著者
高岡 宏行
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.55-80, 2002
参考文献数
32
被引用文献数
2

This paper reviews taxonomical and ecological aspects of the black flies (Diptera : Simuliidae) of the Nansei Islands in Japan : All the 18 taxa so far reported are assigned in the genus Simulium Latreille s. l., and are further placed into five subgenera, i.e., Eusimulium Roubaud (1 sp.), Nevermannia Enderlein (4 spp. and 1 subsp.), Wallacellum Takaoka (1 sp.), Gomphostilbia Enderlein (3 spp.) and Simulium Latreille s. str. (8 spp.); a brief description is given for each subgenus and included species, and keys to the species for females, males, pupae and larvae are provided, together with figures of pupal gills, cocoons and larval head-capsules; data on geographical distribution are updated for each species; the possible role as a vector of zoonotic onchocerciasis is briefly discussed for some mammalophilic black-fly species; and larval preference of each species for aquatic habitats is roughly classified by the types of breeding streams. In addition, a detailed account is given on techniques for collection, preservation, slide preparation, and microscopic observation, of larval, pupal and adult stages of black flies.
著者
佐藤 寛子 高岡 宏行 福田 昌子
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.201-210, 2004-09-15 (Released:2016-08-07)
参考文献数
12
被引用文献数
6 6

A new black-fly species, Simulium (Nevermannia) uemotoi sp. nov., is described based on female, male, pupal and mature larval specimens collected from Oita, Japan. This new species is assigned to the vernum species-group and is distin-guished from other known related species by a combination of the following characters: katepisternum with several hairs on each side and 1st and 2nd segments of maxillary palp ocherous in both sexes of adults; frons with two long and one short trichomes on each side, gill with four slender thread-like filaments and simple wall-pocket-shaped cocoon in the pupa; and small, M-shaped or rounded postgenal cleft and simple rectal organ in the larva. A new name S. (TV.) onoi is given for the species which was collected from Hokkaido and erroneously identified as Cnetha konoi by Ono.
著者
高岡 宏行
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.163-180, 1976-04-15 (Released:2016-09-05)
被引用文献数
12 10

過去6年間の南西諸島全域におけるブユ相調査の結果, これまで6亜属18種類が認められた。この第1報では, ツノマユブユ亜属に属するS. (E.) uchidai, S. (E.) subcostatum koshikiense, S. (E.) aureohirtum, S. (E.) satsumense, S. (E.) mieおよびS. (E.) morisonoiの6種について報告した。新種および新亜種として記載されたS. (E.) satsumense, ならびS. (E.) subcostatum koshikienseには共に下甑島より見出された。このうちS. (E.) satsumenseはaureumグループの種類として我国より初めて記録された。また, S. (E.) uchiclaiおよびS. (E.) mieの2種は本諸島初記録でおのおの屋久島以北, 沖繩以北域での分布が明らかにされた。
著者
中村 譲 山形 洋一 高岡 宏行 高橋 正和 OCHOA A. J. Onofre MOLINA Pedro A. 高橋 弘
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.51-58, 1981
被引用文献数
3

国際協力事業団のグアテマラ共和国におけるオンコセルカ症の研究と防除プロジェクトは1976年から5年計画として開始された。その昆虫学部門は, エスクイントラ県サンビセンテパカヤ郡のパイロット地区の北部を流れるラバデロス川流域において最初のブユ駆除をおこなった。対象種はSimulium ochraceumとし, テメフォス10%固型剤を水量0.5l/secあたり2g投入することを2週ごとに繰り返した。作業は1979年3月下旬より開始され, 同年5月末までの結果につき報告した。同川には支流が21本あり, 支流上流部で水量0.1l/sec以上の流れのすべての水源と, 途中で2倍以上に水量が増加する点とを殺虫剤投入点としたところ, 5月末現在で投入点は57カ所となった。投入薬量は合計242gであった。作業量は2人1組で乾季で1日半であった。殺虫剤投入前に19支流調査して11支流にS. ochraceum幼虫が存在したが, 2回目の殺虫剤投入後には21支流中4支流のみで同種幼虫が見いだされた。幼虫定期観察のための2カ所の定点においては, 10分間採集法でも人工基物(シリコンチューブ)法でも1∿5週後に幼虫はゼロになった。成虫は, 殺虫剤投入2∿4週間前に人囮3時間採集法で286∿403個体採集されたが, 徐々に減少し, 5月かには6個体になった。テメフォス固型剤は, ブユ幼虫に対する高い有効性とともに作製, 保存, 運搬, 投入などの点から野外での実際の散布計画でも有望と思われる。
著者
福田 昌子 . 佐藤 寛子 Choochote Wej 高岡 宏行
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.121-123, 2004

Gynandromorphism was found in one adult black fly of Simulium asakoae collected while attracted to a human in Thailand. This is the first record of sexual mosaicism of Simuliidae in Thailand.
著者
高岡 宏行
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.193-217, 1977
被引用文献数
3 18

南西諸島から得られたブユ属18種類のうちこの第3報ではアシマダラブユ亜属に含まれるSimulium (Simulium) arakawae, S. (S.) sakishimanese, S. (S.) japonicum, S. (S.) quinquestriatum, S. (S.) suzukii, およびS. (S.) rufibasisの6種について報告した。これまでS. (S.) fenestratumとされていた種は原記載と異なるため新種名S. (S.) sakishimaenseを提唱した。また沖縄本島, 奄美大島および徳之島に分布するtuberosumグループの種は同一種で日本各地のS. (S.) suzukiiと形態上の差異が認められないことから沖縄本島を模式地として記載されたS. (S.) ryukyuenseおよび奄美大島より記録されたS. tuberosumはS. (S.) suzukiiのシノニムと思われる。本諸島より初記録のS. (S.) quinquestriatumは種子島, S. (S.) rufibasisは屋久島のみから, さらに, S. (S.) arakawaeはこれら両島および甑島より見いだされた。
著者
高岡 宏行 鈴木 博
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.7-45, 1984
被引用文献数
19 58

著者の一人鈴木が1978・1979年にタイ北部で採集したブユの標本を分類学的に検討した。その結果, 従来の既知3種のほかに, 7新種, 5新記録種を含む19種のブユが分布していることがわかった。これらはすべてブユ属(Simulium)に属し, さらに, 亜属段階では, ツノマュブユ亜属(Eusimulium)に3種, ナンヨウブユ亜属(Gomphostilbia)に3種, ヒマラヤブユ(新和名)亜属(Himalayum)に1種, さらにアシマダラブユ亜属(Simulium)に12種が分類された。既知3種のうちマレー半島を模式産地とするS. hackeri Edwardsは, タイ国での分布の根拠となっていた副模式標本(雌成虫, 英国国立自然博物館所蔵)が模式産地の標本と異なることから, 分布種から除かれた。同時に当該のタイ国産副模式標本に基づいて, 新種(S. barnesi)を記載した。また, インドのアッサム州より記載されたS. indicum Becherの同物異名とされていたS. nigrogilvum Summersは, 雌雄成虫, 蛹, および幼虫の各発育期で形態的差異が見出されたので, 有効種として復活した。
著者
高岡 宏行 HADI UPIK KESUMAWATI
出版者
Japanese Society of Tropical Medicine
雑誌
Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene (ISSN:03042146)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.357-370, 1991
被引用文献数
2 4

1990年12月から1991年1月にかけて, ジャワ島において吸血性昆虫ブユの採集調査を行い, 得られた標本を検討した結果, 数種の新種が含まれていることが分かった。本論文では, ブユ属アシマダラブユ亜属に属する2新種の記載を行った。1種は, <I>tuberosum</I>グループに属し, 蛹の呼吸管基部近くの外皮に小孔を有し, 呼吸管糸が6本とも極めて短いなど, 他の近似種に見られない特徴を有する。本グループに属するブユ種は, これまでにインドネシアからは報告がなく, 本種が初めての記録である。他の1種は, これまで<I>Simulium iridescens</I>の変種とされていたブユであるが, 蛹の呼吸管糸が袋状に大きくなっているなど, 幾つかの形態的な違いがあることから, <I>S.iridescens</I>から独立させ, 新種名を与えて記載を行った。
著者
高岡 宏行
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.9-14, 2008
被引用文献数
3

マレー半島のキャメロンハイランドにおいて採集されたGomphostilbia亜属ceylonicum種群に属するブユの新種を,雄成虫と蛹の標本をもとに記載し,新種名Simulium (Gomphostilbia) hoiseniを与えた.本種は,ceylonicum種群に属する既知種のうち,蛹の呼吸管が6本である点,インドネシアから記載されたS. (G.) kamimuraiおよびS. (G.) rosemaryaeの2種およびタイから記載されたS. (G.) udomiに類似する.しかし,これら類似種とは蛹の呼吸管の分岐方法で容易に区別される.