著者
藤野 武彦 藤井 丕夫 張 興 丸山 徹 加治 良一 高柳 茂美 金谷 庄藏 大楠 丹
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.163-169, 1999-03-01

「気」情報系の実験モデルとして大村のBi-Digital O-Ring Test(ORT)を用い、「意識」が「気」情報系に及ぼす影響を検討した。若年女性3名において、3種の物質(テトロドトキシン、煙草、健康食品)を入れた紙容器を触れているときにORTを行った。また各物質のORTは二重盲検テスト、単盲検テスト、オープンテストの三つの方式で実施した。致死的毒物であるテトロドトキシンの場合のみ、二重盲検テスト、単盲検テスト、オープンテストによるそれぞれのORTは一致したが、他の二つの物質では二重盲検テスト結果と他の二つのテスト結果との間に乖離が見られた。これらの結果は「気」情報系に及ぼす「意識」の重要性と、ORTの「気」情報系実験モデルとしての有用性を示唆する。
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄 高柳 茂美
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.65-73, 1994

第44回全日本大学準硬式野球大会の予選を兼ねたの九州選手権大会に参加した25チーム, 511名を対象にして, 特性としての心理的競技能力と状態としての心理的競技能力を調査した。その結果を要約すると次のとおりである。1.特性としての心理的競技能力は, 学年, 年令, 経験年数, 県や全国レベルの大会への参加回数, 競技成績, ポジションなどによって異なった。2.試合中の心理状態を大戦チームと比較すると, 勝ちチームほど高得点を示す場合が多かった。しかし, 負けチームが高得点を示す場合もみられた。また, 1回戦から決勝戦までの全選手の平均得点は, 1・2回戦では低く, 決勝戦になるほど高得点を示した。さらに, チームごとの平均値をみると, 1・2回戦での負けチームの得点は低く, 上位チームの得点は次第に高得点になることが示された。3.特性と状態の相関は, 1〜3回戦までは有意であった。しかし, 5〜8位決定戦と決勝戦での相関は低くなった。3回戦での試合中の心理状態に関与する特性としての心理的競技能力をみたが, 有意性のある尺度はみられなかった。
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄 磯貝 浩久 高柳 茂美
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.9-17, 1992-02-08
被引用文献数
2

運動やスポーツを行うことによって生ずる心理的効果として爽快感の体験とその観定要因を分析するために3つの実験を行った。実験1は炎天下に行われた大学におけるテニスの授業, 実験2は継続的授業の初期(2回目)と後期(12回目)の大学のサッカーの授業, 実験3は習慣的に実施されている高齢者のテニスの練習を対象とした。それぞれの主な結果は, 次のとおりである。1. 炎天下のテニスの授業では80.4%の多数の学生が「爽快」と答えた。爽快感の規定要因では気分のすっきり度, 運動欲求の強さ, 暑さに対する評価の3要因が最も関係していた。その他, 身体的状態, 心理的状態, 個人的特性, 環境的条件が輻輳して関与していることが推測された。2. サッカーの授業の進行と共に「爽快」と答えた学生は増加し, 後期では84.7%の多数となった。爽快感の評価の変化をみると上昇型は56.5%, 無変化型は25.9%, 下降型は17.7%であった。とくに上昇型では体力, 技術, 性格の自己評価の高まり, 熱中度, 達成感, 運動欲求といった心理的状態の変化, 発汗, 苦しさ, 疲労度の減少といった身体面の適応,向上が関係していることが明らかにされた。3. 高齢者のテニス前後の爽快感,感情得点,乳酸, ACTH, ベータ・エンドルフィンの平均値にはいずれも有意な変化は認められなかった。しかし,テニス後の相互関係をみると, 爽快感や感情得点と乳酸値にはマイナスの相関がみられ, ACTHやベータ・エンドルフィンの分泌にはプラスの相関がみられるという興味ある傾向が認められた。ただ, 高齢者の運動の爽快感をホルモン分泌からのみ考察するのは困難ではないかと思われた。
著者
徳永 幹雄 高柳 茂美 磯貝 浩久 橋本 公雄 多々納 秀雄 金崎 良三 菊 幸一
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

本研究は、スポ-ツ選手に必要な「精神力」の内容を明らかにし、その診断法とトレ-ニング法を明らかにすることであった。3年間の研究成果は、次のとおりである。1「心理的競技能力診断検査」および「心理的パフォ-マンス診断検査」の作成スポ-ツ選手に必要な精神力の内容は、競技意欲を高める能力(忍耐力,闘争心,自己実現,勝利志向性),精神を安定・集中させる能力(自己コントロ-ル,リラックス,集中力),自信をもつ能力(自信,決断力),作戦能力(予測力,判断力)および協調性の5因子(12尺度)であることが明らかにされた。これらの結果、52の質問項目から構成される心理的競技能力診断検査と10項目から構成され、試合中の心理状態をみる心理的パフォ-マンス診断検査を作成した。いずれの調査も精神力の自己評価、実力発揮度の自己評価、競技成積などと高い相関が認められ、その有効性が証明された。また、2つの検査法には高い相関が認められ、心理的競技能力診断検査で高い得点を示す者ほど試合中に望ましい心理状態が作れることが予測された。今後、スポ-ツ選手の心理面のトレ-ニングに活用されるであろう。2心理的競技能力のトレ-ニング心理的競技能力診断検査の結果にもとづいて、それぞれの内容をトレ-ニングする方法をカセット・テ-プにまとめた。その一部は平成2年度国民体育大会福岡県選手に適用した。また、一般のスポ-ツ選手を対象としたメンタル・トレ-ニングの「手引き書」も作成した。3報告書の作成過去3年間の研究成果を報告書としてまとめた。
著者
徳永 幹雄 山中 寛 山本 勝昭 高柳 茂美 橋本 公雄 秦泉寺 尚 岡村 豊太郎 佐々本 稔
出版者
九州大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

13名の共同研究者によって、運動・スポーツの短期的・長期的効果について総合的研究を行い、次のような結果を得た。1.感情に及ぼす効果1)婦人のテニス活動での感情は、激しい運動中に最も高まり、その時の感情は乳酸とはマイナス相関、ACTHやベータ・エンドルフィンではプラス相関がみられた。しかし、運動後はその相関は低くなった。2)快的自己ペース走による気分の高揚は運動後少なくとも30分継続した。3)バドミントンの体育授業での感情は授業内容によって異なった。2.心理的能力に及ぼす効果1)国体選手は経験年数や大会参加経験によって心理的競技能力が高められていることが明らかにされた。2)体育系クラブ経験者は、日常生活の心理的対処能力が優れていた。3.生きがい・健康度に及ぼす効果1)世界ベテランズ陸上競技大会の参加選手は、「生きがい」意識レベルが高く、幸福な老年期を迎えていることが推察された。2)身体的活動量が多い高齢者は、精神的健康度も高かった。3)降圧を目的とした高齢者のテニス教室は「生きがい」にも影響した。4.自己効力感・自己概念に及ぼす効果1)体操の授業で学習者の構えが、自己効力感に影響を与えた。2)児童の水泳プログラムで水泳効力感が高まった。3)体育学部学生の自己概念は4年間で有意に変化した。5.精神の安定・集中に及ぼす効果1)大学生や予備校生のストレス症状は運動歴や態度と相関が高かった。2)寒暑耐性と運動経験年数に相関がみられた。3)身体運動が精神的作業能力に良い影響をもたらすことが示唆された。