- 著者
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渡部 幸喜
赤松 満
坪井 一世
高橋 敏明
渡部 昌平
山本 晴康
一色 房幸
浦屋 淳
- 出版者
- 公益社団法人 日本理学療法士協会
- 雑誌
- 理学療法学Supplement
- 巻号頁・発行日
- vol.2004, pp.A1078, 2005
【はじめに】<BR> 我々の日常生活においてサンダルやスリッパは身近に使用されている履物のひとつである。しかし、転倒の危険性も高く、全転倒例のうち26%がサンダル使用時という報告もある。これまで靴を装着しての足底圧を含めた歩行分析や動作解析の検討は多くなされているが、サンダル履きでの検討は少ない。そこで今回我々は、サンダル使用時と靴使用時および素足での歩行足底圧を計測し、若干の知見を得たので報告する。<BR>【対象と方法】<BR> 対象は下肢に痛みや変形が見られない健常男性10名(年齢21歳~47歳、平均31歳)で靴使用時、サンダル使用時、および素足での歩行足底圧を計測した。歩行は速い、普通、遅いの3段階に分けて行い、測定にはニッタ社製F-scanシステムを用い1秒間に20コマで計測し、得られたデータから、足底圧分布、最大圧、重心の軌跡等について比較検討した。<BR>【結果】<BR> 重心の軌跡の分析では、サンダル履きの場合、いずれの歩行速度においても踵接地の位置、つま先離れの位置がそれぞれ後方・前方へ移動する傾向がみられた。それに伴い靴使用時に比し有意に前後方向への重心の移動距離が大きかった。側方への重心移動距離も遅い速度で有意に大きかった。また靴使用時との違いは遅い速度においてより著明であった。最大荷重圧については素足・靴とサンダル使用との間には有意な差は見られなかった。<BR>【考察】<BR> 近年、足底圧の評価として簡便で再現性の高いF-scanが開発され、下肢の評価によく使用されている。そこで我々は靴とサンダルでの歩行時の足底圧の動的な検討を行った。足関節・足趾周辺に麻痺があるとサンダルがよく脱げるというのは臨床でも経験する通り、遊脚期にサンダルが脱げないようにするための筋活動が歩行の不安定に関与していると思われるが、立脚期においてもサンダルは靴に比べ重心の移動が大きく、不安定であることが示唆された。サンダルは足への圧迫感が少なく、靴に比べて通気性が良く、白癬などの感染も少ないことから好まれることが多い。しかし、サンダル使用による転倒の危険性は高く、またひとたび転倒すると靴使用時に比べ骨折の率も高くなるという報告もありこの所見を支持したものと考えられる。