著者
高橋 秀幸 松下 将典 高尾 勇輝 森 治 角田 博明
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.21-30, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
14

This study proposes a new method for shape control of non-spinning solar sails, in which Shape Memory Alloy (SMA) wires are exploited. An SMA wire is one of soft actuators that contracts at temperatures above its design value. In the proposed framework, the whole shape of a solar sail membrane is deformed via the contraction of SMA wires distributed over the membrane. The deformation results in the change in solar radiation pressure (SRP) torque acting on the solar sail-craft, which is applicable to fuel-free attitude control. In this paper, we investigate the theory of shape control using SMA wires. It is shown that a membrane under shape control behaves similarly both in a ground experiment and in a finite element method (FEM) analysis, demonstrating the validity of numerical modeling. With this result, the performance of shape control for a large membrane in a space environment is simulated by another FEM analysis. Results demonstrate that the proposed method is capable of producing SRP torque at an effective level for attitude control.
著者
松下 将典 高橋 秀幸 佐藤 泰貴 岩佐 貴史
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.53-61, 2022 (Released:2022-09-29)
参考文献数
13

Membranes can be applied to deploy high-capacity, lightweight and large structures in space, such as solar sails, occulters, and sunshields. However, it is difficult to predict the shape of the membranes under low tension in orbit, mainly because gravity deflects the membrane on the ground experiments. We propose a ground-based experimental method to simulate the shape of the membrane in weightless conditions by placing the membrane in an aqueous solution. We developed a small experimental system and measured the shape of the curved membrane that floated in a sugar solution. The effectiveness of the experimental method was evaluated by comparing the experimental results with the results of geometrically nonlinear finite element analysis. In addition, these results were compared with the results of the suspended membrane without gravity compensation.
著者
斎藤 隆 高橋 秀幸
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.51-59, 1987 (Released:2007-07-05)
参考文献数
10

ウリ類の花の性分化の生理的機構を解明する一助として, キュウリの側枝基部節に雌花の発現しやすい生理的要因を明らかにすることを目的として, 本来雌花の発現しやすい側枝基部節の花の性を人為的に制御し得るか否かを検討した.1. 側枝基部節における雌花発現状態‘相模半白’,‘夏埼落3号’,‘大利根1号’,‘彼岸節成’ の4品種について, 主茎上第15節までに発生した全側枝の第5節までの節位別雌花発現率をみると,‘彼岸節成’では全節雌花節となり, 他の3品種でも側枝の第1節で雌花発現はかなり安定していたが, 第2節以上の節位で雌花発現は急激に低下した. 次に, 側枝上第1節の雌花発現率を主枝上における側枝の発生節位別にみると,‘彼岸節成’ ではすべての側枝でその第1節は雌花節であったが, 他の3品種では主茎上第2~3節の低節位に発生した側枝で低い雌花発現率を示した.2. 主茎の摘心処理が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘大利根1号’ を用い, 第3葉展開初期に実体顕微鏡下で可能な限り上節位で茎頂部を摘除し, 主茎上第9~12節で摘心した. 摘心部直下から5節までに発生した側枝の第1節の雌花発現状態をみると, 無摘心区ではすべて雌花節となったが, 摘心直下に発生した側枝では全く雌花の発現がみられず, すべて雄花節となり, 側枝の発生節位が摘心部位から離れるほど雌花発現率は高まった.3. 主茎の摘心部位及び摘心時期が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘夏埼落3号’ を用い, 肉眼で可能な限り早期に第5,10, 15節を残して主茎の摘心処理を行った. 各摘心区とも摘心部直下の節位に発生した側枝の第1節の雌花発現率は低下した. また, 第5, 10, 15節摘心可能時に, すべて第5節直上で時期を変えて主茎を摘心した場合, 摘心部直下の節位に発生した側枝の第1節の雌花発現率は摘心時期の早いほど低下した.4. 主茎上の摘葉処理が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘夏埼落3号’ を用い, 第1葉のみ, 第6葉のみ, 第1,4, 7, 10葉を残して他の葉は葉身長1cm以下で摘除し,各摘葉処理区とも第10節分化直後に第10節以下を残して主茎を摘心した. 第1葉または第6葉のみを残して摘葉した区で雌花発現率が低下する傾向を示した.5. 生長調整物質施与が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘大利根1号’ を用い, 第3葉展開初期にGA4+7 30ppmまたはAgNO3 200ppmを散布し, 主茎上第6~12節に発生した側枝第1節の雌花発現状態をみると, GA区では高節位の側枝でわずかに雌花発現率が低下し, AgNO3区では各節位の側枝とも雌花発現率が著しく低下した.6. 摘心処理と生長調整物質施与の組み合わせが側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘夏埼落3号’ を用い, 可能な限り早期に第5, 10, 15節で摘心し, 摘心処理直後と10日後の2回, GA3 20ppmまたはCEPA 30ppmを散布した. 各摘心区において, GA3施与は摘心処理によって低下した摘心部直下の側枝第1節の雌花発現をさらに低下させ, CEPA施与は逆に摘心処理による雌花発現の抑制とは拮抗し, 雌花発現を高めた.
著者
高橋 秀幸 宮沢 豊
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

MIZ1遺伝子に関して、MIZ1-GFP融合タンパク質を発現するシロイヌナズナ形質転換植物体の作出を行い、miz1変異を相補する系統を得た。これを用いMIZ1-GFP融合タンパク質の発現部位および細胞内局在を解析した結果、根においてMIZ1-GFPは水分屈性に必須の役割を果たすと考えられるコルメラ細胞とその周縁部、ならびに屈曲部位の皮層細胞の細胞質に存在することが明らかになった。さらにMIZ1の機能解明を進めるために、MIZ1過剰発現系統を作出して、その表現型を解析した結果、MIZ1遺伝子発現レベルの改変により水分屈性能の亢進がもたらされることが示された。また、miz2の変異原因遺伝子がARF-GEFをコードするGNOMであることを明らかにし、他のgnom変異体との比較解析から、水分屈性の発現にはGNOMのGEF活性が必要であること、水分屈性は重力屈性と比べGNOM機能の要求性がより高いことを明らかにした。これに加え、ヒメツリガネゴケに見いだされるMIZ1相同遺伝子の解析を行った。その結果、ヒメツリガネゴケゲノム上にはMIZ1相同遺伝子は3つ存在し、それぞれPpMIL1-3と名付け、それらの発現を確認した。また、シロイヌナズナMIZ1では見いだされないイントロンが、ヒメツリガネゴケにおいてはMIZドメインコード領域に近接した5'側に存在すること、miz1で変異の生じていたグリシン残基は、PpMIL1-3のいずれにおいても保存されていることもわかった。また、PpMIL1およびPpMIL2のノックアウト個体の作出に成功した。さらに各PpMILsがシロイヌナズナmiz1変異を相補するかを明らかにするためのコンストラクションを行った。
著者
赤尾 健志 寺林 恵美子 大場 正則 水島 朝美 城戸 恵美 高橋 秀幸 山上 亨 八野田 純
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.D1218, 2008
被引用文献数
1

【目的】当院の癌終末期理学療法では、1.患者・家族のニーズに答える、2.患者・家族の信頼を得る、3.チーム医療を重視することを目標に取り組んでいる。今回、癌終末期理学療法の取り組みを現状と患者・家族のコメントをもとに検討したので報告する。<BR><BR>【対象】2006年4月から2007年9月の間、癌終末期で理学療法を施行し入院中死亡した22名、男性11名、女性11名、平均年齢73.8歳、現疾患は、肺癌16名、大腸癌2名、胃癌2名、肝細胞癌1名、胆嚢癌1名であった。<BR><BR>【方法】理学療法開始時と終了時の理学療法内容とADLレベル、理学療法実施期間、理学療法終了日から死亡までの期間について調べた。また対象者を、理学療法を死亡まで継続可能であった群(以下継続可能群)14名、患者の希望により理学療法を途中で中止した群(以下希望中止群)3名、合併症等の発症により理学療法を中止した群(以下合併症発症群)5名に分類した。それぞれの群に対し、患者・家族のコメントをカルテ等から抽出した。<BR><BR>【結果】理学療法内容は、開始時は、ADL練習19名、肺理学療法5名、筋力運動10名、関節他動運動7名、疼痛緩和・浮腫改善2名であった。終了時は、関節他動運動14名、肺理学療法12名、疼痛緩和・浮腫改善6名、ADL練習1名であった。ADLレベルは、理学療法開始時は歩行レベル7名、車椅子レベル11名、ベット臥床レベル4名であった。終了時は、車椅子レベル2名、ベット臥床レベル20名であった。理学療法実施期間は平均42.6日(7日~170日)であった。理学療法終了日から死亡までの期間は平均4.3日(0日~20日)であった。患者・家族のコメントは継続可能群では、呼吸が楽になった、むくみがとれて足が軽くなった等の身体的改善感の他に、自分の体を触ってもらうことで温もりを感じる、雑談等ゆっくり話ができる、リハビリをするのが生きる支えとなっている等、精神面に関するコメントが見られた。希望中止群では、触ると痛い、歩く練習をすると疲れる等であった。合併症発症群では、脳梗塞発症、消化管出血、呼吸急性増悪等で、急激に全身状態が変化した場合が多かった。<BR><BR>【考察】癌終末期理学療法の現状としては、全身状態が自然経過として次第に悪化していくにも関わらず、理学療法を継続している症例が多く見られた。その理由として、一時的でも身体的改善感が得られること、厳しい現実から少しでも逃避できる癒しの効果、精神的支え等が考えられた。以上より、当院での癌終末期理学療法の取り組みは患者・家族に対し、身体・精神的に良い効果を与えることができているのではないかと思われた。また途中中止になった症例から、患者の状態に応じて少数・頻回のより細かな理学療法内容の検討、また合併症の発症等から、一日一日のリスク管理を含めたチーム医療での情報共有等がより重要だと思われた。<BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR>
著者
北形 元 笹井 一人 高橋 秀幸 木下 哲男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoNA, モバイルネットワークとアプリケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.168, pp.63-66, 2013-07-25

本稿では,大規模災害時における通信需要の極端な増加,電力供給の停止,通信路の切断など,極めて厳しい条件下において円滑な通信を実現する不揮発性ネットワーキングを提案する.大規模災害時においては,極端な通信需要の増加状態の継続により輻輳が緩和されず,大規模な通信障害が長時間に渡り続く.このような不安定な通信品質の下で,中継ノードでデータを一時蓄積しながら中継していく技術としてDTN(Delay Tolerant Networking)が提案されており,これを活用した災害時の情報通信方式も提案されているが, DTNがその性質上,送信のみの単方向通信であるという点から,安否情報や避難情報など,情報入手に利用することは難しい. そこで本稿では,利用者端末からのリクエストとサーバからのレスポンスの両者をひも付けながらネットワーク上に保持することで,リクエストを送信してからサーバからのレスポンスを受信の間に,利用者端末をネットワークから切断し可能とする,不揮発性ネットワーキングを提案し,その主要技術について述べる.
著者
竹内 孔一 高橋 秀幸 小林 大介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.245, pp.13-18, 2010-10-16

本研究ではクラスタリングを利用して動詞の類義語を獲得する方法について検討している.先行研究において,同時に2つの要素のクラスタを考慮しながらクラスタリングする同時共起クラスタリングを適用して,ベクトルベースのクラスタリングより精度が高いことを示した.しかし,近年ベクトルベースのクラスタリングでKernel K-meansという非線形境界でクラスタリングするより高度な手法が提案された.そこで,本報告ではKernel K-means法を我々の動詞類語獲得に適用し,先行研究における同じデータで同時共起クラスタリングとの比較を行う.この結果からKernel K-meansでのグラフ-ベクトルの等価性には限界があり,本研究が利用する2部グラフの構造は直接反映できないこと,先行研究の同時共起クラスタリングの方が高い精度で類語を獲得できることを報告する.