脈拍,および唾液中コルチゾール等のストレスホルモンを低下させる,副交感神経活動を昂進させる,交感神経活動を低下させること等が明らかにされている.また,心理面では,気分状態が改善する,ポジティブな感情や回復感が高くなること等が明らかになっている.さらに,長期(二泊三日)の森林浴を行うことによって,体内の免疫細胞であるナチュラル・キラー細胞の活性が昂進する等,体内の免疫能が高まることも明らかになっている.現在,本格的な森林浴を愉しめる場所として,研究者らによる科学的な実験によって効果が証明された森林セラピー基地^[○!R]・森林セラピーロード^[○!R]が全国に設置されている(57ヶ所:平成26年度末).これらの施設では,それぞれの地域特性を生かした散策コースやメニューが提供されている.森林浴が効果的になされるよう案内・助言してくれる森林セラピーガイド,森林セラピスト等の資格を持つガイドが配置されており,ガイドらと一緒に森林浴を行うことで,森林浴の体験の質が高まるだけでなく,高いストレス低減効果が期待できる.また,当地では,森林浴の開始前・開始後に心身の状態を測定することが可能であり,これなどは健康維持・増進を目的として,バイオフィードバックの理念が現場で活用された好例のひとつとして捉えることができるだろう.
著者
高山 範理
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.3-10, 2015

森林浴とは1982年に林野庁によって提唱された用語である.森林の自然や生態系を五感で感じることによって,心身の健康回復等を図ることとされる.日常のストレスを離れリラックスできる場所として,森林浴に対する社会的な期待は大きく,今日ではストレスに対するコーピングの手段のひとつとして考えられている.森林浴のストレス低減効果については,ここ10数年でかなり研究が進み,短時間(20分)の森林浴であっても,身体面では,血圧(拡張期・収縮期),脈拍,および唾液中コルチゾール等のストレスホルモンを低下させる,副交感神経活動を昂進させる,交感神経活動を低下させること等が明らかにされている.また,心理面では,気分状態が改善する,ポジティブな感情や回復感が高くなること等が明らかになっている.さらに,長期(二泊三日)の森林浴を行うことによって,体内の免疫細胞であるナチュラル・キラー細胞の活性が昂進する等,体内の免疫能が高まることも明らかになっている.現在,本格的な森林浴を愉しめる場所として,研究者らによる科学的な実験によって効果が証明された森林セラピー基地^[○!R]・森林セラピーロード^[○!R]が全国に設置されている(57ヶ所:平成26年度末).これらの施設では,それぞれの地域特性を生かした散策コースやメニューが提供されている.森林浴が効果的になされるよう案内・助言してくれる森林セラピーガイド,森林セラピスト等の資格を持つガイドが配置されており,ガイドらと一緒に森林浴を行うことで,森林浴の体験の質が高まるだけでなく,高いストレス低減効果が期待できる.また,当地では,森林浴の開始前・開始後に心身の状態を測定することが可能であり,これなどは健康維持・増進を目的として,バイオフィードバックの理念が現場で活用された好例のひとつとして捉えることができるだろう.
著者
高山 範理 香川 隆英
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.539-542, 2013 (Released:2014-05-08)
参考文献数
13
被引用文献数
3 7

The purpose of this research was to investigate an attention restorative effect in the short-term staying of the on-site forest environment, using PRS based on an attention restoration theory (ART). Participants were 45-male-university students in their early twenties. The city environments where were the daily living environment were chosen as the control for experiments and in which the same experiment of the forest environments were conducted by the same schedule. To cancel an order effect, participants were divided into two groups and both groups were taken to the both environment to experience each of them during two days. After an experience in the each environment was finished, participants were asked to answer to PRS questionnaire. As a result, the appraisal of "Preference" for the forest environment was significantly higher than for the city environment on the contrary to that of "Familiarity". Then, the score of the indexes ("Being away", "Fascination", "Scope", "Compatibility") derived from ART after the experience of the forest environment was significantly higher than that of city environment. Consequently, there was psychological restorative effect in forest environment comparatively, from the viewpoint of ART and their traits were confirmed.
著者
高山 範理 筒井 末春 中野 博子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.2_42-2_51, 2010-09-10 (Released:2010-12-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究では,近年,新たなストレス解消方法として期待されている森林浴に着目し,利用者の個人特性が,オンサイトにおける森林浴から享受される心理的な癒し効果(森林浴効果)に,どのように反映されているのかについて明らかにすることを研究の目的とした.まず,二十代の男子学生を調査対象者とし,4種類の調査票を用いて個人特性(17指標)の調査をおこなった.次に,POMS(6尺度)を用いたオンサイトの森林浴実験をおこない,森林浴効果を調査した.その後,個人特性の17指標とPOMSの6尺度の間で,相関分析および2群(個人特性の各指標の得点によって「高群」あるいは「低群」に分類)による対照分析をおこなった.その結果,森林浴の前後で「活気」および「疲労」尺度などに気分の改善効果がみられた.また,相関分析および対照分析の結果から,“神経症傾向”および“失敗に対する不安”と「怒り─敵意」との間に,“外向性”および“行動の積極性”と「活気」との間に,それぞれ有意な負の相関が確認された.さらに,歩行活動によって個人特性の各指標と「怒り─敵意」尺度との間に,座観活動によって各指標と「活気」および「疲労」尺度との間に,相対的に高い相関関係があることが確認された.本研究の結論として,(1):調査地の森林には森林浴効果があった(2):森林浴は,特に神経症傾向や失敗に対する不安感が高い人,あるいは外向性や行動の積極性の低い人により効果的であった(3):(2)のような人々は,森林内をゆったりと散策することで,通常の人よりも,より「怒り─敵意」の感情が沈静化し,よりリラックスした心理状態になることなどが示唆された.